長期レビュー

伊達淳一のスバル「XV」と過ごすクロスオーバーな日常

第1回:ボクがスバルXVを選んだ理由

これが13年間乗り続けた愛車、日産「ウイングロード 1.5Xエアロ」。かつての三菱的なフロントに惚れて3代目三菱「ランサー」からの乗り換えだった。車両価格は諸経費込みで200万円ちょっとだったが、オーディオやナビは後付けで、スピーカーも舶来製にしたりして、なんやかんやでプラス60万円 ^^;

13年16万kmを超えた「ウイングロード」

 クルマを買う(買い換える)のは結構なイベントだ。5年くらいで下取りに出してその差額でうまく乗り継いでいく人もいれば、とことん壊れるまで乗り潰すという人もいる。ボクは後者だ。以前乗っていた「コルサ」や「ランサー」は20万km超えまで乗り続けたし、現在の愛車の日産「ウイングロード 1.5Xエアロ」もすでに購入から13年が経過し、総走行距離も16万kmを超えている。深刻なトラブルといえば、走行距離8万kmあたりでオルタネーターが壊れたことくらいで、オイル漏れやエンジンの不調もなく、このまま何事もなければやはり20万km超えを目指そうと思っていた。

 ところが、昨年秋頃からETC車載器が不調になってきた。主に首都高 横浜線や湾岸線で8割近い確率でETCが認識されず、ゲートが開かなかったり、短い距離で降りても出口で認識されず最大料金を払うことが多くなってきたのだ(ただ、不可解なのは、それ以外の路線ではほとんど問題なくETC車載器が動作するのだ)。また、13年前には最新型だったDVDカーナビも、気温が低くなるとディスクを読み込まなくなり、車内が暖まった頃にエンジンをかけ直さないとダメ。カーナビやETCユニットを新調するという選択肢もあるが、さすがに13年16万km超えのクルマに投資するのはもったいない。それに今年は車検のある年だ。

ランサーに乗っていて遠出で車中泊が多かったので、寝ている間、換気できるようにとサンルーフ仕様をチョイス。しかし、結局ウイングロードで車中泊することは一回もなかったりして。歳ですね。でも、サンルーフがあると車内が明るくて気持ちがいいんだけど、スバルXVの国内仕様にはサンルーフの設定はなし。サンルーフ不人気なんだって!?
ウイングロードのトランク。2.0~2.5リッタークラスのステーションワゴンに比べれば広いとまではいえないが、1.5リッタークラスとしてはかなり健闘している容量。ジッツオ3型4段の自由雲台付きカーボン三脚を縦に収納してもまだ余裕がある。
後部座席とトノカバーの間には、長さ105cmの脚立を挟むことができる。トノカバーの位置も前後2個所にずらすことが可能で、トランク内側の左右にはさらに小物を収納するスペースまである。このラゲッジスペースの広さに匹敵するクルマとなると、なかなか1.5リッタークラスでは存在しない
カーナビやオーディオを取り付けた際、デジタルカメラ等の充電に欠かせないDC/ACインバーターを1DINにきれいに収めてもらった。DVDサイバーナビ本体も、運転席にスペーサーを入れて持ち上げ座席下になんとか収納してもらうなど、業者さんにはかなり無理をお願いしてしまった。オプションのAC電源も脇にあり、また、トランク内にもシガーソケットがあるなど、電源には困らないクルマだった
まだ、ETCゲートが千葉や浮島くらいにしかない時期に、4万円ちょっと出して取り付けたETCユニット(苦笑)。さすがに日光にさらされ続け経年劣化してきたのか、首都高横羽線、湾岸線エリア限定で、通信不良でゲートが開かないという事態が約1年前ほどから起き始め、だんだんその状況は悪化するばかり。ETC/一般ゲートがあるときは、わざわざそこに並ぶという本末転倒状態に……
結局、チェーンは1回も使わなかったけど、なぜか寒冷地仕様車(笑)。バッテリー容量が大きいのが魅力で、バッテリーも常に最上級のものを選んで載せていた。8万kmでオルタネータが壊れ、相模原のディーラーに途中でクルマを預け、電車で帰る羽目になったことがあったが、それ以外は大きなトラブルはなく、フェンダーをぶつけて修理もしたけれど、今でもこのデザインの新車があれば買っていたと思う
車検切れを迎えた11月9日。ディーラーまでクルマを持っていく。最終走行距離は16万3827km。20万kmまでまだ4万km弱もあり、もっと走らせてやりたかった。まだまだガソリンもいっぱい残っています(汗)。最終週は忙しくて、ホントにクルマに乗れなかったのが残念

