長期レビュー

高橋敏也の“帰ってきた”新型プリウス買ってみたレビュー

第6回 第15回 エコカーカップ 2016 夏大会に参戦しました!

新型プリウスで第15回 エコカーカップ 2016 夏大会に参戦

 時は来た! ようやくエコカーカップ(Eco Car Cup、以下ECC)に関して書けるぞ! この日をどれほど待ちわびたことか。というのも私が参戦した第15回のECCは、7月2日の土曜日に富士スピードウェイで開催されたものなのだ。ほぼ3カ月前の話なのだが、クルマ用のクーラントを水冷パソコンで使ってみたり、F1に行ってみたりとバタバタしていた影響で、なかなか書くことができなかったのがECC。

 なんと不肖・高橋、このECCに参加してきました! それもプリウスに乗って! だからもうこのECCを書きたくて仕方なかったのだが、ようやくその機会がまわってきた! ここで書きたいことは主に2つ! 「ECCはスゴいぞ、楽しいぞ!」というのが1つ、そしてもう1つは「謀ったな(たばかったな、と読みます)Car Watch!」である。

 主に「謀ったなCar Watch!」を書きたい訳だが、これが話せば(書けば)短いやら長いやら。うっかりミスと言えばそれまでだし、私も含めて早い時点で誰かが気づいていれば防げたことなのだ。そして何より今回の惨劇は、第三者的に見るとそうたいしたことではないのである。だが、そのうっかりミスに気づいた時の「チームCar Watch監督」の大変ありがたいお言葉を、私は決して忘れないだろう。

「いやー、失敗した! あはは!」

 上記のフレーズ、もう1度登場します。それでは私のECC顛末記をお届けしたいと思います。

エコなレースだからエコカーカップ

レース前の準備。レギュレーション通りに配布されたスポンサーステッカーを車両に貼っていく。こちらはモリドライブさんのステッカー。右は今回のECCに一緒に参加いただいたモータージャーナリストの岡本幸一郎氏

「世界最速は誰なのか」を決めるのがF1なら、「1番エコに速く走るのは誰なのか」を決めるのがECCである。そう、ECCは一般的なカーレースと異なり、速く走るだけではダメで、その走りにエコ、すなわち好燃費を求められるのである。サーキットを速く走るということも難しい訳だが、ECCではさらにエコを求められる。そしてECCもレースであるからにはライバルと競い合い、順位が決まるのである。

 富士スピードウェイで年に2回開催されているECCも、2016年の7月2日の開催で15回目となった。実は私、ECCに関しては前回の第14回を予備取材していた。このためECCが何であるかは知っていたし、その難しさもある程度は理解していた。そして何よりレース参加者が、予想以上に「マジ」であることも知っているのである。

 さてさてそのECC、カテゴリ的には「Enjoy 60」と「Challenge 180」の2つに分けられている。なとんなく字面で分かることだが、Enjoy 60は60分、そしてChallenge 180は180分の「エコ」な耐久レースである。両者に共通するのはラップタイムに上限が定められていることと、燃費がポイントに換算されて順位に影響するということだ。

 まずEnjoy 60の方だが、こちらは富士スピードウェイを基本的に誰でも安全に走行できるラップタイム、4分45秒が設定されている。これ以上のタイムを出した場合、それはペナルティとなり最終的な順位に影響する。ちなみにこの4分45秒というラップタイムだと、参加者は富士スピードウェイを13周し、平均車速はトップチームで57km/hぐらいになる。富士スピードウェイを57km/hで走るならノーブレーキ、アクセルコントロールだけで周回できるはずだ。

 一方、Challenge 180のラップタイムは3分15秒となり、3時間をかけて富士スピードウェイを55周ほどすることになる。平均車速もグッと上がり、80km/h前後で周回するというか周回しなくてはならない。また、Challenge 180の方は最低50周の周回が設定されていて、それを下回るとやはりペナルティポイントとなる。

