長期レビュー

正田拓也の中古「サンバー」生活

第10回 車検を通してみた、さて費用は?

ブルーのパーツを装着して車検にのぞんだ

 うちのサンバーの車検有効期限が迫ってきた。まだまだ乗るつもりなので当然のことながら車検を通すことになるが、費用を抑えたい気持ちはもちろんだが、オーナーとしてクルマの状態をしっかりと把握しておきたいとなれば、ユーザー車検一択だ。なお、2017年に車検を受ける際、いくつか変わった点がある。ユーザー車検のベテランの方も注意してほしい。

車検を通すだけなら簡単だが、甘くみてはいけない

 最初に言っておくが、費用面だけでユーザー車検とするつもりはない。実際問題として、ランプ類の球切れさえなければ、車検に合格するだけなら簡単だ。たとえば検査項目の一つ、ブレーキは効いていれば合格で、パッドやシューの厚みがどうであるかは関係ない。あくまで結果だけの検査であって、今後、どうなるかの予測や予防までするものではない。

 逆に言えば、車検すら通らないようなクルマでは本当に危険ということになる。車検は最小限のチェックなので、ふだんから点検整備をしないなら、きちんとした自動車整備工場にお願いし、入念なチェックと部品の予防交換を行なうべきだと考えている。

 また、世の中には球切れやライトの光軸ズレを放っておいてそのまま乗っている人もいる。ブレーキパッドの減りすぎで音を立てているクルマもある。そういった周囲に危険を撒き散らしているクルマを路上から排除する手段も車検制度なのだ。

整備工場に一部確認をお願いする方針

 ご老体のサンバーの車検だが、自分でできることをやったあと、リアドラムブレーキの確認といくつかのチェックは懇意にしている整備工場にお願いするという方針を立てた。消耗品も一部は交換して臨むことにした。

 まずはジャッキアップ。前輪を外してディスクブレーキのパッドの厚みとローターの状態を確認した。うちにやってきたときと同じで、ローターはフラットで段もなく、パッドの厚さも十分だ。比較的最近、両者とも交換したのではないかと想像され、当分の間は交換の必要はなさそうだ。

フロントのディスクブーキをチェック。パッド、ローターとも問題なし
ブレーキフルードもチェック。もう少し使えるとのこと。いずれ交換予定

 また、ホースやブーツ類も異常なし。油脂類の漏れもない。サスペンションなどのガタ付きもなく、車輪の回転もスムーズだ。シャシーの状態から、これまでの車検時にはシャシーブラックを吹くような丁寧な整備をしていたと思われるクルマなので、ボディが錆でボロい状態になっているわりには、フレームはいたって健康だった。

 また、あまり劣化していなかったがエアフィルターとワイパーを交換した。安いサードパーティ製があったため、悩むよりも交換だ。油脂類はチェックの上で今すぐ交換が必要なもののみ交換するということにした。

エアフィルターはあまり汚れていないがサクっと交換
ワイパーは299円の激安品に交換。ゴムの水切れがイマイチだが、撥水剤を使った場合はこれくらいがちょうどよい
ライトは写真だとだいぶ黄色く見えるが、実際はもう少し白っぽい。ライトレンズだけ少し磨いた

 さらに、ヘッドライトは樹脂製で曇りもあったのでネットで有名な金属磨きの「ピカール」でひと磨き。樹脂ライトは劣化するので、光量不足で車検に落ちるクルマも多いそうだ。ついでに4WDスイッチが破れていたシフトノブも、物置の奥から昔使っていたものを引っ張り出して交換。シフトノブについていた4WDスイッチは、エーモンの「貼り付けプッシュスイッチ」を使ってダッシュボードに移設して、シフトパターンは一部手書きでシフトレバーの前に貼っておいた。

シフトノブはてっぺんのカバーが破れていたので手持ちに交換
4WDスイッチはダッシュボードに移植
シフトパターンがないので、付属のシールにEL(エクストラロー)を手書きで追加。車検はこれでも通るが、後日ちゃんとしたものに交換予定
タイヤは交換したばかりのスタッドレスで車検へ。フレームは黒々している

 そして、整備工場に移動し、プロにリアブレーキをチェックしてもらった。リアブレーキはドラムなので、ドラムを外すのに非常に手間がかかると思い込んでいたが、うちのサンバーは簡単にドラムが外れ、あっという間にシューまで到達。クリーニングと調整をしてもらった。整備士いわく、前の整備工場ではメーカー手順に忠実に整備していたと推測されるとのこと。ブレーキシューの厚みも新品に近い状態だった。

リアブレーキドラムを外したところ

 プロに試走もしていただいたが、ほかの同年代のサンバーに比べればフレームや足まわりのガタツキもなく、しっかりした状態とのこと。これなら安心して車検に臨めそうだ。

 また、プロのアドバイスとして、サンバーはプラグコードが劣化しやすいとのこと。交換歴が不明なら、試しに取り替えてみては? ということで、急遽、プラグコードとプラグも交換することにした。

 どちらもNGKのものに交換。近所の走行が多く、プラグは気持ちススが多いような気がしたので、付いていたBKR6Eから番数を下げて、説明書どおりのBKR5Eに交換した。NGKのコードは若干太く、青いコードの「RC-FE60」。ボディはWRブルーには塗らないが、プラグコードがスバルのブルーになった。