 ならば、この際、思い切って新車に!と思って、買い換え候補を探してみても、なかなか自分の条件にマッチするクルマに出会えない。実は、4~5年前から、次のクルマはどの車種にするかリサーチはしていたのだが、結局、買い換えたくなるほどのクルマが見つからないどころか、逆に条件にマッチするクルマがどんどん減ってきているのだ。

 ボクがクルマに求める条件で絶対譲れないのは、「タワーパーキングに入れられる5ドア車」。自宅の駐車場は賃貸マンションの平置きなので別にルーフが高くても無問題なのだが、カメラ機材、特にメーカーからの借用機材をいっぱい載せているときなどは車上狙いから盗難を防ぐため、タワーパーキングに止められるか否かは重要な問題だ。また、クルマで出かけても目的地周辺に駐車できる場所がなければ、駐車場を求めてウロウロするだけ。タワーパーキングが選択肢から外れると、それだけ駐車場所を探すのに手間取り、約束した時刻に間に合わなくなるリスクが増大する。ビルが建ち並ぶ大都市圏ではタワーパーキングに止められないと、それだけ駐車に苦労する。つまり、車高が1.55m以下というのは絶対条件だ。

 機材を載せるラゲッジスペースも重要だ。コンパクトカーでも後部座席を倒せばかなりの機材を積めるが、時にはモデルと編集者、場合によってはマネージャーも乗せて移動することもあり、経済性と街での乗り回しを考えると、今乗っているウイングロードと同様、1.5リッタークラスのステーションワゴンを選びたいところ。しかし、この1.5リッタークラスのステーションワゴンが今や絶滅寸前危惧種。1.2~1.3リッタークラスのコンパクトカーと、1.8~2.0リッタークラス以上のステーションワゴンに2極化していて、なんともお寒い状態なのだ。

これで最後のお別れ。アウェイのスバル販売店にぽつんと取り残されたウイングロード。長い間、お疲れ様でした

 もちろん、選択肢がまったくないわけではないが、現行ウイングロード(日産)やフィットシャトル(ホンダ)はリアにかけてのラインがセダンに別のパーツを取って付けたようなフォルムで好みではないし、ジューク(日産)もラゲッジスペースが狭すぎて却下。ハイブリッドカーのインサイト(ホンダ)も、低燃費性能は大きな魅力だが、10年以上乗ることを前提に考えると、バッテリーの耐用年数に不安が残る。街を走っている姿を見て、外観デザイン的に好みだったのがストリーム(ホンダ)。しかし、5人乗りの設定はなくこれまた候補から脱落。アクセラスポーツ(マツダ)やインプッレサスポーツ(スバル)もわるくはないが、今乗っているウイングロードに比べるとデザインもラゲッジスペースも劣るので、無理してまで買い換えるまでのインパクトは感じない。残る選択肢はカローラフィールダー(トヨタ)くらいしかないが、ボクにとっては没個性の象徴のような存在だ。

オレンジのスバル「XV」に一目惚れ

オレンジのボディーカラーがよく似合うスバル「XV」。個性的なホイールデザインも購入の1つの要因

 クルマは「実用性」や「経済性」だけでなく「趣味性」も強い商品だ。本当に気に入ったクルマならちょっと予算オーバーでも頑張って支払いをするが、それほど好きでもないクルマなら、新車でなく程度のいい中古車で妥協するのが経済的。浮いたお金で、カメラやレンズを買ったほうが幸せというものだ(笑)。

 そんなこんなで、好みのクルマが見つからず、新車をあきらめ、そろそろ程度のいい中古車でも探しそうか、と思い始めた今年の7月中旬、おそらくFaceBookのバナー広告だったと思うが、実に個性的なホイールの写真が目に止まり、バナーをクリックした。その瞬間、ボクはスバル「XV」に一目惚れしてしまった。決め手は、個性的なホイールのデザインとオレンジのボディーカラー。何を隠そう、ボクも嫁もオレンジ好きなのだ。

