【東京オートサロン2011】 キャロッセ、プロトン「サトリアネオ」の輸入販売を開始 1.6リッター自然吸気エンジン搭載のFFホットハッチが日本上陸 |
キャロッセ(クスコ)は、1月14日から開催されている「TOKYO AUTO SALON 2011 with NAPAC」(東京オートサロン2011)にて、マレーシアの自動車メーカー・プロトンと正規輸入および販売の契約を交わしたと発表した。その第一弾として、1.6リッター自然吸気エンジンを搭載した2WD(FF)車のハッチバックスポーツカー「サトリアネオ」を販売する。
また、販売開始の発表とともに、サトリアネオをベースとしたラリーカーを製作し、今年の全日本ラリー選手権とAPRC(アジア・パシフィックラリー選手権)のジュニアカップにエントリーすることも、合わせてアナウンスされた。
販売契約を結んだ両社の代表 | サトリアネオの販売に至った経緯を発表するキャロッセ・長瀬社長 |
プロトンからはモータースポーツディビジョンのダトゥ・ラザック氏とエンジニアらが来日 | APRCでサトリアネオをドライブすることとなった番場選手 |
輸入元となるキャロッセは、国内で行われている全日本ラリー選手権、ダートトライアル、ジムカーナから、アジア・パシフィックラリー選手権、WRC(世界ラリー選手権)といった海外で行われているラリーまで、多くのカテゴリーに参戦してきた自動車部品メーカー。過去にはインプレッサでSUPER GTにもエントリーするなど、モータースポーツ活動を積極的に行っている。
競技のフィールドから得たノウハウを活かしたアフターパーツは機能性が高く、本格的な競技パーツを始めストリート向けのチューニングパーツなども高い人気を誇っている。とくに、クラッチやLSD、サスペンション、補強パーツなどは、輸入車、国産車を問わず幅広く対応している。
一方のプロトンは、マレーシア最大の自動車メーカーで、創業当初は三菱自動車工業と資本や技術提携を行っていたこともあり、日本との関わりが深い。
ちなみに、販売されるサトリアネオは、プロトンが一から開発を行ったオリジナルモデルだが、先代のサトリアネオは三菱のミラージュそのままのOEMモデルだった。
国内では初めて東南アジアのメーカーが生産する車両を輸入することとなったが、その理由は国内の自動車メーカーがラインアップする車種に、モータースポーツで使用できる手軽なベース車両がなくなってしまったことにあると言う。ひと昔前ならカローラやシビック、ミラージュといった1.6リッターエンジンを搭載した競技向けのエントリーモデルが数多く存在したが、今では皆無と言ってもよい。
そこでキャロッセでは、手軽に競技ベースとなる車両を輸入するとともに販売し、モータースポーツの活性化に少しでもつなげられればと考えているようだ。
また、サトリアネオがIRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)やAPRC、WRCのラリー競技やツーリングカー選手権などで実績を上げていることも、導入するきっかけとなったと説明している。これは、この車両を持つことで、初心者でもエントリーできる国内競技から、ワールドチャンピオンが掛かるWRCまで、同一のマシンで参戦できるからだ。
サトリアネオのラリーカー仕様 | ||
室内にエアを引き込むルーフベンチレーター | マフラーは純正でセンター出し | ホイールはターマック仕様の17インチ |
FIAの規定に沿ったロールケージが張り巡らされた室内。延長されたサイドブレーキレバーは、プロトンのオリジナルパーツ | ||
規定でエンジンに手が加えられないのでノーマルのまま |
パフォーマンスはと言うと、1.6リッターエンジンが発揮する最高出力は113PS、最大トルクは15.1kgm。1.6リッターとしては決してハイパワーとは言えないが、エンジニアによると「可変バルブタイミングが付いていて、レスポンスや回転フィーリングは結構よい」「車両重量が重いのは競技ベースとしてはネックだが、その半面剛性が高く、ボディーがしっかりしている。リアの足まわりもこのクラスに多いトレーリングアーム式ではなく、マルチリンクなのも魅力の1つ」と、アドバンテージを語っていた。
競技参戦に向け、すでにFIAのグループA・Nの認可を受けていて、グループNの規定に沿ったパーツの開発を行っている。LSDやクラッチ、ブレーキキットなどのホモロゲーションパーツは開発が終了しており、今後はラインアップを増やしていき、最終的に100を超えるアイテムを作りたいとの意気込みがあるようだ。
車両が展示されていた会場では、プロトンのモータースポーツ部門が開発を行っている「R3」ブランドのサトリアネオとあわせて、オリジナルパーツも公開していた。R3仕様のサトリアネオは、オーバーフェンダーや専用エアロ、レカロシート、インテリアパネルなどのカスタマイズパーツのほか、マフラー、エキゾーストマニホールド、エアインテークといった機能パーツまで、トータルでスポーツテイスト溢れる品々を装備する。
車両の販売が進めば、これらのパーツも順次リリースされ、ユーザーにとってはオリジナリティ豊かなマシンを作り上げることが可能となる。
レッド、ブラック、グレーのカラーリングを施したスポーティなインテリアパーツ |
気になる車両価格だが、現在最終的な調整を行っているところで、およそ150万円~160万円で販売されるようだ。
販売方法については、全国から募集する販売特約店を通して、ユーザーに納車される予定。この特約店が注文などの窓口となり、2月から始まる予約受付に対応する。ある程度の車両注文を受けたらプロトンに生産を依頼する。まずは、競技車両として使用するオーナーに優先的にデリバリーするそうで、7月には納車できるとしている。
また、車両の保証に関してもアナウンスがあり、正規輸入による販売なので、国内で販売している自動車メーカーと同様となるようだ。並行輸入ではないので売りっぱなしということはなく、トラブルが起きても心配ないと言う。
なお、サトリアネオの目標販売台数だが、初年度にあたる今年は50~100台の販売台数を見込んでいる。
すでにサトリアネオ用として開発されたキャロッセのパーツとプロトンR3ブランドのパーツを展示 | サスペンションは「ZERO-2E」と「Comp-X」の2種類をラインアップ | R3ブランドの4-2-1形状のエキマニ |
競技でも使用することができるキャロッセ製のLSDとクラッチ | キャロッセが開発したロアアームバー、タワーバー | プロトンR3ブランドのマフラー |
$$CLEAR
(真鍋裕行)
2011年 1月 15日