【2013ジュネーブショー】

フォルクスワーゲン、1Lで111km走行できるディーゼルPHV「XL1」公開

ゴルフVIIのGTIなどもワールドプレミア

XL1
2013年3月7日~17日(現地時間)

スイス ジュネーブ

GENEVA PALEXPO

 2002年にその姿を初めて公開したフォルクスワーゲンの1Lカー。その後、2009年のフランクフルトモーターショーでは「L1」という名称で各部を進化させた。シートレイアウトは前後2座で、リアエンジンとリア駆動というパッケージは変わらないが、パワートレーンがディーゼルハイブリッドになり、外観もより実用的な処理が施されていた。

 今回のジュネーブショーで公開されたXL1は、1Lカーの第3世代にあたり、限定生産ながら実際に販売するプロダクトモデルとして披露された。エクステリアはL1から大幅な変化はないが、シートレイアウトが左右の横並びになり、運転席、助手席ともにガルウイングのドアを装備。

 パワートレーンは、ディーゼルエンジンを使ったプラグインハイブリッド(PHV)。エンジンは最高出力48PSの2気筒ディーゼルTDIで、これに最高出力27PSのEモーターをセット。トランスミッションは7速DSGとなる。搭載されるバッテリーはリチウムイオン電池で容量は5.5kwh、バッテリーのみで50km以上の走行が可能と言う。モーター走行時は1km走るのにわずか0.1kWhの消費で済むとしている。

 ボディーサイズは3888×1665×1153mm(全長×全幅×全高)。シャシーやボディーなどは多くがCFRP製となっていて、車重はわずか795kg。空力特性も十分に考慮していて、空気抵抗の値となるCd値は0.189となる。

 高効率なパワートレーン、カーボンで軽量化したボディー、空気抵抗を限りなく削減するエクステリアデザインなど、XL1はすべての技術を省燃費のために注ぎ込むことで0.9L/100km(111km/L)という燃費性能を実現している。

市販モデルとして公開されたXL1。空気抵抗削減のためリアホイールはカバーされ、サイドミラーはカメラに変更
シートは左右にセットされるが、助手席は後方にオフセットしている
リアエンジンの後方に小さいが荷物を置けるスペースが設けられる
XL1に搭載されるディーゼルハイブリッドエンジン。2気筒のディーゼルエンジンにモーターをセット。パワートレーン自体の重量は227kgとしている

 昨年のパリモーターショーで初公開された新型ゴルフにホットモデルの「GTI」が追加された。3ドアハッチバックのスタイルで、外装はGTI伝統のレッドのラインがフロントグリルからヘッドライトに掛けて入る。バンパー開口部とグリルにはハニカム形状の細工を取り入れていて、ダンパー左右にカナード状のフィンを装備しているのもGTIの特徴となる。

 エンジンは2.0リッター直噴の直列4気筒ターボ。最高出力は先代よりも10PSアップの220PSが標準モデルとなり、新たに導入されたパフォーマンスモデルは、最高出力230PSになる。

 トランスミッションは6速DSGで、標準モデル、パフォーマンスモデルともにスタートアンドストップ機能が装備される。出力は上がったものの、燃費性能は6.0L/100km(16.6km/L)となっており、先代よりも18%改善したことになる。

新型ゴルフGTI

 ゴルフの派生モデルであるヴァリアントも今回ワールドプレミアとなった1台。「コンセプトRライン」はヴァリアントをベースにしたスポーツモデルで、専用の18インチホイールやエアロパーツを装着。エンジンは2.0リッターディーゼルで、4輪駆動のドライブトレーンを採用する。

ヴァリアント コンセプトRライン

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。