長期レビュー

カメラマン高橋学のはたらくスバル「レヴォーグ」

第1回:まずは無事に納車されました、の巻

納車の日というのは前の車との別れの日でもあり少々複雑な気分。特に今回は4台で20年以上付き合ってきたホンダとの別れの日でもありました

 Car Watch読者のみなさまこんにちは。カメラマンの高橋学と申します。このたび我が愛車、というか仕事のパートナーの乗り換えを機に連載させていただくことになりましたのでよろしくお願い致します、って堅苦しいスタートですみません。クルマは発売間もないスバル「レヴォーグ 1.6GT EyeSight」です。納車直後からゆっくり眺める暇もなく、まさに営業車的にアチコチへ移動移動の毎日ですが、そんなドタバタの中から気付いたことをここで書き綴っていければと思っています。

 それでは、はたらくスバル「レヴォーグ」スタート!

レヴォーグに決めた理由

 何はともあれ、まずはこれですよね。いろいろな理由はあるけど決定打は「車幅1780mm」。ズバリこれです。

 これまでステーションワゴン(実はすべてホンダ「アコード」)を4台乗り継いでその総距離は約60万km。その積載性と取り回し、そしてタワーパーキングの利用などいろいろな場面で重宝してきましたが、どのメーカーもモデルチェンジの度に肥大化する傾向は否めず、ほとんどのモデルは1800mmを超える有様。しばらく乗り換えを躊躇しながら「乗ればスグ慣れるよ」という思いと「どこかで歯止めをかけたほうがいいなぁ」という思いが交錯しているころ、東京モーターショーでレヴォーグが発表されました。そう、期待の車幅が1800mmを超えないステーションワゴンの登場です。いや、正確にいうと「レガシィ」も同じ1780mmなんですけど顔やオシリが妙に堂々としているそのデザインにモデル末期まで遂に慣れることができず、購入には至りませんでした。

 新しい駐車場は平面、立体問わず大型化が進んでいるようですが、それでも5ナンバーが主力の時代の影響が色濃い駐車場は少なくなく、1800mmを超える車幅が「駐車」において不便であることは否めないと日々感じてます。僕の場合、商売道具であるカメラはトランクに置かずクッションの効いたリアシートに置くようにしているので、乗り降りはもちろん後席に置いた荷物の出し入れなど狭い駐車場は不便この上ありません。またタワーパーキングに駐車できないクルマは今までも避けてきました。車高はもちろん、最近のクルマでは車幅制限で入れないこともあるのです。

 本音を言えば、実は1780mmだって広すぎだと今でも思ってます。乗員保護の観点から見れば大きい方が当然有利なんでしょうけど、どこか腑に落ちない部分も多々あったりするんです。そんなこと言っても自分でクルマ作れる訳じゃないし、他メーカーにわずかに存在する現行5ナンバーステーションワゴンの色気のなさに食指も動かなかったので、結局今買えるモデルの中でベターな選択だと考えたのがレヴォーグだったのです。

 ステーションワゴンのデザインでとっても大事だと思っているオシリの形が気に入ったのもポイントでした。色は「ギャラクシーブルー・シリカ」。要は青と紺の中間くらいのヤツ。別に大した理由はないんですけど、最近駐車場で見かける白、黒、銀ばかりのモノトーンの風景には抵抗があったので、次にクルマを買う時にはハッキリした色にしようと常々思っていました。あえて言えばそんな理由です。レヴォーグにおいてハッキリした色といえばその最右翼は当然真っ赤な「ライトニングレッド」だったのですが妻にあっさり却下されてしまったので、青が繰り上げ当選となったわけです。

10年近く乗り続けたアコードワゴンの走行距離は25万km。そのプレーンなデザインと走行性能は満足のいくもので、レヴォーグのデビューがなければ30万km位は乗っていたと思います
レヴォーグのお披露目は2013年の東京モーターショー。その後もアチコチで展示され、このクルマに対するスバルのヤル気はものすごいものでしたね
「東京スバルCAR DO三鷹店」には納車ルームなるものがあって、納車における最終的なクルマのチェックや、書類のやりとりなどはすべてここで行われます
1.6GT EyeSightはアルミホイールにキャップが付いていますが、今回そのキャップは納車前にユーザー、つまり僕の確認をとった後取り付けられました。何でもキャップなしで乗りたい人もいるそうです。ちなみにこのキャップ、一度取り付けてしまうとアルミホイールを傷つけることなくはずすのが難しいとの説明を受けましたが、タイヤ交換とかはどうするのでしょうね。キャップをしてしまえば見えなくなる所とは言え、傷がついちゃうのってユーザー心理としては複雑です
オプションでパワーシートを選びましたが、GT-S系に標準のパワーシートに備わるランバーサポート機構がこのシートには付いていません。納車されるまで気付きませんでした
カーゴステップパネルはファッション性の高いステンレス製のものもありますが、実用性を考えバンパーエッジまでカバーする樹脂製のものを選びました。営業車としては当然の選択
LEDリアハッチライトはカーゴルームを頻繁に使うユーザーには必須アイテムだと思います

