愛車ヴェルファイアにブリヂストンの基準性能となる「エコピア」と、圧倒的な快適性能を持つ「レグノ」、それぞれを装着してカミさんも巻き込んで長距離ドライブツアーを敢行した前編記事は、すでにご覧いただいただろうか。
結論から言ってしまうと、「レグノ」最高! 唯一無二の圧倒的快適さだった、に尽きるのだが、そんなこと言われても乗っていないから分からないよと仰る気持ちもよく分かる。
後編では、なぜここまで高性能が実現できるのかという技術的な部分と、前編では1シーンのみだった「レグノ」&「エコピア」の快適音質ガチ比較走行をシチュエーション別にお届けしたい。
前編記事の最後で紹介した「レグノ GRV II」と「エコピア EX20 RV」比較走行動画は、名神高速道路を80km/hで日中走行するシーンだった。
「そりゃまぁ、80km/hとか100km/hとか高速で走ればノイズの差も出るだろうけど、一般道だとそこまでの差は出ないんじゃないの?」と思われた方も多いことと思う。
実は筆者も、実際に「レグノ」と「エコピア」を履き比べて走行してみるまでは、一般道での低速走行では、正直分かりやすく伝えられるほどの差がつかない、読者のみなさんにとって分かりにくい結果になるのではないかと、ちょっとだけ心配していた。
ところが、だ。まずはぜひ、ヘッドホンを装着して、以下の動画を見て、聞いてみてほしい。
車内には旅行グッズ、各種測定機器、パソコン、そしてタイヤが4本セット(笑)と荷物が満載であり、もちろん筆者もカミさんも呼吸をしているわけだが、できるだけ条件が揃うように運転したつもりだ。エコピア EX20 RVの走行音も特に不快ということはないが、レグノ GRV IIの走行音は明らかに静粛かつ快適であり、体で感じる細かな振動も圧倒的に少ない。
長距離ドライブをする方ならご存じと思うが、クルマの細かな振動は「疲れ」として体にじわじわとダメージを与えてくる。レグノはそれが極めて少ないのだ。
ザックリ言うと、タイヤは黒くて丸いゴムのかたまり。だが、掘り下げて見ると本当にさまざまな技術の集合体と言える。
エコピア EX20 RVはブリヂストンが「ちゃんと買いの基準」としているだけあり、必要にして十分な快適性と走行性能を持っている。具体的には「ウェット向上ポリマー」の採用で高い燃費性能を維持しつつもウェット性能を向上、すり減りにくい「ナノプロ・テックゴム」採用と形状改良により8%の転がり抵抗低減とロングライフ化を達成。そしてミニバン専用設計とすることでふらつきを抑制し、多人数乗車時の快適性を向上させている。
無理矢理フォローするつもりは毛頭ないが、基準エコピアはここまで高い性能を持っていることはあらためてお伝えしておきたい。
しかし、基準があれば、最高がある。レグノ GRV IIはブリヂストンが持つ技術を存分に投入した最高級ミニバンタイヤ。そもそも高性能な従来モデルのレグノ GRVと比較して、後席での騒音エネルギーを19%低減するというのは並大抵のことではない。
タイヤに刻まれているトレッドパターン、特に縦方向にぐるっと刻まれている主溝は排水性能向上に不可欠な存在なのだが、逆にそれらは「笛」のような働きをしてパターンノイズを発生させてしまう。エコピアにもレグノにも「3Dノイズ抑制グルーブ」というパターンノイズを低減させる仕組みが導入されているが、レグノに搭載されているそれは「ダブルブランチ型消音器」という特別な構造を持っている。
タイヤの溝に入り続ける空気が発生する騒音を、極めて高度に設計デザインされたレグノ用ダブルブランチ消音器が、見事に抑制してくれるのだ。
さらに、ノイズの周波数を広く分散させることでパターンノイズを大幅に低減する「バリアブルピッチ」、設置時に音の出にくい「サイレントACブロック」形状の採用、そしてレグノ用に最適化されたゴム(コンパウンド)の特性により、絶大なる静粛性と心地よい音質を実現してくれている。
筆者は先日ブリヂストン小平研究所を見学する機会に恵まれたのだが、そこでは最新の技術と熟練の職人技により、タイヤの騒音について徹底的な研究が行われていた。もちろん見学できたのはごくごく一部分ではあるが、レグノの圧倒的静粛性、快適性の秘密をちょっと知ることができた。
家族を乗せて走る機会の多いミニバンには、静粛性だけでなく高い次元の走行安定性も求められる。といっても、サーキットのタイムがどうこうとか、峠道を駆け抜けるときのグリップがとか、そういう話ではない。
「なんかクルマがフラフラして酔っちゃうからドライブに行きたくないよぉ……」その原因、もしかしたらタイヤかも!?
車高が高く重たいミニバンをフラフラさせず、路面変化にもカッチリ追従させるためには、タイヤの剛性を高くする必要がある。だが、例えば単純にゴムをカッチリさせて剛性を確保したのでは、平坦路での乗り心地はもちろん、静粛性も大きく犠牲になってしまう。
レグノのトレッドパターンイン側には「ラウンドスロット」というパターンが採用され、またアウト側のサイドウォール内部構造をチューニングすることで、これまで紹介してきた圧倒的な静粛性・快適性をさらに高めつつ、走行安定性も極めて高い次元で両立できている。この相反する難しい条件をクリアするにあたっては、最高速度400km/hでのタイヤ踏面挙動確認が可能な「アルティメット アイ」が大いに活躍しているそうだ。
今回テストドライブしたルートには比叡山ドライブウェイから琵琶湖方面に向かうちょっとした峠道が含まれているのだが、ミニバン専用設計でふらつきを低減したエコピア EX20 RVと比較しても、レグノ GRV IIはさらに優れた走行安定性を見せつけてくれた。
クルマは走れば走るほど各部が劣化消耗し、コツコツと静音化作業を続けているとはいえ、エンジン、ボディ、内装ガタピシなど痛みが出てくるのは仕方がない。あくまでも参考ということを強調しつつ、いつも連載で測定している一般道と東北道でも走行テストを行ってみた。
ヘッドホンで動画を視聴してもらえれば一目瞭然だが、ここでもレグノは圧倒的な快適性、静粛性を発揮してくれた。暗騒音や環境ノイズなどの影響で騒音計の数値は激しく上下してしまい参考にしにくいのだが、逆にデシベル値の差以上に「音質」の差があることが分かる。人間の聴覚は同じ「音圧」だったとしても「音質」でその印象がかなり変わるため、ここでもレグノの音質チューニングの有効性がよく分かる結果となった。