前編ではクルマ自体はまだまだ初心者のコムロミホさんと、雪景撮影はベテランの礒村浩一さんの二人の写真家による世界遺産 白川郷での雪景撮影レポートをお届けした。それぞれの愛車にミシュランのスタッドレスタイヤ「X-ICE XI3」を装着し、足を伸ばしたことで、普段都心では撮ることができない、雪国ならではの幻想的な風景を撮影することができた。そして後編は、さらなる雪景を求めた北海道編。その魅力にとりつかれて大阪から移住してしまったという写真家、中西敏貴さんのレポートをお届けする。

 中西さんは美瑛を拠点に北海道の風景写真に取り組む写真家だ。以前は大阪でサラリーマンをしながら北海道に拠点を設け、長期の休みごとに通っては撮影に取り組んでいたのだが、ついに一念発起、プロの写真家として腰を据えるべく北海道に移住してしまったという。

 普段は自身の創作活動に加え、一般の写真好きを集った撮影ツアーも実施している(詳しくは中西さんのアトリエ ニペクのサイトを参照)。北海道で写真を撮りたいという方向けに、美瑛を中心とした撮影スポットを案内してくれるもので、季節や天気に合わせてオリジナルの撮影ツアーを展開してくれる。愛車は三菱のデリカD:5。4WDで最低地上高も高く、ツアー参加者やその機材も積めるクルマとして活躍している。毎日朝から撮影に出かけるのが日課なので、冬の間だけでもなんと年間2万kmを走破するというから驚きだ。

 そんな中西さんが装着しているのは、ミシュランのSUV向けのスタッドレスタイヤ「MICHELIN LATITUDE X-ICE XI2(ミシュラン ラティチュード・エックスアイス エックスアイツー)」だ。車重の重いSUV向けに作られた最新のスタッドレスタイヤで、背の高いデリカD:5のようなクルマであっても、しっかりと足元を支えてくれる。装着時の模様は昨年デジカメ Watchで掲載しているのでそちらも参照いただきたい(前編後編)。

北海道の美瑛を拠点に活動している写真家の中西敏貴さん。愛車はデリカD:5   装着するのはミシュランのSUV向け最新スタッドレスタイヤ「LATITUDE X-ICE XI2」

白銀の北海道で撮影ツアー

 何しろ移住してしまったくらいだから、中西さんの北海道、特に美瑛に対する愛はすごいものがある。そんな中西さんは夏の美瑛も魅力的だが、冬の美瑛もぜひ一度訪れて欲しいと熱弁する。特に中西さんが冬の美瑛で力を入れているのが、ダイヤモンドダストやサンピラー(太陽柱)の撮影だ。北海道の冬の中でも特に冷え込んだマイナス10℃以下で発生するダイヤモンドダスト。さらに夜明けや日が沈むころ、無風の状態だと、運がよければサンピラーと呼ばれる状態を撮影することができるのだそうだ。

 ということで日の出の前、早朝6時にホテルの前で待ち合わせをする。撮影ツアーの場合も同様で、美瑛駅前のホテルなどに前泊してもらい夜明け前に出発するのだとか。さすがに冬の北海道の撮影に一人で挑むのは勇気がいるが、慣れた中西さんがクルマも運転してくれて案内してくれるというのは初めてでも心強い。

 迎えに来てくれた中西さんのクルマの中はポカポカかと思いきや、そうでもない。これは外で撮影して冷え切ったカメラを急に暖かい車内に持ち込むとレンズが曇ってしまうためとのこと。と言ってもこちらも十分に着込んでいるし、外にいるよりはずっと暖かいので我慢が必要というレベルではない。

 前日に立ち寄った旭川市街は交通量も多く、場所によっては道路もアスファルトが見える状態だったが、美瑛まで来ると道路の上も見渡す限り真っ白だ。素人目にはどこまでが道路なのかもよくわからないほど一面真っ白の中を、中西さんは結構なペースで走って行く。「今朝は冷え込んでいるからダイヤモンドダストが発生しそう」と中西さん。このように極端に気温が低くなると、むしろ路面は滑りにくくなるのだそうで「マイナス40℃とかになるとアスファルトと変わらない感じですよ」とのこと。

美瑛駅のそばにあるホテルに前泊し、迎えにきてもらった   ヘッドライトの明かりが路面に反射して見えるのはアイスバーンになっているため   一面真っ白で、どこまでが道なのかさえよくわからないほど

