【第10回】事故以外でも使える自動車保険
クルマの故障から自転車運転中の事故、さらにレジャーの割引まで


 前回はクルマを運転中に事故を起こした際の対処方法や使われる保険について解説したが、今回は事故以外で保険を使うケースについて説明したい。クルマの故障といったトラブルや、飛び石・いたずらといったアクシデント、クルマを運転しているとき以外の事故やトラブルでも自動車保険が使えるケースは多い。さらにそれぞれの保険会社でオプションのサービスを用意している場合も多いので、契約したら一度確認しておくとよいだろう。

ロードサービス
 パンクやバッテリー上がり、キーの閉じ込みなど、クルマを使っていると予期せぬトラブルに見舞われることは少なくない。そうしたとき真っ先に思いつくのはJAFだが、実は最近の自動車保険は、ほとんどの場合ロードサービスにも対応してくれる。1年間に利用できる回数に制限があったり、レッカーできる距離に制限があったりするが、無料のケースがほとんどだ。

 筆者は昔、高速道路上でガス欠になったことがある。レッカー車で最寄りのPAまで移動し、給油までしてもらったが無料だった。このときのガソリン代については、継続2年目以降だと無料という場合が多いようだ。他に路上でクラッチが切れなくなったときは、提携修理工場まで運んでもらったこともある。これもレッカー代は無料。今まで付き合いのない修理工場なので一抹の不安があったが、修理費で過剰な請求をされることもなく、むしろとてもサービスがよくて驚かされた。もちろん工場にもよるのだろうが、工場にしてみれば、それをきっかけに常客になってもらえれば、という思いもあるのだろう。

 ロードサービスの内容は各社様々で、中にはキー紛失時のキー制作を行ってくれる会社もある。他にも30分程度の作業であれば無料で対応してくれるケースが多いので、困ったら連絡してみるとよいだろう。

歩行中や自転車、ファミリーバイク運転中の事故
 契約したクルマを運転している時以外にも事故に遭うことはあるし、保険を使えるケースはある。

 人身傷害保険に入っている場合は、自分だけでなく家族が歩行中や自転車を運転していた際などに起きた事故について補償してくれる(搭乗中のみ担保特約を付けている場合は除く)。その補償範囲は広く、たとえばクルマのドアで指を挟んでしまった、という場合にも使えることがある。まずは相談してみるのがよいだろう。また、原付特約(ファミリーバイク特約)に加入していれば、原動機付自転車を運転していての事故も補償の対象だ。

他人のクルマを運転中に事故を起こした場合
 友人など、他人のクルマを運転していて事故を起こしてしまうこともあるかもしれない。そういった場合にも自分の保険を使うことができる。もちろん運転していたクルマに付けられた保険を使うこともできるが、そのクルマの保険の等級が下がってしまい、実質的にその契約者は損をすることになる。自分の保険で賄えば相手に迷惑を掛けることがないわけだ。

 他車運転特約(他車運転危険担保特約)と呼ばれるものがそれで、多くの場合自動的にセットされている。これならば、年齢制限に見合わないクルマや家族限定特約を付けた他人のクルマでも安心して運転することができる。ただしその補償内容は保険会社によって若干異なる。対人・対物賠償については、各社自分の契約範囲内で支払われるが、車両保険については支払われない保険会社もある。また、自分自身が車両保険に入っていない場合はいずれにしても支払われないので注意しよう。

 自分はクルマを持っていないが、他人のクルマを運転するというケースもあるだろう。そんな場合はドライバー保険という選択肢もある。通常の保険に入るよりも保険料を抑えられるので、マイカーは所有していないが、他人のクルマを借りて運転する機会が多い人は活用するとよいだろう。ただし家族のクルマを運転する場合は適用されない。

ソニー損保ではソニー製品の割引といった特色あるサービスを用意する

その他、自動車保険に付帯できる特約やサービス
 保険会社各社では、通常の自動車保険とは別に、日常生活で他人をケガさせてしまった場合や自分がケガをした場合を補償する特約を用意していることがある。損害賠償の特約では、買い物中に高級な商品を壊してしまった場合や自転車で他人にケガをさせてしまった場合にサポートする。また自分や家族がケガをした場合にサポートする傷害特約を用意する会社もあるので活用してみるのもよいだろう。

 そのほか、24時間医療相談を受け付けるサービスや、クルマの買い取り査定、廃車といったサービスが用意される会社もある。また、例えばソニー損保では、ソニー商品の割引やソニーピクチャーズのDVDを優待販売するなど、各社契約者向けの割引サービスを用意しているので、ぜひ一度調べてみよう。

(瀬戸 学)
2011年 6月 27日