そんなレヴォーグのファーストインプレッションは……

 「運転しやすいなぁ」っていうのが第一印象。そのデザインに賛否もあるようですが、Aピラーの付け根にドアミラーがないのも想像以上に視界のよさに貢献しているようです。ミラーの位置1つで結構変わるもんですね。抑えた車幅と相まって運転しやすいっていうのが印象的。もちろん、長年ほかのメーカーの車に乗って来たわけだから違和感を感じるところもありますが、おおむね良好。期待どおりってカンジ。

 期待どおりって言えばやっぱりEyeSight ver.3。もうさまざまなメディアで語られメーカーもプッシュしまくりの最新版EyeSightですが、やっぱりスゴイです。特に「全車速追従機能付クルーズコントロール」。自然だし正確だし動作の唐突さもないし、より遠くを広い視野角で見ていることが体感できます。また、ステアリング操作へのアシスト機能「アクティブレーンキープ」「車線中央維持」も正確に動作します。運転中にステアリング操作に直接介入される違和感がちょっぴりあるのが正直なところですが、理想論はともかく毎日のことですから運転中の睡魔など絶対ないとは言えないですし、そもそもこれは任意にONにしなきゃ働かない機能であると考えれば歓迎すべき機能だと思います。

 そんな訳で、今のところ満点のEyeSightですが、実はそれだけにドライバーの使い方が問われる諸刃の剣のような気もしているのが正直なところです。少なくとも高速道路上では運転のかなりの部分を放棄しちゃっても(もちろん意図的に放棄してはいけません)何とかしてくれそうなこの機能はあまり積極的に介入させず、あくまで影武者として使いこなすドライバーのサジ加減がキモなのかもしれません。個人的にはそんな風に考えながら上手につきあっていこうと思ってます。

Aピラーの付け根あたりの視界がドアミラーで隠されることなく見えるのは、何気ないことですが運転していて非常に快適です。安全に関してはEyeSightや7つものエアバッグに目が行きがちですが、こういう地味なところの出来が安全性や運転中の疲労軽減に大きく役立っているのかもしれません

残念なトラブル

 マイナートラブルの範疇だと思いますが困ったことが1点。レヴォーグのEyeSight付モデルにはフロント2カ所、リア2カ所にUSBポートが標準装備されています。これでiPhoneなどの充電もバッチリ!のはずが……このUSBポート、iPhone5から採用されているLightning USBケーブルを差すと抜く時非常に固くて、場合によっては抜けなくなるのです。ネットなどで検索するとアップル側に問題があるような記述も多く見られますが、レヴォーグも例外ではありませんでした。スバル側に問題があろうがなかろうが、1ユーザーとしてはiPhone5の登場時期や国内シェアを考えれば関係者の誰も気付かないまま発売に至ったのは正直言って摩訶不思議な感じがします。抜けずにぶらさがったままのケーブルを見るたび悲しいやら、情けないやら……。

抜けないコード。思わぬ落とし穴でした。
実はまだカーナビがついていない我がレヴォーグ。今は先行予約特典で頂いたiPad MiniでMapFanを利用しています。今後この車に最適なナビ選びをしながら、こちらの操作感もチェックしていこうと思ってます
SUBARUのロゴ入りiPad Mini。オリジナルソフトはもちろん、サファリのブックマークにはSUBARU関連サイトがいっぱい入っています

1000km点検のため入庫しました

 長年乗り続けたアコードワゴン(走行25万7000km)最後のロングドライブはSUPER GT第5戦SUGO(宮城県)の取材でした。目一杯期待しているBRZ GT300の惨敗という苦々しい思いをまだ引きずったレースの翌々日の7月22日、レヴォーグ納車。それからちょうど2週間後、走行1875km。やっと1000km点検に入庫できました。作業指示は通常の点検やオイル交換、そして「USBケーブル抜いてください!」です。

 今回はレヴォーグそのものについての有益な情報はあまり書けませんでしたが、まずは自己紹介と連載開始のお知らせってことでお許しください。もちろん、この間ずっと燃費は記録しています。レヴォーグにしか搭載されていない最新の1.6リッター直噴ターボ「FB16」のことやその他気付いたことなどドンドンお伝えできればと考えていますので今後ともよろしくお願いします。

納車されたらアチコチに出かけいろんな写真を撮ろう!と意気込んではいましたが現実は厳しく、結局いつもと変わらない現場での足としての活躍ばかりです。こいつでゆっくり家族旅行でも行きたいなぁ、なんて思いながら今のところ仕事中に富士スピードウェイのダンロップコーナー脇でスナップを撮るのが精一杯なのが残念。まあ、これからゆっくり楽しんでいこうと思います

高橋 学

1966年 北海道生まれ。下積み時代は毎日毎日スタジオにこもり商品撮影のカメラアシスタントとして過ごすも、独立後はなぜか太陽の下で軽自動車からレーシングカーまでさまざまな自動車の撮影三昧。下町の裏路地からサーキット、はたまたジャングルまでいろいろなシーンで活躍する自動車の魅力的な姿を沢山の皆様にお届けできればうれしいです。 日本レース写真家協会(JRPA)会員