プラグケーブルを交換してみるべし、との言葉をいただいた
プラグは説明書によるとBKR5Eが正しい
新品のプラグコード(右側)とプラグと元のプラグコード(左側)
BKR5Eの新品プラグと、BKR6Eの使い古したプラグ。気持ちススが多いので番数を下げてどう変わるか……
ブルーのケーブルがまぶしいエンジン。ケーブルがWRブルーになったとしておこう

最近、車検制度で変わった点

 ここで、車検制度について少し解説。今年の1~2月で変わった点は2つある。1つ目はあちこちで報じられているとおり、警告灯チェックの厳格化。検査官がエンジン停止時→ON→エンジンスタートの動作で、警告灯の動作を確認する。ONの状態で警告灯がつき、エンジンがかかって消灯するかどうかも確認するので、警告灯の電球抜きという不正もできなくなっている。

 そして、2つ目はユーザー車検で自分で書類を作るという人には、これまで有料で販売されてきたOCRシートが無料配布化されたこと。紙質も通常のコピー用紙でよくなり、今後はネットで公開されるPDFファイルをダウンロードして、自分で印刷して使用できるようになっていく。これは軽自動車も登録車も同じで、従来のOCRシートもそのまま使えるので、OCRシートの買い置きがたくさんあるという登録マニアな人でも無駄にならない。

 また、2年前にはなかったことでは、2015年9月から検査時のライトをロービームで計測するように変わったこと。うちのサンバーにとって、ロービーム検査は今回が初となる。このロービーム検査がくせ者で、近年の車検場の混雑はこれが原因と言う業界関係者もいるほど。ライトレンズの曇りや劣化で照射範囲がぼやけていたり、HID化やLED化で照射範囲が変わったりするようなことがあれば合格が難しくなる。サンバーはうちの年式からマルチリフレクタータイプになっているが、レンズカットは比較的はっきりしているので、車検でも問題ないと思っていた。

まずはテスター屋さんで検査の予行演習

 軽自動車の車検(継続検査)は、登録車とは異なり軽自動車検査協会に車両を持ち込む。検査項目は登録車と基本的に同じで、車検前の最終確認である車検場近くのテスター屋さんも同じ場所で同じ検査項目で大丈夫。通常どおりヘッドライトの光軸の最終確認を行なうが、若干の修正をして許容範囲に。ただし、テスター屋さんの見立てでは、ロービームの光量が若干低いこともあり「ローがだめならハイで検査を」とのアドバイスを受けた。

 テスター屋さんで自賠責保険に加入し、重量税の印紙を買い、さらに検査料の印紙を買えば、あとはいよいよ車検場である軽自動車検査協会へと向かう。

 ここで費用をおさらいすると、自賠責保険が24カ月で2万6370円、重量税が8200円。検査料である印紙1400円の合計3万5970円が法定費用。さらに、テスター屋さんのテスター料(1500円~5000円前後)と整備にかかる費用が車検の総額となる。自分の場合は総額で5万円をちょっと超えるくらいで済んだ。

いよいよ車検場に向かう

車検は軽自動車検査協会へ持ち込む

 いよいよ本番。軽自動車検査協会へと乗り込み、書類関係を提出して受け付けを済ませると、検査ラインへ。検索項目は登録車と同じだが、順番が違うので少々戸惑う。ユーザー車検の人がラインへ入ると検査官が手厚く指導(監視?)してくれるので、不慣れな場合は、見栄をはらずに「初めてです」と言ったほうがよい。

 ライン前で車台番号を確認して灯火類を検査するところは同じ。さらに警告灯のチェックで検査官が車内へ入る。その後、ラインに入るといきなり排ガス検査をするところが登録車との違い。その後、サイドスリップ、40km/h検査、ライト、ブレーキと検査していく。心配だったライトも「×」とはならず、ロービームのままで左灯「●」、右灯「●」が出て合格。

 ユーザー車検をやったことのある人は分かると思うが、ライト検査機が上下左右に動いているときはドキドキで、検査機が迷った動きをしたりするとさらにドキドキしてしまう。今回も迷った末の「●」だった。最後の下まわり検査は、リフトでクルマを運転手ごと持ち上げられるのが軽自動車のラインの特徴。最終確認のところで書類とシールまで発行され、これで終了となるのも軽自動車ならではだ。

 最後に車検シールをガラスに貼るが、たまに軽自動車で車検シールが裏表逆になって、車外側に年と月の表示がなく、小さい日付が見えているクルマがある原因が分かった。シールの説明がシートの裏側にあって分かりにくく、間違って貼ってしまいそうになるからだ。自分も間違えそうになるも、なんとか貼り付けて完了だ。

車検合格の証、シールがもらえた!
早速貼る。これで駐車場に停めておいても車検案内のビラが挟まれることもなくなる

これであと2年……持つのか?

 とりあえず、車検という大きなイベントが終了。サンバー自体がご老体ということもあり、今後も整備点検は怠らないつもりだが、車検を通ったことでひと安心。今回の車検では大掛かりな油脂類交換はせず、プラグコードとプラグを交換したことで、若干調子がよくなったような気がする。

 5万円を少し超える額で車検そのものは済んでしまったが、誤解してほしくないのは、今後2年間は点検を除いてこれで無整備というつもりはなく、必要に応じて部品交換や整備をする予定だ。もし、今後2年間、もう少し整備をさぼるつもりならば、さらに油脂類の交換など予防整備を充実させるべきだろう。

 さて、車検が終わっていよいよ春。そろそろスタッドレスタイヤからノーマルタイヤに戻したいところ。暖かくなってきたので、サンバーで何か運びたい……。

次の車検は平成31年2月だ!

正田拓也