 当たり前かもしれないが、北海道の人はスタッドレスタイヤ選びにはとてもこだわるのだそうだ。特に中西さんが住む美瑛や富良野は北海道の中でも雪が多い地域で、冬の間は近所のコンビニに行くのにもアイスバーンの上を走らなければならない。スタッドレスタイヤ代をケチっても、それでクルマをぶつけてしまえば修理代の方が高くついてしまうというのが北海道の考え方だそうだ。それは若い人であっても、クルマを初めて買うときに親からそう教わるので、絶対にスタッドレスタイヤにはこだわるという。

 しかし一方で、北海道の人はいつも同じブランドのタイヤを選んでしまうとも。違うブランドを選んで後悔したくないからだ。中西さん自身もずっと同じブランドのタイヤを選んでいて、ミシュランのスタッドレスタイヤを装着するのは今回が初めてとのことだ。

 特に気にするのは、この日のように気温の低い季節ではなく、10月や11月、まだ雪が降り始めの頃だそうだ。「ドライバーがまだ慣れていないこともあると思いますが、気温が高い頃のほうが滑り安く感じるし、実際に事故も多い」と中西さん。実際LATITUDE X-ICE XI2を履いてから、そうした時期、状況でいろいろ試してみたが、しっかりとグリップしてくれて、安心して走ることができたという。お客さんからスタッドレスタイヤについて聞かれることも多いが、「これなら安心してお客さんを乗せられるし、オススメもできますよね」とミシュランのスタッドレスの印象を語ってくれた。

 特に中西さんが感心していたのはそのしっかり感。「僕らはスタッドレスタイヤが氷上で効くのはその柔らかさゆえだと思っています。だからスタッドレスタイヤ特有の、多少グニャグニャした乗り味も仕方がないのかなと。ところがこのタイヤは走った印象が夏タイヤのようにしっかりしているのに、氷や雪の上でもちゃんと止まるから驚きです。アイスグリップは十分合格点なので、あと気になるのはこの性能がどこまで続くかですね」と中西さん。

滑りやすい状況でもしっかりグリップするし、しっかり感がすごいと中西さん

マイナス10℃の世界で見るダイヤモンドダスト

中西さんに言われるまま林の方向を撮影したものがこれ。確かにキラキラとダイヤモンドダストの光の粒が撮れていた

 そんな話をしている間に撮影ポイントに到着した。中西さんが遠くの林を指さしながら「あそこにダイヤモンドダストが出てますね。でも風が強いのでサンピラーは難しそうです」と教えてくれる。この日は雲りで空が白かったのもあって、筆者にはどこにダイヤモンドダストがあるのかさえよく分からなかったのだが、言われるままに林の方向にカメラを向け撮影をしてみると、確かにダイヤモンドダストの輝きか写っていた。条件がよければもっときれいに撮れるのだろうが、こればかりは自然が相手なので仕方がない。むしろテレビでしか見たことがないダイヤモンドダストを生で見られた感動のほうが大きい。たぶん一人で来ていたら、そこにダイヤモンドダストがあることさえ気が付かなかったと思う。


中西さんが撮影したサンピラーの写真。低い位置にある太陽の光がダイヤモンドダストに反射し、サンピラー(太陽柱)となる

 そこから今度は「青い川」を目指す。ブルーリバーとも呼ばれるこの青い川は、MacOSの壁紙として採用された「青い池」のそばにある川。青い池はこの時期は雪で見られなくなってしまうが、青い川はこの時期でも見ることができる。

 道すがら、先ほどまでは真っ白に見えた路面が、太陽に照らされてテカテカと光っているのに気づく。素人目には一見真っ白な雪に見えていたのだが、実はうっすらのった雪の下は完全にアイスバーンになっていたのだ。いくら慣れているとはいえ、こんな道を普通に走ってしまう中西さんとLATITUDE X-ICE XI2の性能には驚かされる。

早朝なので除雪前の深い雪の中を走ることも多い   きれいに除雪された道もその下にはアイスバーンが見え隠れしている
青い川で撮影   夏とはまた違った表情を見せる青い川
中西さん撮影の青い川

 「そうは言っても北海道ではスリップして道路脇に落ちてしまっているようなクルマもよく見かけますし、事故も多いですよ。そんな状況に出くわした場合は北海道の人は必ず助けるんです。というのも厳冬の中でスタックするのは命に関わることなので、スタックしている人を見つけたらすぐに助ける、それが北海道のルールですね」と中西さん。

 そんな話を伺いながら、せっかくミシュランを履いているので、お昼は「ミシュランガイド 北海道 2012 特別版」で紹介されている店に行くことに。ミシュランガイドに紹介されているのは高級店が多そうだが、コストパフォーマンスが高く、星はつかないけれど調査員おすすめのお店が選ばれるビブグルマンという賞がある。そんなビブグルマンに選ばれたラーメン屋さんが富良野にある「寿浅」だ。湯気の立ち上る味噌ラーメンが冷え切った体を温めてくれる。

