ニュース

レッドブル・エアレース 第2戦千葉、室屋義秀選手は決勝8位

優勝は初戦に続きイギリスのポール・ボノム選手

2015年5月17日開催

日本で初開催された「レッドブル・エアレース」に日本人パイロットの室屋義秀選手が新型機を投入して参戦した

 FAI(国際航空連盟)公認となる「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」第2戦の決勝レースが5月17日、千葉県千葉市美浜区の幕張海浜公園で開催され、初戦アブダビ戦に続きイギリスのポール・ボノム選手が優勝し2連勝。日本人パイロットとして参戦している室屋義秀選手は、レース途中で同大会レコードタイムを記録したものの、最終的に8位に終わった。

 今大会に新型機を投入してレースに挑んだ室屋選手は、前日の予選では52秒429の記録で全体9位。決勝日に行われた14名の参加者が1対1でタイムを競う「ラウンド・オブ 14」で、今大会のコースレコード50秒779を記録して次のステージに進んだ。

 続く、上位8名が1対1でタイムを競う「ラウンド・オブ 8」では、ボノム選手と対戦、室屋選手はレースの規定を超える10G以上を機体に発生させてしまったため“DNF”となり、上位4名でタイムを競う最終ステージ「ファイナル4」への進出はならなかった。

 レースの最終結果は、初戦アブダビの優勝に続きイギリスのポール・ボノム選手が2連勝。2位はオーストラリアのマット・ホール選手、3位がドイツのマティアス・ドルダラー選手と続いた。

 大会後の会見で、室屋選手は「(優勝した)ポール・ボノム選手と飛ぶことは分かっていたので、チームとして全力の100%でいくという作戦で臨みました。フライトはいい感じでしたが101%の力が入って、結果としてオーバーGするという結果になってしまった」とフライトを振り返った。

 レッドブル・エアレースが日本で初開催されたことについて、室屋選手は「千葉の空で我々にレースさせていただけたこと感謝します。日本で開催するにあたってはいろいろと壁がありましたが、それを乗り越えた日本のチームに感謝したいです」と感謝の言葉を述べた。

 今大会を新型機で戦った室屋選手は「千葉で開催されることによって、我々のチームもスポンサーのお話をいただいたり、すごく強くなることができました。残り6戦ありますが、(今日の)フライトを見ると、これまでチームが準備してきたものが次につながる結果を得られているので、非常に手応えを感じています」と、感想を語った。

 一方、優勝したポール・ボノム選手は「次のクロアチア戦は今日の優勝をリセットして、気を引き締めていきたい」と意気込みを語るとともに、台風の影響を受けてスケジュールに大幅な変更があったことに「ハンガーなど、組み立てを行ったクルー達にはビールをおごりたい」と、スタッフを労うコメントを寄せた。

 また、日本でレースについて「パイロット全員がこの日本でのレースを楽しんだと思う。日本には多くの航空ファンがいることを知っていて、日本に来てからも大変よくしてもらった。今日は自分自身60回目のレースで、記念すべきレースをここ千葉でできたことをうれしく思う」とコメントした。

 今後、レッドブル・エアレースは、第2戦「千葉」に続き、第3戦がクロアチアの「ロヴィ二」にて5月30日~31日の日程で行われ、世界各地を転戦し全8戦を開催予定。

機体が並ぶハンガーで取材に応える室屋義秀選手
会場となった幕張海浜公園には約6万人の人が集まった
海上にエアーで膨らむパイロンを並べたコースを飛行してタイムを競う
レースに参加する機体は観客の目の前を低空飛行で駆け抜ける
千葉大会の表彰台を獲得した3名。写真は左から2位のマット・ホール選手(オーストラリア)、優勝のポール・ボノム選手(イギリス)、3位のマティアス・ドルダラー選手(ドイツ)
優勝したポール・ボノム選手(イギリス)
2位のマット・ホール選手、千葉大会のコースについて「ユニークなコースでした。非常に高速なコースで、コース両端でのGの負担が多く、当初予定していたゲート位置の変更もあって戦略を考えなければならなかった」と話した
3位のマティアス・ドルダラー選手「この表彰台に誰が乗ってもおかしくない大会で、運が必要だった」と今大会を振り返り、2015年シーズンをどう戦うかについては「早く飛ぶことに尽きるが何より自信を持って飛ぶこと、表彰状の常連になりたい」と意気込みを話した
レッドブル・エアレース第2戦千葉 室屋義秀選手
ラウンド・オブ 14
パイロットタイム
第1ヒート99号機 マイケル・グーリアン(アメリカ)52秒976
84号機 ピート・マクロード(カナダ)55秒785
第2ヒート95号機 マット・ホール(オーストラリア)50秒888
9号機 ナイジェル・ラム(イギリス)51秒826
第3ヒート31号機 室屋義秀(日本)50秒779
8号機 マルティン・ソンカ(チェコ)54秒753
第4ヒート55号機 ポール・ボノム(イギリス)51秒560
22号機 ハンネス・アルヒ(オーストラリア54秒837
第5ヒート10号機 カービー・チャンブリス(アメリカ)54秒106
26号機 フアン・ベラルデ(スペイン)54秒241
第6ヒート21号機 マティアス・ドルダラー(ドイツ)55秒050
91号機 ピーター・ベゼネイ(ハンガリー)59秒928
第7ヒート27号機 ニコラス・イワノフ(フランス)55秒101
12号機 フランソワ・ルボット(フランス)1分03秒279
ラウンド・オブ 8
パイロットタイム
第8ヒート95号機 マット・ホール(オーストラリア)51秒452
99号機 マイケル・グーリアン(アメリカ)52秒917
第9ヒート55号機 ポール・ボノム(イギリス)51秒392
31号機 室屋義秀(日本)DNF
第10ヒート21号機 マティアス・ドルダラー(ドイツ)52秒365
10号機 カービー・チャンブリス(アメリカ)53秒631
第11ヒート27号機 ニコラス・イワノフ(フランス)52秒146
9号機 ナイジェル・ラム(イギリス)52秒448
ファイナル 4
パイロットタイム
第12ヒート55号機 ポール・ボノム(イギリス)51秒502
95号機 マット・ホール(オーストラリア)51秒884
21号機 マティアス・ドルダラー(ドイツ)52秒903
27号機 ニコラス・イワノフ(フランス)DNF
レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ 2015ランキング
ランクパイロット出身千葉獲得ポイント総合ポイント
1ポール・ボノムイギリス1224
2マット・ホールオーストラリア918
3ナイジェル・ラムイギリス48
4ピート・マクロードカナダ07
5マティアス・ドルダラードイツ77
6ニコラス・イワノフフランス56
7ハンネス・アルヒオーストリア05
8室屋義秀日本14
9マイケル・グーリアンアメリカ33
10ピーター・ベゼネイハンガリー02
11カービー・チャンブリスアメリカ22
12フアン・ベラルデスペイン00
13マルティン・ソンカチェコ00
14フランソワ・ルボットフランス00

(Photo:Burner Images/編集部:椿山和雄)