昨年末、デジカメ Watchで実施した「雪景色を撮りに行こう! スタッドレスタイヤに挑戦」という企画。覚えていらっしゃる方もいると思うが、写真家の礒村浩一さんとコムロミホさんがそれぞれの愛車にミシュランのスタッドレスタイヤ「MICHELIN X-ICE XI3(ミシュラン エックスアイス エックスアイスリー)」(以下XI3)を装着し、新潟の雪景色を撮りに愛車を走らせた。今回はその後、ふたりにさらなる遠出にチャレンジしてもらい、世界遺産である岐阜県・白川郷への撮影旅の模様をお届けする。クルマの運転自体もまだまだ初心者のコムロさんと、毎年冬の北海道にも撮影に行くベテラン礒村さんが撮影した美しい雪景色の写真をその道中のスタッドレスタイヤレビューと共にお届けしていこう。

雪道ビギナーとベテランペアが世界遺産を目指して出発

 まずはミニクーパーS クラブマンが愛車のコムロさん。実家がガソリンスタンドを経営していることもあり、子どもの頃から父親がタイヤ交換をする姿を見て育ったという。冬のシーズンは忙しく、タイヤを運ぶ手伝いをしていたため、ミシュランブランドも知っていたとのこと。ただし、クルマの免許を取得してまだ1年ちょっと。「少しずつ運転にも自信がついてきましたが、長距離運転も初めてですし、スタッドレスタイヤでの雪道運転も2回目なのでやっぱり少し不安でした」とコムロさん。

 続いては国産ミニバンのなかでも、最大かつ最重量級のトヨタ ヴェルファイヤに乗る礒村さん。このクルマを選んだ理由は、もちろん多くの撮影機材を積み込むため。礒村さんはこのクルマで日本中を走り回るため車中泊用の簡易ベッドも設置されており、まるでキャンピングカーのような仕様となっている。もちろん冬の撮影シーズンにはスタッドレスタイヤは必須というヘビーユーザーで「雪道での安心感はもちろんですが、南関東を拠点に活動しているため、ドライ路面での性能が気になる」とこだわりを見せる。今回、ミシュランのスタッドレスタイヤは初めて履いたとのことだ。

愛車はミニクーパーS クラブマンのコムロミホさん。雪道の運転に自信がなかったが、今後は行動範囲を広げていきたいと意気込む   愛車はトヨタ ヴェルファイヤの礒村浩一氏。スタッドレスタイヤ歴も長いが、ミシュランのスタッドレスタイヤは初体験。その性能に期待を寄せる   ふたりの愛車に装着したのはMICHELIN X-ICE XI3。ちなみにミシュランは11年連続で「冬用タイヤ顧客満足度第1位」を獲得している。XI3のサイズ表はこちら

 そんなふたりの不安と期待を胸に、白川郷を目指してまだ薄暗い新宿を出発した。初日は中央高速から峠を越えて、宿泊地の秋神温泉を目指す。翌日は飛騨高山の街並みを走り、メインの目的地である白川郷へ向かうスケジュールとなっている。さっそく首都高速に乗り、秋神温泉へ向けて走行開始。天気も快晴、渋滞にはまることもなく順調にクルマを走らせる。


スタッドレスタイヤで走る高速道路

 「スタッドレスタイヤはドライ路面の高速道路ではフラつきやすいと聞いたことがありますが、私には普通のタイヤとの違いがわからなくて……。だからいつもどおりに安心して運転できました」とは初心者のコムロさん。一方これまで履いてきたスタッドレスタイヤでは、ドライ路面での走行に細かな不満があったという礒村さんはXI3の走りに感心しきり。「このクルマはかなりヘビー級な上に荷物も満載。それなのにしっかりとした踏ん張りでグリップも安定してますし、高速道路でもアクセルを踏み込むと同時にパワーが路面へとダイレクトに伝わっていくのがわかります。これまでの“スタッドレスタイヤだから仕方ない”というストレスも解消されると思います。また、私のクルマは4WDですが、パワーオン&車線変更の際もタイヤのヨレもなく路面を四輪でがっつり掴んでいる感覚です」と驚く。

渋滞にはまることなく、2台は順調にクルマを走らせる。コムロさんもフラつきを感じることなく安心して運転できたという。スタッドレスタイヤのドライ路面に不満があった礒村さんは、XI3のグリップ力にも満足そうだ