 そして何より重要なのは「燃費」。ECCは予選結果、決勝結果、燃費、そしてペナルティポイントの4つを集計して順位が決まる。4つの要素は全てポイントに換算されるのだが、興味深いのはそのポイントが「マイナス」換算される点だ。要するにポイントが少ない順に順位が決まるのである。例えばEnjoy 60の場合、燃費の順位が1位だとポイントは「1」となる。そして燃費が10位だとポイントは「17.2」なので、燃費1位との差はなんと「16.2」にもなるのだ。

 同じくEnjoy 60では決勝順位が1位だとポイントは「1」、10位だとポイントは「10」である。単純計算だと決勝が10位でも燃費が1位なら、決勝1位で燃費10位のチームに勝ててしまうのである。そう、決勝10位で燃費1位ならポイントは「11」、決勝1位で燃費10位ならポイントは「18.2」となり、ポイントが少ない方が勝つのだから。

レース内容(主要部分)

Challenge 180Enjoy 60
レース時間3時間耐久レース1時間耐久レース
最低周回数50周設定なし
ピットイン5回以上2回以上
最短ラップ3分15秒以下(スタート周回のみ3分以下)はペナルティ4分45秒以下(スタート周回のみ4分以下)はペナルティ
給油可能不可

 まとめると、Enjoy 60は「決勝レース結果」+「燃費」+「ペナルティ」で、Challenge 180は「予選結果」+「決勝レース結果」+「燃費」+「ペナルティ」で順位が決まるということだ。ちなみにEnjoy 60に「予選結果」がないのは、Challenge 180の場合は予選でスタートグリッドを決定するのだが、Enjoy 60ではスタートグリッドが抽選で決まるためである。

 参加できる車両やレギュレーション、カスタマイズの範囲に関しては細かい設定があるので、富士スピードウェイのサイトのルールブックを熟読してほしい。もちろんサーキットレースなのだからヘルメットなども必要となる。まあ車両に関して言えば、メーカー標準で燃費計測ができるクルマなら概ね大丈夫だ。もちろんプリウスならば、ノーマルであればそのまま参加することができる。

 参加するためのハードルが低く、初心者でも楽しめるのがECCの特長。ただし、上位を狙うとなるとこれが結構大変だし、ライバルたちもそう易々と上に行かせてくれないのが、これまたECCなのである。

おっさん、ドアにもステッカーを貼る
岡本さん、ヨコハマタイヤのステッカーを貼る
牽引フックの装着も義務づけられている
ラップ計測のためのトランスポンダーが貸与されるので、それを車両に固定する
ゼッケンの用意もないということなので、おっさんが急遽テープで細工する
ゼッケンには視認性の高さが要求される
早朝、富士スピードウェイに怪しい霧が立ちこめる……

岡本選手、高橋選手、180分の苦闘! その時監督は……

「モータージャーナリスト業界のチーター」こと岡本さんと、「ただのおっさん代表」の高橋さん。2人で3時間走り切るのだ!

 岡本幸一郎さんはモータージャーナリストにしてカー・オブ・ザ・イヤー選考委員。彼と初めて出会ったのは雪深い北海道士別市、ブリヂストンの冬季タイヤテストコースであった。「岡本さん速いから、一緒に乗ってみるといいよ」とかCar Watchに言われて、スタッドレスタイヤの試乗会で助手席に座らせてもらった……のが運の尽き。怖いよ、岡本さん! どうしてそんなに雪道を飛ばすの、岡本さん!

