2015デトロイトショー

レクサス、最新の“F”「GS F」を世界初公開

GT3規定のレーシングカー「RC F GT3」はエンジンを始動させて登壇

会期:2015年1月12日~25日(現地時間)

新型「GS F」との記念撮影に応じたFシリーズの開発責任者を務める矢口幸彦主査(左)とジェフ・ブラッケン氏(右)

 レクサス(トヨタ自動車)は北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)で、同ブランドのハイパフォーマンスシリーズ“F”としては3車種目、現行モデルでは2車種目となる「GS F」を初公開した。

 レクサスのFモデルは、頂点の「LFA」を筆頭にし、先代モデルで販売を行なっていた「IS F」、2014年10月に発売が開始された「RC F」、そして今回のGS Fというラインアップで構成される。レクサスが展開する各モデルに設定されているF SPORTは、Fモデルのセッティングや味を手頃な価格で体感できるグレードとして好評を得ている。

 Fモデルすべての開発責任者を務める矢口幸彦主査によると「Fモデルが追求するのは、走るたびに心が躍り、笑顔になるクルマ。サウンド、レスポンス、パワーを楽しい走りの基本要素として大切にしており、実際にGS Fのハンドルを握るとすべてのドライバーが心と体でその真髄を実感できることを目指した」とFシリーズと新型のGS Fの特徴について語っている。

 GS Fの性能面に関しては、先行して発売しているRC Fを引き継いでいる。エンジンはV型8気筒 5.0Lの2UR-GSE型で、北米仕様の最高出力は348kW(473PS)/7100rpm、最大トルクは527Nm(53.7kgm)/4800-5600rpm。高効率化と省燃費性を求めるために直噴化されていて、トヨタの独自技術となるD-4Sを採用。さらに省燃費性を高めるために、定常走行域ではアトキンソンサイクルによる燃焼方法を取っている。

 トランスミッションは8速ATの「8-speed SPDS」。Mモードをセレクトすると最短0.1秒でのシフト操作が可能になり、素早くギアを切り替えられる機構を持つ。走行モードのセレクトも可能で「STANDARD」「SLALOM」「CIRCUIT」の3つを用意する。純正のままでサーキット走行が楽しめるというFシリーズの特徴は、4ドアセダンのGS Fになっても変わらない。

 エクステリアデザインは、大型のスピンドルグリルやエアダクト、カーボン製のグリルロアモール、リアスポイラーなどの専用パーツが装備される。見た目のワイド&ローなプロポーションは、まさしくFモデルそのもの。

 インテリアも、ベースとなるGSに対して多くの専用パーツが装備されている。水温、油温、走行中のGや後輪トルク配分の情報をインストルメントパネルに表示するメーターやホールド性の高いシートなどがGS Fならではのアイテムとなる。インパネやドアトリムにはアルカンターラを仕様し高級感とスポーティさのある仕上がりにもなっている。

 2ドアクーペのRC Fに対して4ドアセダンのGS F。性能面やセッティングなどは共通な部分も多く、どちらもノーマルのままでサーキット走行を楽しめ、街乗りでもクルマを操る楽しさを十分に体感できる。というようにパフォーマンスは、どちらもほぼ同様の仕上がりとなっているようなので、オーナーの好みのスタイリングによって選ぶことになるのだろう。

 価格は発表されていないが、2015年の後半に市場に導入される予定となる。

ワールドプレミアされた新型GS F。ボディーサイズは、4915mm×1845mm×1440mm(全長×全幅×全高)でホイールベースは2850mm。車重は1830kgとなっている
エキゾーストは左右4本出しの専用アイテムを装備
カーボン製のリアスポイラーも機能性とスポーティさを併せ持つパーツ
大きな開口部を持つフロントフェンダー。標準車のGSよりもトレッドを広げているため二ワイド化されている
フロントタイヤのサイズは255/35R19。ミシュランのパイロットスーパースポーツを装着する
リアタイヤのサイズは275/35R19。ホイールサイズはフロント9J、リア10Jになる
2UR-GSE型エンジン。最高出力は348kW(473PS)/7100rpm、最大トルクは527Nm(53.7kgm)/4800-5600rpm
インテリアは、ブラックとホワイトのツートンで仕上げる。アルカンターラやカーボンなどの高級素材を随所に取り入れた
ホールド性の高いシートはGS Fのために一から開発を行なった

FIA GT3規定に対応したレーシングカー「RC F GT3」

プレスカンファレンスに登壇した米国トヨタ自動車販売の副社長兼レクサス部門のゼネラルマネージャー ジェフ・ブラッケン氏

 GS Fとともにプレスカンファレンスで披露されたのは、2015年からレース参戦が予定されている「RC」をベースにしたFIA GT3規定の「RC F GT3」。2014年のジュネーブモーターショーでワールドプレミアされて以降、世界各国のサーキットでテスト走行を重ねている。プレスカンファレンスでは、エンジンを始動する様子も公開された。エンジンは自然吸気モデルとなるようだが排気量は未定とのこと。

 国内ではSUPER GTシリーズに参戦することが想定され、北米でもシリーズ参戦することが発表された。

 まだ、ライバルのGT3モデルに比べてセッティングやパフォーマンス面でギャップがあることは確かなようで、2015年はテストとしての実戦投入になる。そのため、レースチームへの供給ではなく、どのシリーズにもレクサスレーシングとしてエントリーやメンテナンスを行なう模様だ。

モーターショーでは初めてエンジンを始動した「RC F GT3コンセプト」。エンジンの排気量は検討段階というが、自然吸気タイプであることは決定している
室内も初めて公開された。GT3の規定に則って製作を行なっている
リニューアルされたLEXUS RACING Fのロゴが貼られていたRC F GT3。開発が進められているGT3車両の今年のスケジュールは、各国のシリーズにテスト参戦することになる。そのときのレースチームがLEXUS RACINGになるようだ

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。