長期レビュー
正田拓也の中古「サンバー」生活
第6回 サンバーで大阪往復、軽トラで遠出は現実的か?
- 正田拓也
2016年8月16日 00:00
サンバー生活もだいたい落ち着いてきてしまい、日常の足として生活に完全に溶け込んでいる。最初はボロボロの軽トラックが恥ずかしいという気持ちもあったが、今や完全に下駄状態。多少のボロさはどこに乗っていっても気楽。ドアパンチを恐れる必要もない。
ホームセンターでプランターの土を買っても、なんの躊躇なく荷台にひょいと乗せられる。もう、なくてはならないお気楽な相棒として完全に生活の一部になっているのだ。
そうだ、遠出をしてみよう!
サンバーは気軽な足として、近所をまわるのに全く疲れない運転感覚を持つことは分かっているが、遠出をした場合にどうなるか試したくなってきた。一度に数十kmレベルの走行はしたことがあるが、それよりも長距離の経験はない。何時間も高速巡航したらどうなるだろうか。
最初に検討したのは夏休みに東北でもまわろうと考えていたこと。しかし、特別な目的があるわけでもなく、軽トラで行く必然性もない。ある程度の義務感でもないと軽トラで遠出する気持ちにはならないものだ。
そう思っていたとき、大阪に行く用事ができた。しかも用事は2件で、最初の用事は夕方からなので、朝早く出れば間に合う。さらに2件目の用事のあとは休日なので、帰り道に時間的プレッシャーがない。
新幹線や飛行機で行ってもよい用事だったが、これを逃したら次はないということで、無理矢理サンバーで大阪行きを決定してしまった。
前準備でオイル交換
遠出をするとなればいろいろ整備しておきたいところ。油脂類の量や汚れ、タイヤの空気圧などをひととおり点検する中で、オイル交換をしようと思いついた。サンバーはエンジン内部掃除を兼ねて高頻度でオイル交換してきたが、長時間の高速巡航ということで、直前にあらためて交換しようと思いたった。
高回転が何時間も続く運転となるため、近所のホームセンターで4Lで約2000円と安く売っていたカストロールのXF08を選んだ。粘度はいつも入れている5W-30よりも少し高温にも対応した5W-40となり、高回転でも潤滑性能がよさそうと思ったからだ。
XF08は部分合成油となっており、これまで使用してきた化学合成の5W-30よりも下に見えるかもしれないが、今はVHVIという鉱物油なのか化学合成なのか議論の分かれるものまで「化学合成」とされる時代なので、そこはあまり気にしないことにした。
オイル交換はいつものように、自分で下に潜り込んで行なった。この作業も慣れれば全く苦にならず30分もあれば交換は完了する。もちろん、オイルフィルターも交換した。
交換後、最初にエンジンをかけて思ったのは、音が小さくなったこと。タペット音が少しカチャカチャ音がするうちのサンバーのエンジンだが、交換後はそれがかなり小さくなった。これは期待できそうだ!
タコメーターを付けた
あとはもう1つ。大阪遠征よりも前になるがタコメーターをつけた。メーターをつけたからといって何が変わるわけでもないが、サンバーの場合、高速道路を走ると高回転が続くので、なんとなく状況を把握したかったからだ。
ネットで適当なものを探してチョイス。よく見かけるAutoGaugeブランドのものだが、いろいろ仕様がたくさんある中で52mm径のものを選んだ。
タコメーターの配線は、運転席後ろにあるコンピューターからもらうというネット情報をもとに、デジタルテスターで探り当て、接続したところすぐ回りだした。
メーター自体は速度計も各種警告もふさがない位置としてコラムのところに取り付けた。水温計が見難くなったが、これは視線をずらせば見えるのでよしとする。長距離走こそ水温計が必要なのは分かっているのだが、常時見えていなくてもいいかなと思い、この位置に仮付けした。いずれ、もっとよい位置に移動させるか、薄いバーグラフタイプのデジタルメーターにでも交換しようかと思っている。
そのほかの整備
あとはタイヤの空気圧。山もしっかりある横浜ゴム「JOB RY52」で、圧が特に低くなっていることはなかったが、荷台はほぼ空荷なのでリアタイヤは控えめの空気圧240kPaに落としておいた。フロントも空荷の指定圧の200kPaに調整した。低めにしたのは気温の高い時期の走行なので走行中は少し上がること想定し、高速道路だからこそパンパンよりもグリップ力が欲しかったからだ。
そのほか、ホイールの緩みなどをチェック。助手席を跳ね上げないとチェックできないウォッシャー液を確認し満タンまで真水を補充、あとは全体的にチェックをして準備完了だ。
さあ、出発
実際の出発は6月下旬。東京IC(インターチェンジ)を午前8時くらいに乗るつもりだったのだが、少し遅れて9時に乗った。今回のコースは、東名高速道路を通り、御殿場から新東名高速道路、豊田東JCT(ジャンクション)から伊勢湾岸自動車道、豊田JCTは直進せず東名に戻り、そのまま小牧ICから名神高速を通って、最初の目的地である万博公園すぐ近くの吹田ICまでというコースで、高速道路を503.7km走行するコースだ。