 第15回 ECC当日、私とCar Watch編集長を乗せたプリウスは早朝、岡本さんと合流して富士スピードウェイへと向かった。そう、岡本さんは私とコンビを組んでChallenge 180に参戦するのである。車両は編集長が借り出してきたプリウスのAグレード。「なんでEグレードじゃないんですか!? Eグレードの方がスペック燃費がいいでしょうに!」と言えば「ほかのメディアが先に確保しちゃった」との返答。ちなみに私のプリウスはE-Fourなので、燃費的にもスピード的にも不利なのでお留守番となった。

 ECCはタイムよりも燃費が重視されるレースだ。車両の基本的な燃費は勝つための重要な要素だが、ではタイムを無視していいかというとそういう話でもない。制限されたラップタイムの元、Challenge 180では最低50周という周回をこなさなくてはならないからだ。また、Challenge 180では「予選順位」と「決勝順位」もポイントとして加算される。「神速のモータージャーナリスト」と呼ばれる岡本さんが予選を走って上位を狙い、岡本さんが3分15秒ギリギリのラップタイプで50周以上を周回する。これならチームCar Watchも上位を狙えるだろう!(とか考えていた時期が私にもありました)

 レース当日、富士スピードウェイに集結したエコカーたちは、早朝から準備に追われる。6時30分から参加確認と車検が始まり、8時にはブリーフィングが行なわれる。ブリーフィングではレースのルールやサーキット走行の注意点が解説されるので、参加必須である。そして9時からChallenge 180の練習走行と予選が始まる。その後、Enjoy 60の練習走行をはさんで10時30分にはChallenge 180がコースイン。予選結果に基づくグリッドに入り、11時の決勝レース開始となる。

オフィシャルスタッフによる車検。不備が見つかった場合はその場で対応しなくてはならない
ゼッケン63番、チームCar Watch、無事車検通過!
全体ミーティングはお馴染みクリスタルルームで行なわれる。参加必須である
こういった重要な情報を聴ける
「初めてのサーキット」ならばルールブックの熟読とミーティング参加は絶対条件
サーキットの掟です

 さて、さてさて。ここでついに「謀ったなCar Watch!」の話となる。ECCというレースは2名乗車、ドライバーとパッセンジャーが乗車するレースなのだ。これはEnjoy 60もChallenge 180も同じ、その上でEnjoy 60は2回以上、Challenge 180は5回以上のピットイン(その際にドライバー交代ができる)が必須となっている。さて、2名は常に乗車している訳だが、我がチームCar Watchのピットを見ると、ヘルメットを持っているのが2人しかいない。岡本さんと私、以上である。

 えーと、2名乗車が必須で走るのが2名。ということは180分、3時間、その2人が走り続けることになるんですが……。もしかして岡本さんと私は休憩もなく、トイレにも行かず、2人で3時間走り続けることになるんでしょうか?

 ここでCar Watch編集長改め、チームCar Watch監督に就任された方のお言葉をお聞きください!

「いやー、失敗した! あはは!」

 これだよ、これ! もちろん「編集長も走ればいいやんけ!」とは言ってみたのだが、装備もなしということで無理! ちなみに監督の仕事はピットに待機しつつ、原稿をチェックすることだそうだ(本当に原稿チェックしてた!)。ちなみにこの件、編集長ばかりを責める訳にもいかない。なぜならルールブックは皆がチェックしており、2名参加だと交代要員がいないということは明白なのだから。

 気を取り直してチームCar Watchは予選に挑む。私も少しは走るのだが、グリッド確保の本命は「陸のスピットファイア」と言われる岡本さんである。岡本さんならなんとかしてくれる、岡本さんならかなり前の方のグリッドを確保してくれる……とかね、甘かったですわ。

タイヤの空気圧をチェックする岡本さん。燃費を稼ぐなら空気圧は少し高めの方がいい
予選が始まる

 前回の第14回の時も、Challenge 180の予選で第1コーナーにベンツが凄まじい勢いで入っていったのを見て「これエコカーレースだったよな」とか思ったのだが、第15回にはアウディ・クワトロがいましたよ、しかもベストラップで2分10秒切ってきましたよ。いくら「我ニ追イツク敵機無シ」の岡本さんであっても、車両的に明らかなハンディがある。それでも頑張ってくれた岡本さん、約80台が参加したChallenge 180にあって半分より少しだけ前、38位を確保してくれた。

激走、岡本さん!
一応、おっさんも予選を走りました
予選途中のタイム表示。1位のアウディに注目!

