【2014ジュネーブショー】

アウディ、バーチャルコクピット採用の新型「TT」を世界初公開

もっともコンパクトなスポーツモデル「S1」もデビュー

3代目となる新型「TT」
2014年3月6日~16日(現地時間)

スイス ジュネーブ

GENEVA PALEXPO

 アウディは、ジュネーブショーで3代目となる新型「TT」のワールドプレミアを実施した。

 1998年に登場した初代TTは、エモーショナルで独創性の高いデザインが人気を得て、その後のクーペモデルのデザインに多くの影響を与えた。3代目となった新型TTのフロントまわりは、アウディの新しいデザインを採用。12個のLEDを使っている「マトリックスLED」と呼ばれるヘッドライトやシングルフレームのメッキグリルは、ダイナミックな見た目をより強調する。

 フロントまわりはこのように大きくデザイン変更を受けているが、サイドからリアに流れるラインとリアまわりのデザインは、先代というよりも初代に近い見た目で原点回帰を図っている。ボディーサイズは4180×1832×1353mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2505mm。シャシーは「アウディ・スペース・フレーム」と呼ばれるアルミとスチールを合わせた軽量タイプを先代から採用しているが、新型TTではより高張力鋼板やアルミ素材を積極的に使うことで軽量化を実施。結果として、車重は2.0TFSIモデルで1230kgとなり、最大で90kgのダイエットに成功している。

 エンジンはディーゼルとガソリンそれぞれを用意。ディーゼルの2.0TDIは最高出力184PS、最大トルク380Nmを発生。最高速は235km/hをマークし、燃費性能は4.2L/100kmとなっている。また、ガソリンの2.0TFSIは2つのタイプが用意され、もっともハイスペックなTTSは最高出力310PS、最大トルク370Nmを誇る。トップスピードは250km/hで、0-100km/h加速は5.3秒。これらのエンジンに組み合わせられるトランスミッションは、6速Sトロニックとなる。

ワールドプレミアされた新型TT
こちらはスポーツモデルのTTS。リアスポイラーは普段格納されていて、120km/h以上になるとせり上がる。ホイールは17インチ~19インチが用意される。写真はオプションで設定されるquattro GmbHの20インチで、タイヤサイズは255/30 ZR20となる
バーチャルコクピットとして12.3インチのモニターをメーターフードの中に装備。マルチファンクションディスプレイとなるこのモニターには、スピードメーターやタコメーター、車両情報に加えナビゲーションなども表示できる
エンジンチューニングが施された「TTクワトロ・スポーツコンセプト」も展示。直列4気筒2.0リッターターボエンジンは最高出力420PS、最大トルク450Nm。0-100km/hを3.7秒で加速するハイスペックモデルだ

 2010年から販売を開始しているアウディのもっともコンパクトなモデルが「A1」になる。フォルクスワーゲン「ポロ」などと共通のプラットフォームを使用していて、日本では1.4リッターのTFSIモデルが導入されている。そのA1をベースとしたスポーツモデルが、今回発表された「S1(3ドア)」と「S1スポーツバック(5ドア)」になる。

 搭載エンジンは直列4気筒2.0リッターの2.0TFSI。最高出力は231PS、最大トルクは370Nmとなる。0-100km/h加速はS1が5.8秒、S1スポーツバックが5.9秒と発表されている。

 S1、S1スポーツバックではA1からハンドリングパーツの変更も行われている。その1つである電動パワーステアリングはスポーティな方向性に専用チューニングが施され、フロントアクスルにも手を加えたという。リアまわりでは4リンクアームにすることで俊敏性の高さを実現している。

 S1およびS1スポーツバックは第2四半期に販売を開始する予定で、本国での価格は2万9950ユーロ~となっている。

初公開のS1スポーツバック。ベースとなるA1からエンジンパワーが向上するとともにブレーキも大径タイプを採用。タイヤサイズは17インチと、オプションで18インチも設定

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。