 それもそのはず。XI3は高速走行時でもブロックがヨレず、安定した走行ができるトレッドデザインを採用。そのため、ドライ路面でのしっかりとしたハンドリング性能を確保している。さらにタイヤにとって負荷の大きい高速走行時でも、熱や負荷が集中するサイプの底を「ティアドロップ」形状とするにより負荷を分散。タイヤの対応可能な最高速度を表すスピードレンジを「H」と、スタッドレスタイヤでありながら210km/hまで向上しているのだ(一部サイズを除く)。

高速走行時でもブロックがヨレずに安定して走行できるトレッドデザイン   「ティアドロップ」イメージ図

刻々と表情を変える雪道を走る

 この頃は例年よりも気候が穏やかで、比較的雪が少なめという情報だった。この日も気温がわりと高めで降雪もなし。高速道路上にもあまり雪が残っておらず、白川郷の積雪が少し心配になったが、松本ICで下りて峠を上るにつれて、雪国の風景が広がっていく。市街地は除雪されているが、雪が解けたシャーベット状の路面、日陰に入れば凍結した路面など、道路の状況は刻々と変化するが、2台のクルマは問題なく走っていく。

シャーベット状の雪道ではしっかり排水し、凍結した路面では力強いグリップ力を発揮。刻々と変化する雪道を2台とも順調に走って行く

 まだ時間にも余裕があるので、奥飛騨の福地温泉にある「福地の青だる」というスポットに寄り道。まるで色水を使ったかのように青く神秘的な氷柱だが、水が綺麗だから青く見えるのだとか。ふたりの写真家も非日常の風景に夢中になってシャッターを切っていた。

神秘的な氷柱と出合い、夢中でシャッターを切るふたり。海が青く見えるのと同じ原理で、不純物のない綺麗な水が光に当たると青く見えるとのこと

 普段の都心では撮ることができない写真に満足しつつ、秋神温泉へとクルマを走らせる。標高の高い峠を抜けていくルートなのであちこちが凍結していて、ふたりの運転もさらに慎重になってくる。特にコムロさんは緊張の面持ちだ。

 「山道では除雪されていない道も多く、最初は緊張しながらクルマをゆっくり走らせていましたが、走っているうちにグリップ感やブレーキの感覚もつかめてきました。XI3はしっかり止まってくれるので、慌てず落ち着いて運転することが重要だと実感しました」とコムロさん。「雪道における安心感も非常に高いですね。降りたてのやわらかい新雪はもちろん、踏み固められた圧雪での走行でも、ゴムのブロックが雪面をしっかりつかんでくれている感触があります。峠の急なカーブでもタイヤが腰砕けする感じもなく曲がっていきます。安全を確保できる広い場所で、試しに強めのブレーキングを行いましたが、ABSの効果とともに少ない制動距離でしっかり止まることもできました」とは礒村さん。

標高の高い峠の道はあちこちが凍結している。コムロさんは緊張気味だったが、2台ともヒヤリとする場面もなく峠を越えていく

 ふたりが実感したように、XI3はスノー性能もアイス性能を高めるためのさまざまな最新テクノロジーが投入されている。X-ICE XI2でも好評だった「クロスZサイプ」と「マイクロポンプ」に加え、ブロックエッジに新たに「ZigZagマイクロエッジ」を採用。クロスZサイプはトレッド面をジグザグにカッティングしていたが、「ZigZagマイクロエッジ」はセンター寄りのブロックのエッジ部分にもジグザグのカッティングを施している。これら2つのサイプの相乗効果により接地面積が広くなるため、ハンドリングが安定するのに加えて、強力なグリップ性能を発揮。ちなみにX-ICE XI2に比べてアイスブレーキ性能は約9%も向上しているのだとか。また、その広い接地面積で接地面圧が路面に均等にかかるように設計されているので、アイストラクション性能も約5%向上している。

