東京オートサロン 2017
【東京オートサロン 2017】ナビゲーションの“次”を模索するカーナビメーカーの展示
自動運転技術を披露するパイオニアと、高音質オーディオの統合システムをアピールするクラリオン
2017年1月13日 22:42
- 2017年1月13日~15日 開催
1月13日~15日までの日程で、幕張メッセで開催されている「東京オートサロン 2017」では、国内大手カーナビメーカー2社が最新の製品と技術を披露している。スマートフォンという強力なライバルの登場によって難しい舵取りが迫られるなか、カーナビメーカー各社はナビゲーション機能をより充実させるだけでなく、それ以外の部分で各々の“強み”を活かす戦略を推し進めている。
10年間の蓄積データを武器に自動運転技術の展開を計るパイオニア
カロッツェリアブランドでカーナビゲーションシステム「CYBER NAVI」を展開するパイオニアは、1月8日(現地時間)まで米ラスベガスで開催されていた「CES 2017」で初めて披露した自動運転システム「コンセプト・コックピット」を展示している。日本国内ではこれが初公開となる。
運転席を模した3つの画面とヘッドアップディスプレイを擁するコクピット、それに車両の前方視界を再現する大画面の3Dグラフィックを組み合わせた仮想体験用システムで、自動運転レベル3相当の走行デモンストレーションを体感できる。米国で開催されたCES 2017での展示とは異なり、右ハンドル、左側走行、日本語によるナビ音声の“国内仕様”となっている。
同システムでは運転席に座り、実際にステアリングを握って手動走行を開始し、高速道路上での自動運転への切り替え、インフォテイメントシステムの操作、眠気検知後のシート振動による警告、手動走行への切り替えなどが体験でき、市街地での歩行者、障害物の検知・回避動作も確認できる。
手動走行時はヘッドアップディスプレイに映る行き先指示を確認しながら操縦でき、危険検出時や回避の指示もヘッドアップディスプレイ内で確認できるなど、視点を大きく動かすことなく運転に必要な情報が得られることが分かる。また、自動走行時は自動的に運転席がリクライニングし、メインディスプレイが見やすい位置に動いて動画などを再生するという演出もある。
ドライバーが睡眠状態に入りそうな状況を想定した検知機能のシミュレーションでは、ドライバーに覚醒を促す座席の振動も体験できる。手動走行へ戻る際にも数十秒前からアナウンスがあり、安全に自動運転と手動運転を切り替えられることが理解できる内容となっていた。
自動運転に関わるシステムは競合の多い分野だが、同社担当者は、これまでに独自の基幹システム「スマートループ」を通じて、カーナビなどからユーザーの年齢、性別ごとの走行履歴を収集していることや、災害時に走行可能な道路情報などを保有していること、自動運転用に地図情報を提供するに当たって最適な形にするノウハウやベース技術があることなど、「10年間の蓄積」を強みに展開していきたいと話していた。
4画面分割のインフォテイメントと高音質オーディオを体感できるクラリオン
狭額縁大画面の「スーパーワイドナビ」シリーズを展開するクラリオンは、ナビシステムに加え、複数の車載カメラやオーディオシステムを統合するインフォテイメント端末のコンセプトモデルを展示している。最大のポイントは、1つのディスプレイ内に4つの異なる画面内容を表示できることだ。
音源からスピーカーまで完全にデジタルのままで完結するオーディオシステム「Full Digital Sound」と、左右ドアミラー・フロント・リアに埋め込まれた4つのカメラを連携して車両を真上から俯瞰可能な「SurroundEye」を接続し、カーナビ本体の1280×720ドットの高解像度9インチ液晶画面ですべてをコントロール可能。画面を最大4つのエリアに分割表示できる「Quad View」機能を備え、カーナビ地図、オーディオ再生画面、設定画面などを同時表示しながら、指先のドラッグ操作で分割サイズを自在に変更できる。
従来のFull Digital Soundシステムで必要だったコマンダー(オーディオ操作用モジュール)は省略し、カーナビ本体画面上のインターフェイスで代替できるため、本体のみを車内にスタイリッシュに取り付けられるのも特徴。コンセプトモデルということもあり、発売時期や価格は未定となっている。