 実はこのChallenge 180の予選、1つの見せ場というか楽しみ所でもある。というのもChallenge 180の決勝レースではラップタイムに3分15秒を超えてはならない(超えた場合はペナルティ)という制限がある。しかし、予選にはそういった制限がない。しかもドライバー単独で乗車し、上位グリッドを目指して純粋にタイムアタックを行なう。速いクルマが速く走るのは、むしろ当然と言える。このChallenge 180予選だけは、まあ、エコがどこかへ行ってしまうのだ。

ピットに着いたゼッケン63番!

 そしていよいよ決勝レースである。ドライバーは2人しかいない訳で、その2人で3時間走り切り、5回のピットインを行なわなくてはならない。早朝には濃い霧が立ちこめていた富士スピードウェイだったが、決勝開始が近づくにつれて晴れ間も見え、気温も初夏らしく上昇しつつあった。3時間の1発勝負とはいえ、交代要員がいないレースである。岡本さんか私、どちらか一方がギブアップしてしまうとそこでレース終了だ。そういった事態を避けて完走を目指すため、ECCでは掟破りのエアコンONで行くことを決定。

オフィシャルがメーターで走行距離をチェックする。これ以降はメーターには触らない方がいい
スタート前、なんとトムスチームの監督、関谷正徳さんが各チームを激励してくれた!
スタート直前のグリッド。1番、2番の車種を見て、これがエコレースだと誰が想像できるだろうか?

 そう、完走を果たした上で可能な限りを上位を目指すというのがチームCar Watchの方針となったのだ。メインドライバーは岡本さん、岡本さんが疲れたり、何事かあった時には私と交代する。基本私は助手席にいて、ストップウォッチを片手に秒数を読み上げるのが仕事である。そう、3分15秒を目指して。

スタートぉぉぉぉぉ!

 いよいよ決勝レースがスタートする。スタートラップだけは3分以下で走ることが許されており、各車ともかなりのハイスピードで第1コーナーに殺到する。だが、ギリギリのところで接触はない。サーキットはぶつかっても、ぶつけられても自己責任が基本。ドライバーはぶつけるのも、ぶつけられるのも避けなくてはならないのだ。いずれにしても第1コーナーを抜けた各車は、以降3時間のエコ走行へと突入するのである。

 しばらく走ったところで岡本さんに異変が。何やらヘルメットのチンガード(顎の部分)を掴んでゴソゴソし始めたのである。ヘルメットの位置を調整するというのはよくあることだが、どうも違うらしい。

「岡本さん、どうしました?」

「いや……ヘルメットがきつくて……頭が痛くなってきました……」

「えっ? そりゃマズいですね」

「新調したばっかりなんで、まだ馴染んでないんですよ」

「岡本さん、孫悟空って知ってます?」

激走、岡本さん! 普通のおっさんは助手席でストップウォッチを睨んでいる

 などという小ネタを挟みつつ、チームCar Watchのプリウスは順調に周回を重ねた。無理をしない範囲で、とにかく3分15秒以上で周回を重ねること。その上でどれぐらい燃費のいい走りができるのか? ここがポイントになってくる。

 走りに試行錯誤する中、岡本さんから私にアドバイスが。

「高橋さん、このペースならブレーキをかけるのは2カ所だけでいいです。第1コーナーの手前とシケイン前。後はアクセルコントロールだけで行きましょう。その方が燃費を稼げます」

 さすがである。走行中のプリウス車内で、我々が気にしていたのはラップタイムともう1つ、燃費である。これが興味深いことに岡本さんが運転しているとよくなり、私が交代するとわるくなる。速いということはすなわち、燃費がよいということを意味するのか? 実際、岡本さんのアドバイス通りに運転したところ、私でもある程度は燃費を向上させることができた。

 ヘルメットを気にする岡本さんと、おっさん顔を引きつらせた私を乗せてプリウスはひたすら周回を重ねた。そう、Challenge 180は50周以上の周回が条件だからである。

ピットインではドライバー、パッセンジャーが確実に降車しなくてはならない。オフィシャルがしっかりチェックしている
えっ? 3倍速のあの赤いクルマも参加している?