「クロスZサイプ」イメージ図   「ZigZagマイクロエッジ」イメージ図
●初日に撮ったコムロさんの雪景色&コメント
高速道路を降りてから、クルマを走らせていると豪雪地帯に差し掛かりました。細い道は除雪がされていないため、分厚い雪に覆われています。慣れない雪道の運転に緊張しましたが、都心では見ることができない景色が待っていました   『青だる』と呼ばれるそうで、まるで木々が青い氷をまとっているかのように見えます。滴り落ちる水が少しずつ凍りついて、なんとも言えない独特な形を作り上げています
山の天気は変わりやすく、それまで曇っていた空にも少しずつ太陽が出てきました。木々に積もっていた雪が溶けて落ちてくる瞬間を撮影。逆光でキラキラと光る雪がとてもキレイです   人通りも少なく、ひっそりと静まる山頂近くの町並み。日が暮れたあと、街灯がぽつりぽつりと灯り始めます。赤い光に照らされた雪がとても幻想的だったので、思わずクルマを停めて写真を撮りました
●初日に撮った礒村さんの雪景色&コメント
初日撮影作品:「空の青さと氷雪の白さを対比させ冷たさを伝える」
早朝、まだ日の出ぬ東京を出発し四時間ほど高速道路を走る。そこからさらに雪が積もる一般道を進むといつしか雪深い山里へと辿り着いた。細心の注意を払い雪道を進みながらも、こころ魅かれる光景に出合う度にクルマを停め撮影を繰り返す。この日は冬の雪山にしては珍しく快晴で、それだけに抜けるような青い空と日光に輝く白い氷雪のコントラストが、肌に伝わる空気の冷たさをより一層際立たせる。その冷たさを写真に取り込むべく、空の青さと雪氷の白さを対比テーマとしてこの日の作品を構成した

遂に世界遺産・白川郷に到着! 雪化粧された合掌造りに圧巻

 2日目はミシュラングリーンガイドでも紹介され、世界中で有名な白川郷を目指す。その前に飛騨高山や飛騨古川などの古い街並みにも立ち寄るスケジュールなので、この日も早朝から出発した。宿泊した秋神温泉は標高1026mで「氷点下の森」と呼ばれている場所で、その名のとおり、この日の朝の気温は氷点下。雪もチラついている。もちろん、道もカチカチに凍っていたりするが、XI3の性能なら問題なし。初日は緊張していたコムロさんにもだいぶ余裕が生まれてきたようだ。

秋神温泉の旅館の前にも巨大な氷柱が。記念撮影をして出発
二日目になるとコムロさんは運転中にも笑顔を見せる余裕も

 初日は東京からの移動が中心となってしまったので、神秘的な氷柱には出合えたものの、やや欲求不満気味のふたりは撮る気満々。美しい雪景色を探し求めてクルマを走らせていく。ちなみにコムロさんが撮影に選んだカメラはオリンパスのOM-D E-M1。

 「カメラはオリンパスOM-D E-M1を選びました。山の天気ですから雪や雨の可能性もあります。防塵防滴でマイナス10℃耐低温性能のE-M1なら安心して撮影できますから。レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROを持ってきました。このレンズも防塵防滴、耐低温性能なので、雪山での撮影にはぴったりだと思います」とのこと。

 飛騨高山の集落博物館「飛騨の里」、伝統的な石造りの建物が並ぶ飛騨古川の古い街並みを堪能し、遂に念願の白川郷に到着。あいにく天気はイマイチだったが、普段では見られない雪化粧された合掌造りの風景にふたりの写真家は興奮を隠せない様子。集合時間を決めると、食事も取らずに足早に幻想的な白川郷へと消えていってしまった。

飛騨の古い街並みを走り、遂に白川郷へ到着

 雪のなかで長時間撮影する際には、環境的にも精神的にも厳しいものとなる。風も通さず保温性の高い防寒対策はもちろんだが、ほかにもいろいろな装備も必要となってくる。この日の礒村さんも十分すぎるほどの準備で撮影に挑んでいた。

 「冬の撮影で気をつけたいのは、“ちょっとの時間だからこの程度で大丈夫だろう”という考えです。正しい知識と、十分な準備さえ怠らなければ撮影に関してはそれほど大変ではありません。現地の天候や気温、降雪の有無などを事前に調べて、それに合わせた防寒スタイルを用意すること。防寒は下着や靴下から始まるので、発熱性の生地や保湿性の高いものがオススメです。基本的にアウトドアでの体温調整は衣服の脱ぎ着で調整するとよいです。また、足元が冷え切ってしまうと撮影どころではなくなってしまうのでスノーブーツも欠かせません。そして、私の経験上では-25℃の環境でも多くのデジタルカメラは動いてくれましたが、バッテリーは低温になると急激に低下する特性があるので、いつもより多めにバッテリーを用意して行きます。三脚に関しても金属製のものは驚くほど冷たくなってしまうので、素手で触ると凍傷の原因にもなりかねません。熱伝導率の低いカーボン素材がオススメです。雪中を歩く際にも金属製より軽いので体力温存にもつながります」とさすがのアドバイス。これから冬の撮影を考えている読者は、十分な準備をしてから挑んでいただきたい。