 で、気になるのが車高などのスペックや価格だが、その時点では国内未発表だったので、細かい仕様や価格はほとんど記載されておらず、ググってみると、大雑把にはインプレッサスポーツをベースに車高を高くしたモデルで、海外仕様は車高が1.57mだと書かれている。惜しい! あと2cm低ければタワーパーキングに入るのに、と思いつつ、ディーラーに行けば先行パンフレットがあると情報を聞き、近くのディーラーを探し、パンフレットをゲット。あまり詳しいスペックは書かれていなかったものの、ルーフレールなしなら車高は1.55mだと書かれていた。これでタワーパーキングの問題はクリアだ。

 問題はラゲッジスペースだが、基本的にインプレッサスポーツと同じだという。展示車すらまだどこにもない時期だったので、とりあえずインプレッサスポーツのトランクを見せてもらったが、やはりウイングロードに比べると狭い。それと、海外では1.6リッターモデルがあるのに、国内は2.0リッターモデルのみ。しかも、3ナンバーだ。それとなく価格を聞いてみると、明らかに予算オーバー。また、車種選びに逆戻りだ(苦笑)。

 しかし、クルマメーカーのWebサイトでいろいろ調べてみても、これぞ!というクルマは見つからない。それどころか、スバルXVにますます引かれていってしまう。そんなとき、8月上旬から「お台場合衆国2012」で開催されている「スバル ドライビングフェスタ」でオレンジ色のスバルXV(日本向けプロトタイプ)が実車展示、試乗も行えるという情報が飛び込んできた。

 これは是が非でも見に行かねば! とさっそくお台場に行き、スバルXVの実車と初対面。想像していたよりもオレンジ色がケバケバしくなく、光の加減によってはもっとおとなしい色にも見える。これなら10年以上乗って塗装が若干色褪せてきたり、洗車をサボってちょっと埃をかぶっていても、逆に重機カラーっぽくていいかもなんて思ったりして(笑)。

購入の決め手は先進運転支援システム「EyeSight(Ver.2)」

 そして、購入を決断させた決定打がテレビCMでもおなじみの先進運転支援システム「EyeSight(Ver.2)」。テレビCMでお馴染みの衝突回避の「プリクラッシュブレーキ」はもちろん、高速道路のクルージングや渋滞時のノロノロ運転時に威力を発揮する「全車速追従機能付きクルーズコントロール」はかなり魅力的だ。ドライバー(僕のこと)も製造後50年が経過し、あちこち経年劣化が目立つようになってきたため、こうした運転支援機能の存在は正直ありがたい。

 その後、「CAR DO SUBARU 三鷹」に配備されたスバルXV展示車で、ラゲッジスペースの広さを再確認。やはり、今乗っているウイングロードに比べると、横幅も奥行きも狭く、三脚や脚立がはみ出してしまう。しかし、昔のように大型ストロボなどのライティング機材を満載することはなくなったこともあり、機材に合わせてクルマを選ぶのではなく、クルマに合わせて、機材の選択や載せ方も工夫することに頭を切り換えた。

 というわけで、お盆明けにはすっかり購入の意思を固め、ディーラーに。最上級グレードにしかEyeSightは付いていないので、当初考えていた予算は遙かにオーバーしていたものの、ここは思い切って決断。サイドエアバッグも後付けできないので、数万円をけちって後で後悔したくないので、メーカーオプションは迷ったら付ける、というのが、ボクの考え方だ。一方、ディーラーオプションは納車後でも追加できるが、購入時にある程度、ディーラーオプションを追加することで、相手の値引きも引き出しやすくなる。事前予約キャンペーンでHDDサイバーナビがお買い得価格で付けられたこともあり、装備の内容を考えると、なかなかお買い得だったように思う。ちなみに、追加したディーラーオプションは、ナビやETC、リアビューカメラのほか、ベースキット、トノカバーキット、オレンジのスエード調シートカバー、パワーコンセント。それとウルトラグラスコーティングNEOと3年間の点検パック。最終的には8月25日にハンコをついた。発表前のクルマ、しかもろくろく試乗もせずに注文するなんて、我ながら“ワイルドだろ~”、と改めて思う。

 契約してから気になるのは納車の時期。今乗っているウイングロードの車検切れは11月9日。それまでに納車されれば無問題なのだが、インプレッサスポーツ発売時の納車3カ月待ちなんて話を聞くとちょっと不安になってしまう。案の定、製造は10月の第3旬。納車は11月の2週目あたりになりそうだ、という。まさにギリギリのタイミングだ。