「おもてなし」を堪能しよう

なぜ小山町で磯辺もちかというと、小山町特産品の1つがもち米だから

 ECCはレースであり、富士スピードウェイでの走りを楽しむのがメインである。だがそこはそれ、走ること以外にもちゃんと「お楽しみ」は用意されている。それが地元特産品による「おもてなし」コーナーだ。

 第15回のECCでは富士スピードウェイの地元である小山町から「磯辺もち」、御殿場市から「みくりやそば」、そして裾野市からはズバリ「富士山かき氷」が提供された。参加者は無料でそれらを楽しめるのだが、1つだけ注意したいことがある。そう、これらのおもてなし品は数量限定なのだ! しかも大人気とあって、どれも短時間でなくなってしまう。午前11時を過ぎたあたりから提供開始となるのだが、おもてなしを楽しみたいなら早めに行動した方がいい。

 前回、ECCを取材した際にもこの「おもてなし」コーナーはあったのだが、プレスとして行動していたため写真を撮っただけで終わった。今回は取材と言えどもレース参加者である。よし、ついに私も「おもてなし」される時が来た! とか思ったのだけど、スケジュールを見てがっくりと膝を落とす。Challenge 180のコースインは10時30分で、決勝レースのスタートが11時ジャスト! 「交代ドライバーがいない」ためそこから180分間、岡本さんと私は走り続けなくてはならない!

「おもてなし」コーナー準備中。こちらは小山町さんご提供の磯辺もち
静岡県産のスイカもふるまわれた
御殿場市さんご提供の「みくりやそば」。ちなみに私には匂いをかぐ機会もなかった
裾野市さんご提供の「富士山かき氷」、涼しげな富士山。ちなみに私には見る機会もなかった

 ええ、一応行ってみましたよ、「おもてなし」コーナーに。レース開始前はまだ時間が早くて準備中、レース後に行ったら撤収しちゃってました。今回も「おもてなし」堪能できず! ただし予告されていなかったおもてなし、冷えたスイカにありつけたのはよかった。7月2日、初夏とはいえ好天の富士スピードウェイは結構暑かったのである(そんな中、おっさん2人で3時間もプリウスに缶詰ですよ)。

 この「おもてなし」、地元2市1町の協力で実現しているものだ。どれも大変好評、美味しいので(ほかの参加者に聞いた話ですけどね)時間があればぜひ感謝しつつ楽しんでもらいたい。

ワイルドにスイカを食べるおっさん。大変美味しかったであります

レースを終えて

ゴール! お疲れ様のゼッケン63

 予選38位、決勝31位、燃費順位40位、ポイント111.3。総合順位55位、プリウス50クラス順位16位(最下位!)、これがチームCar Watchの結果である。当初の予測ではほぼ半分、40位前後に入れればいいと思ったのだが甘かった。特に大きく響いたのはペナルティポイント、ラップタイム超過が3周あり、それだけ30ポイントもペナルティが科せられたのだ。もしこのペナルティがなければ、40位以上に行けた計算となる。

そのまま指定された場所へと移動し……
メーターの最終チェックを受けてレース終了
激走の証。タイヤに相当のダメージが出ている
激走の証2。ドライバーにも相当のダメージが……

 走行距離は54周で247.3km、平均燃費が14.7km/L、計算上の消費燃料は16.578L。ゴールインだけを見ると81台中31位なのだが、燃費順位とペナルティが最終順位に大きく影響する。そしてこれがECCの面白さなのである。速いだけでは勝てず、燃費がよいことは重要だが、それだけでも勝てない。ECCでは総合力が試されるのだ。