寒冷地での撮影では、防寒がなされた靴を履くようにしたい。特に積雪が想定される場所での撮影は、防寒・防水のためにもスノーブーツが欠かせない   深い雪上での徒歩移動は、埋まった足を交互に抜き差ししながら歩くことになる。体力も消費してしまううえに、雪に隠れた川や池などへ落下してしまう危険もある。そんなときにはスノーシューがあると安心とのこと   低温時のバッテリー対策として、この日も予備のバッテリーを多めに持参していた礒村さん。使用前のバッテリーも冷やさないように、防寒着の内ポケットなどに入れて、自分の体温で温めておくのがオススメだそうだ

 数時間後、集合場所に戻ってくるころにはすっかり天気も回復。ちょっと残念な感じがするが、東京に戻ることを考えると、そろそろ白川郷を出発しなければならない……。しかし、ふたりは展望台からの日没の景色や街灯でライトアップされる合掌造りを撮りたいという。帰宅時間の遅さよりも、美しい写真を撮ることを優先する姿勢はさすが写真家。こうして二日間にわたる撮影は無事に終了した。

●二日目に撮ったコムロさんの雪景色&コメント
遂に白川郷へ到着です。屋根に角度をつけて、雪が積もらないよう作られた合掌作り。その歴史は古く、豪雪地帯ならではの工夫が施されています
暗くなるにつれて、少しずつ天気が良くなってきました。夕焼けで空がピンクに染まると、積もった雪も違った表情を見せます。水面に写る夕日と合掌造りも一緒に切り取りました   日が沈み、マジックアワーの時間がやってきました。暗くなると、ライトアップが始まります。合掌造りの窓から優しく漏れるオレンジ色の光がとても幻想的でした
●二日目に撮った礒村さんの雪景色&コメント
二日目撮影作品:「降り積もった雪のなかの生活感で人の温もりを伝える」
世界遺産である白川郷。豪雪地帯特有の家屋とその周囲を囲むように広がる山並みは、まるで時間が止まっているかのようにさえ感じる。古来の暮らしを守り暮らす人の息づかいを、軒下にまでとどく積雪とそこに建つ家屋に感じる。その温もりを写真の主テーマと据え、それを際立たせる雪の冷たさを対比テーマとした。合掌造りの家屋や古道具がもつ木の優しさ、夕闇に浮かぶ灯の温もりを凍えるような寒さのなかに感じさせることも冬の写真の魅せ方だ。ちなみにこの撮影では、オリンパスOM-D E-M1とキヤノンEOS 5D MarkIIIの二機種を用意。E-M1は画質もよく、さらに耐低温と防塵防滴機能であるため、雪のなかでの撮影でも非常に安心感があります。また、フルサイズのEOS 5D MarkIIIではシグマのレンズを使用。雪や氷のクリアさを引き出すためには解像力に優れた機材が欠かせません

今年も冬の撮影シーズンがやってくる

 これから本格的な冬の撮影シーズンを迎える。礒村さんは年明け早々にも、雪景色の北海道で開催する風景とポートレート撮影のワークショップツアーにX-ICE XI3を履いた愛車で赴く予定だそうだ。今回の撮影で行動範囲が広がったと喜ぶコムロさんも、愛機OM-D E-M1を持って、幻想的な雪景色を目指して愛車を走らせたいと語っていた。

 礒村さんはスタッドレスタイヤもカメラやレンズを選ぶのと同じくらい雪景撮影には大切な機材選びだと言う。冬の撮影は日常では体験できない神秘的な世界を撮影できるのが醍醐味だ。いろいろ準備が大変だが、安全、安心に撮影ポイントまでたどり着き、トラブルなく写真撮影を楽しむためにも万全の体制でチャレンジしてもらいたい。この冬はふたりの写真家を満足させたミシュランのX-ICE XI3を愛車に履かせて雪景色を撮りに出かけてみてはいかがだろうか。

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