【2013ジュネーブショー】

限定499台のスペシャルモデル「ラ フェラーリ」ワールドプレミア

ラ フェラーリ
2013年3月7日~17日(現地時間)

スイス ジュネーブ

GENEVA PALEXPO

 今年のジュネーブショーのハイライトとなったフェラーリのプレスカンファレンス。ブース周辺には多くの記者や関係者が溢れかえり、スペシャルモデル「La Ferrari(ラ フェラーリ)」のワールドプレミアが行われた。プレスデーの2日間とも人混みは絶えることなく、その注目度は断トツと言えるほどだった。

 GTO、F40、F50、エンツォの流れを汲む特別なモデルとなった「ラ フェラーリ」は、F1チームのスクーデリア・フェラーリの技術やF1ドライバーのアロンソ、マッサによる助言を得て開発されたと言う。

 最大の注目はハイブリッドシステムを装備したV型12気筒エンジン。イタリアの部品メーカーであるマニエッティ・マレッリと共同開発されたHY-KERSシステムは、2基の電子モーターとバッテリーパックによって構成される。電子モーターのアシストを低速域で受けることにより、V型12気筒エンジンは高回転域で最大のパフォーマンスを発揮するように仕立てられている。

 そのためレブリミットは9250rpmに設定され、エンジン本体の最高出力は800PS、163PSの電子モーターと統合すると最高出力は963PS、最大トルクは900Nmを超える。最高速は350km/h以上で、0-100km/hの加速時間は3秒以下、0-200km/hは7秒以下、0-300km/hは15秒となっている。これだけの性能を誇りながら電子モーターとエンジンの複合サイクルによるCO2の排出量は220g/kmになっていて、エンツォに対して約50%の削減を行っている。

 カーボンが用いられたシャシーもF1と同じ生産工程にて生まれると言う。4種類以上のカーボンファイバーを手作業でラミネートし、オートクレーブ成形により硬化したシャシーはねじれ剛性、ビーム剛性ともに強化されている。

 限定生産台数499台に対して、すでに限定数以上の顧客から購入希望のオファーが届いているそうで、ラ フェラーリは同社により選ばれたオーナーの元へデリバリーされるとしている。

ラ フェラーリのボディーサイズは4702×1992×1116mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2650mm。エンジンやトランスミッションなどの重量物はホイールベース内に納められていて、前後重量配分は41:59となる
ハイブリッドシステムと統合制御されているブレーキ。ローターはカーボンセラミック製でキャリパーも新型の軽量モデルを装備。タイヤはピレリのPゼロで、サイズはフロントが265/30 R19、リアが345/30 R20
ステアリングはもちろん、ブレーキ、アクセルペダルに関しても位置を前後に調整することができる
ラ フェラーリに搭載されるHY-KERSが装備されたV12気筒エンジン。エンジン前方に設けられたバッテリーパックには、コーナリングやブレーキング時に余ったエネルギーが蓄えられる。トランスミッションは7速のF1デュアルクラッチギアボックス

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。