上位には食い込めないことが分かったので、とりあえずヤラセで「悔しがるおっさん」の写真をおさえておく

 なお、Eco Car Cup 2016 夏大会の正式結果表は公式サイトで公開されているのでそちらを確認していただきたい。

 プロのレースでは結果がすべてなのだろうが、こちとらアマチュア、ただのおっさんである。「あの時、こうしていたら、こうだったら」という反省を酒の肴にして、盛り上がるのもまた一興。真面目な話、もし次の機会があるなら「エアコンを切って走り、ペナルティを絶対貰わない」ようにしたい。後はまあ、岡本さんに適正サイズのヘルメットを被ってもらい、ドライバーとパッセンジャーで3人体制にすることぐらいか。

 ゴールでチェッカーを受けたら、その後にすぐメーターの確認がある。うっかりミスでメーターをリセットしたりすると失格になってしまうので要注意。それとEnjoy 60は給油ができないし、Challenge 180でも給油は「オフィシャルの承認を得た後、ガソリンスタンドでの給油」のみ認められている。なので決勝レース中にコース上でガス欠になってしまうと、そこで失格となる点にも注意したい(ガソリンスタンドに行けない)。

ズラリと並ぶトロフィー。車種ごとにクラス分けされるため、このようにトロフィーが多くなる。そして表彰式も長くなる(表彰式の長さはネタになるほど)
後援してくださった地元2市1町から嬉しい副賞の提供が

 なお、すでに富士スピードウェイのサイトでは「Eco Car Cup 2017 情報」として来年のスケジュールが公開されている。ECC 2017は現時点で2月11日開催の冬大会、そして7月開催の夏大会の2戦が予定されている。2月11日に開催される冬大会の応募は今年、すなわち2016年の11月1日から開始されるという。回を増すごとに参加者数が増えている人気のレースなので、参加したいと思ったら早めに申し込みをした方がよさそうだ。

 職場や個人的な仲間と参加するのもよし、家族で参加するのも楽しいだろう。真剣に上位を狙うのもアリだと思うし、参加することに意義があるということでサーキット走行を楽しむというのもアリだ。他の参加者に迷惑をかけず、事故を起こさない範囲で、後は自分なりにECCを楽しめばいいのである。

 参加費はChallenge 180で1チーム5万500円、Enjoy 60で1チーム1万9500円。両方に参加するダブルエントリーだと特別割引が適用され、1チーム6万500円となる。参加資格はドライバー、パッセンジャー共に自動車免許を持っていること。サーキットライセンスも不要だし、ハードルはかなり低いと言えるだろう。そしてざっくり言ってしまえば「5万500円で3時間(周回にして50周以上!)、富士スピードウェイを激走できる」と思えば、どう考えてもお得なのだ。

 私も機会があれば是非また参加したいと思っている。そしてその機会がやってきたら「ドライバー、パッセンジャー3人体制」にしたい。エキサイティングなサーキット走行といっても、やはり3時間連続というのは辛いのよ……。

高橋敏也

デザイナー、コピーライターを経て、パソコン関連のライターとして独立。SF小説なども上梓している。ライター歴は20年を超えるが、ここ15年ほどは真面目なレビュー記事より、パソコンを面白おかしく改造する記事などを書いている。若い頃はバイクをこよなく愛していたが、体力の衰えとともにクルマへの興味を持つ。このため自動車免許を取得したのは1998年。現在、クルマはトヨタのプリウス、オートバイはカワサキのZ1300を所有、都内を縦横無尽に走っている。株式会社インプレス、DOS/V POWER REPORT誌に「高橋敏也の改造バカ一台」を連載中。ほかに動画コンテンツとして「本ナマ改造バカ」「高橋敏也ちゃんねる」などをネット配信中。

Photo:安田 剛