【東京モーターショー2011】 三菱自動車、「PX-MiEVII」と「新型ミラージュ」をワールドプレミア EVの電気を使った「MiEVカフェ」なども展示 |
三菱自動車工業は東京モーターショーで、小型、低価格、低燃費をコンセプトにしたコンパクトカー「新型ミラージュ」と、プラグインハイブリッドEVシステムを搭載したSUVのコンセプトモデル「PX-MiEVII」の2台を世界初公開した。
PX-MiEVIIをアンベールし、三菱自動車工業 取締役社長 益子修氏のプレスカンファレンスが始まった | PX-MiEVIIと同様、世界初公開された新型ミラージュ |
新型ミラージュは、新興国市場に軸足を置きながら、世界中のユーザーの幅広いニーズに応える新しい世界戦略車。高い環境性能やダウンサイジングの要望がある成熟市場と、中間層に向けたエントリーカーの要望が高い新興市場の、双方のニーズに対応するコンパクトカーとして開発された。その開発段階では、部品のひとつひとつ、細かなパーツにいたるまで、小型軽量化と高機能・高性能の両立を目指した設計を行なっている。
新開発のエンジンには、可変バルブタイミング&リフト機構のMIVECが採用され、高い環境性能が要求される地域では、アイドリングストップ機構を採用する。さらに高いボディー剛性を確保しながらクラス最軽量になるというプラットフォームを開発。空力に優れるデザインを組み合せることで、30km/Lというトップクラスの燃費を目標とする。
現在建設中のタイの新工場で生産する予定で、来年3月にタイ、ASEAN地域で販売を開始し、続いて世界展開を進めていく。日本市場には来年夏に投入の予定だ。
新型ミラージュのルーフ形状は、空力性能向上に効果的な造形。後席乗員の頭上スペースをしっかり確保しながらルーフ後端を落とし込んでいる |
インテリアの完成度も高く、このまま市販に移行しそうだ |
コンパクトなボディサイズながら、居住空間や荷室スペースは十分に確保。インテリアは、シンプル&クリーンをテーマに、明るく開放的で居心地のよい室内空間を実現。また、運転をしやすくするために、ドライバーからエンジンフードが見える造形としている |
新型ミラージュに搭載されるエンジンは、減速エネルギー回生システムを採用した1.0リッター 3気筒の新MIVECエンジン。アイドリングストップと組み合わせてクラストップレベルの燃費を目指す |
PX-MiEVIIは、EVの課題である航続距離の問題を解決し、行動範囲を大幅に広げることを目標に作られたプラグインハイブリッド車である。同社は2009年にEV「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を、この12月には同じくEV「MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)」を発売してシティーコミューター向けの軽・小型クラスでEVを展開する。その一方で、長距離移動での利用が多い中型クラス以上に対する考え方の提案として、このコンセプトカーを出展した。
PX-MiEVIIには、i-MiEVを商品化することで得られたさまざまな技術やノウハウを活かした、新開発の三菱プラグインハイブリッドEVシステムを搭載している。これはEV走行を基本に、状況に応じてエンジンを駆動させるというもの。通常走行時には、駆動用バッテリーの電力のみで走行するEV走行モードとなり、搭載する大容量のバッテリーで50km以上の走行が可能。つまり日常では、ほぼEVとして使用することができる。
また、力強い加速時や高速走行時には、エンジンも駆動するシリーズ走行モード、あるいはパラレル走行モードに自動的に切り替わるなど、走行状況に応じて最適に制御される。
このシステムで、プラグインハイブリッド車の燃費指標である複合燃料消費率は60km/L以上、航続距離では800km以上を開発目標としている。
さらにi-MiEVなどのEV同様に、1,500Wまでの給電機能を備えており、非常時の電力供給のほか、移動先で電力を利用することも可能。アウトドアユースや趣味での活用など、クルマの使い方も広がる。駆動システムとしては新たに、ツインモーター式4WDを開発。これはパジェロの4WD技術と、ランサーエボリューションの車両運動統合制御システムのノウハウをふんだんに採用。このPX-MiEVIIのシステムを具現化したSUV車を、2012年度中に市場に投入する予定だと言う。
PX-MiEVIIは大容量の駆動用バッテリーを搭載しているため、日常のほとんどのシーンでEV走行が可能。また、走行中にエンジンで発電し、バッテリー電力を蓄えることができる |
11月24日に発表されたばかりのMINICAB-MiEVも展示。大容量バッテリーに蓄えられた電気を交流に変換し、カフェやライブ演奏の電源として用いる提案展示が行われていた |
(細谷智昭)
2011年 12月 2日