ビブグルマンに選ばれた「寿浅」   一番人気の味噌ラーメンは少しピリ辛で冷えた体を温めてくれる

冬の撮影で注意すべきポイント

 しばし富良野の街中を走るが、実はこうした街中の交差点などが滑りやすいのだそうだ。というのも、交差点の手前などはみんなが滑ってツルツルに磨かれたり、信号待ちで止まったクルマから落ちた水滴が氷ることで凸凹になったりして、とても滑りやすい路面になるという。ある程度のペースで走る中西さんも、よく見ればきちんと車間距離を取っていて、滑るかもしれないということを想定して運転しているのがわかる。そんな状況でもLATITUDE X-ICE XI2はしっかり仕事をしてくれる。ただ、スタッドレスタイヤが重要なのはもちろん、それを過信しすぎない運転が必要なのだとあらためて実感させられる。

市街地の交差点などは滑りやすく、注意が必要だという   交通量の多い場所は氷の路面がでこぼこになっていて滑りやすいことも   橋の上もやはり注意が必要

 せっかくの美瑛なので、ケンとメリーの木やセブンスターの木など、有名な風景を中心に巡ってもらった。車道の雪は踏み固められているのだが、写真を撮るために道路脇に入ろうとすると一気に足が雪に埋まってしまう。一応防水のトレッキングシューズを履いていったのだが、すぐに靴の中に雪が入ってしまうので、中西さんに長靴を借りた。中西さんのツアーであれば貸してくれるそうだが、北海道の冬の撮影では長靴は必須だと思う。

ケンとメリーの木の前にて   こちらはマイルドセブンの木。この時、少しだけ青空が顔を出した   道路の上以外は足がずっぽりと埋まってしまうほど雪深いので、撮影するなら長靴は必須だ

 機材について聞いてみると、今どきのデジタルカメラであれば、マイナス10℃くらいであればまず問題ないそうだ。とは言え中西さんがメインで使っているのは、防水性能も高くマイナス10℃での性能保証付きのPENTAX K-3。実際マイナス30℃の中でも問題なく使えたという。なにより大切なのはバッテリーを多く持ってくることと、充電器も忘れないこと。気温が低いとバッテリーの持ちが悪くなる上に、朝から晩まで撮影していると、予想以上にバッテリーが減るからだ。

 撮影をしていると、以前中西さんのツアーに参加した方と遭遇する機会があった。中西さんのツアーで雪景撮影の楽しさにはまってしまい、今は自らの足で撮影を楽しんでいるのだそうだ。確かに冬の美瑛は夏のそれとはまったく異なる表情を楽しませてくれた。肌を刺すような寒さも、普段とは異なる空気感に高揚を覚えさせてくれる。この日はあいにくの曇り空であったが、それでも十分にまた来たいと思わせてくれるほどに魅力的だった。

●中西さんの作品

2シーズン目のMICHELIN LATITUDE X-ICE XI2

すでに3万kmも走ったというLATITUDE X-ICE XI2。ミシュランの場合、50%以上摩耗してもトレッドパターンがほとんど変わらないので最後まで安定した性能が期待できる

 今年も北海道はすでに雪のシーズンを迎えている。LATITUDE X-ICE XI2を装着してから2シーズン目に入り、すでに3万kmも走ったという中西さんに今年の印象を聞いてみた。

「毎年のことですが、私の場合10月中旬にはスタッドレスタイヤに交換します。今年は雪が早かったこともあり、少し早めに交換しました。交換のタイミングでいつも確認するのがトレッドゴムの様子。今回も当然ながら確認をしてみましたが、1シーズン目とそれほど変わらない印象で安心しました。北海道のドライバーからよく聞く話で“ミシュランは2年目の方が効く”といいます。今年もすでにアイスバーンの路面を走っていますが、その話はどうやら噂だけではないようで、人が歩けないほどツルツルになった凍結路面でも問題なく走破してくれています。これから圧雪路面が増えてくるので、そのような状況になれば、さらに走破性がアップするでしょう。今シーズンも足下は安心してLATITUDE X-ICE XI2に任せられそうです」

 北海道をはじめ、気温がぐっと下がり、これから本格的なウインターシーズンが始まる。普段見慣れた景色でさえ一変させてしまう白銀の世界を撮影しに、ミシュランのスタッドレスタイヤを履いて出かけてみてはいかがだろうか?


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