伊勢湾岸道を通って名古屋をショートカット、四日市JCTから東名阪、亀山JCTから新名神というコースのほうが30kmほど近く、現在の東京~大阪の最短コースとなるが、それは避けた。なぜなら伊勢湾岸道がどうも苦手だからだ。
海沿いで横風に吹かれる道で、低い側壁のため、落ちたら即、海中。実際に落ちるクルマがないからあの状態なのだと頭では理解できるが、今回は背が高く軽量なサンバーということと、長距離走のストレス軽減からそれは避けた。新東名はしっかり走るが、その後は昔ながらの道を走っていこうという予定だ。
サンバーは高速走行が苦手かといえばそうでもない。サンバーの活躍の場である赤帽のサンバーは相当なペースで巡行し、しかも背の高い幌を装備しているので、風の影響も相当なものだ。でも、走っていくのだから恐れ入る。つまり、腕さえあれば高速走行などなんの苦でもないはずだ。
ということで、今回の道中も赤帽のサンバーに何度も抜かれながら、サンバーの高速巡行性能を再確認した次第。筆者のサンバーも東名を御殿場まで抜け、そのあと、新東名へと進んだ。
新東名になるとさらにペースを上げるクルマもあるが、サンバーはそうもいかない。100km/h走行で5000rpmという高回転を数時間も使い続けて大丈夫なのか不安がよぎる。新車で完全調子ならまだしも、16万km走行のご老体だけに心配だ。
幸いにして梅雨の時期で途中、雨や曇天もあり、エアコンをつけっぱなしという状況になかったこともよかった点だ。高回転はエアコンのコンプレッサーにも負担をかけるはずなので、それも心配だったのだが、幸いにして行きの行程ではエアコンをあまり付けずに移動することができた。
横風さえなければ高速巡行は快適
500kmの走行を8時間程度で駆け抜ける予定だったので、休憩と80km/h制限の区間が一部あってもだいたい間に合う計算。途中、静岡SA(サービスエリア)で早めの昼食をとるも、順調に走行を重ねていった。
今回は伊勢湾岸道を通らないこととしていたが、新東名など新しい道はトンネルを多用して緩いカーブで進んでいくが、山と山の間のトンネル以外の場所は、意外にも風でハンドルをとられる。
サンバーのハンドリングにシャープさがないので、風であおられてクルマの進路が歪められると、それを立て直すのにハンドルを多めに回さないとならない。これがハンドリングがシャープなクルマだと風であおられても少しのハンドル操作で修正できるのだが。
高速巡行で気になる点はこれだけ。新東名など新しい道ではそういう傾向は顕著だが、豊田JCTから先の東名、名神では風があってもほとんど気にならなかった。養老SA周辺でも横風は強かったのだが、どうも新しい道路の風吹き抜けやすい立地、良好な舗装表面、鉄筋コンクリート層があるコンポジット舗装による良好すぎる平坦性も影響してくるのではないかと思っている。
無事大阪に到着
最初の目的地は万博公園だったので、吹田JCTから降りてすぐ。中環道も万博周回路もさっと通って目的地に到着した。ここまで500km以上の走行、もちろんサンバーはノントラブル。エンジンを切った後に冷却ファンが回るサンバーだが、少し回転する時間が長めだったように感じるのが長時間高速走行を物語っているかというくらいだ。
いったんエンジンが冷えた後は、気持ちだけエンジンの回転が軽くなったような気がする。その後の大阪の街をひととおり走ってみたが、いつにも増して快適な走行ができた。
帰り道は雨、間欠ワイパーなしを悔やむ
大阪での用事2件を済ませ、帰り道は東大阪北ICから乗り、一瞬だけ近畿自動車道、門真JCTから第二京阪道、京滋バイパス、名神から往路と同じで帰ってきた。
第二京阪道では夕方になってきて風も吹いていたことから横風が強く、往路の新東名よりもさらにハンドルをとられながら帰ってきたが、名神に入ってからは風にあおられることなく順調に進むことができた。
途中、ほとんどが雨だったが、ここで気づいたのが間欠ワイパーがないと非常に不便なこと。フロントウインドウは撥水剤を塗っていたが、数時間も連続してワイパーを動かしていくとその効果も薄れてくることや、撥水剤を塗ったガラスは連続してワイパーを動かす必要があまりなくなるため、間欠ワイパーくらいがちょうどよいのだ。間欠ワイパーを付けられるかどうかもふくめて次回改造の際の課題としたいと思う。
燃費は15.99km/L、わりと長距離もいけるサンバー
大阪往復の燃費はトータルで15.99km/Lとなった。往路は15.83km/L、復路は16.15km/Lと若干帰り道のほうが燃費がよくなっている。
渋滞は往復ともなく、違うことと言えば往路はエアコンは全行程の50%くらいで使っていたが、復路は雨のためほぼ100%エアコンを使っていたことやほぼ100%ヘッドライトを使っていたにも関わらず燃費がよかった。基本的には誤差の範囲と思っているが、道路特性によるものもあると思われる。
そんなわけで大阪往復してみたわけだが、風であおられなければ普通に長距離走も問題なしだと思った。こんなボロのサンバーで制限速度いっぱいの速度で巡航しても機関トラブルなし。もう一度サンバーで大阪に行けと言われれば、余裕もった旅程さえ組んでくれればぜんぜんオッケーということだろうか。
さて、次回はどこへ行こうか……。