 実際にスバルXVがボクの手元に来たのは11月15日。1週間ほどクルマのない空白期間が生じてしまったが、まあ、そのくらいの空白期間で済んで御の字だ。一応、いざという場合を考え、近くにあるカーシェアリングの会員登録もしておいたのだが、使わずじまいだった。

納車日の11月15日。新しい相棒との初対面です。やっぱりタンジェリンオレンジパールとこの面構え、個性的なホイールは、店頭でも存在感抜群です! シートカバーもオレンジをチョイス。目立ちすぎるのでわるいことはできません(笑)

納車されてすぐに軽井沢方面へ

 納車されてまず最初にやるのが「慣らし運転」だ。走行距離約1000kmでオイル交換をするまでは、エンジンの回転数を抑え、“急”の付く操作は避ける必要がある。昔のような慣らし運転は不要という意見もあるが、エンジンだけでなくいろいろな部品をなじませたり、運転者自身がクルマに慣れる意味からも、とりあえず慣らし運転はしたほうがいいと思う。

まだぴかぴかの新車のうちに、浅間山をバックに記念撮影。基本的にはインプレッサスポーツを踏襲しているにもかかわらず、黒く張り出したフェンダーと独特のホイール、そして鮮烈なタンジェリンオレンジパールのボディーカラーで、まったく別のクルマに仕上がっています
特に違いを感じるのがハッチバックの床の高さ。リアハッチを開けてしまうとかなりの高さになってしまうため、背の小さい嫁は思いっきり背伸びしないとハッチを閉められません(汗)

 ただ、チマチマと慣らし運転をするのは性に合わない。というわけで、納車されたばかりのスバルXVと慣らし運転の旅に出ることにした。向かったのは長野県軽井沢、佐久、小諸方面。あいにく軽井沢の紅葉は終わってしまったが、今回は慣らし運転が最大の目的なので気楽なもの。晴れたらそれなりにきれいな写真が撮れそうだ、ということで発売されたばかりのカメラ、レンズ機材をカメラバッグに詰め込み、いざ出発だ。

晴天では鮮烈なオレンジ、ちょっと陽が陰ると少しくすんだオレンジと表情が変わります。昼だけでなく夜でも目立つ色なので、黒っぽいボディーのクルマより存在が分かりやすく、その分安全かも。雪に埋もれて遭難しても目立つんじゃないかな(笑)
やっぱりこのホイールがXVです。それだけにウィンタータイヤ用のホイール選びが悩ましい。ちなみに、純正ホイールを取り寄せたらいくらになるか聞いたら約17万円/台だって……。さすがにその金額はあ・り・え・ま・せ・ん!
前のウイングロードはフロントは好きだったけどリアはイマイチ。でも、スバルXVはリアもどこかヨーロピアンな感じでかっこいいと思う。あんまり丸みを帯びてばかりのデザインって好きじゃないんです。角張っているけど面取りされたデザインが好み。いわゆるガンダム的な造形っていうのかな?

 実は嫁さんの両親が小諸に住んでいるので帰省も兼ねていて、トランクと後部座席には荷物が満載。トランクのスペースはやっぱり狭くなっているものの、後部座席は足下にゆとりがあるので、2人乗りと割り切れば、載せられる荷物の量は大きく減っていないようだ。

 これまで乗っていたウイングロード 1.5Xエアロ(2WD)は、全長4390mm×全幅1695mm×全高1475mmなのに対し、今度のスバルXV 2.0i-L EyeSightは、全長4450mm×全幅1780mm、全高1550mmと一回りは大きくなっている。また、最小回転半径がこれまで4.6mとコンパクトカー並に小さかったのに対し、今度のXVは5.3m。AWD(4WD)としては標準的な数値だとは思うが、これまでよりも幅が9cm広く、最小回転半径も大きくなっているので、大きな道路を走る分には問題ないが、狭い路地や車庫入れとなると、まだちょっと緊張する。また、ボクはこれまでずっとワイド型のバックミラーを愛用してきて、コルサ、ランサー、ウイングロードとクルマを乗り換えてもミラーはそのまま載せ替えてきたのだが、今度のXVは、ミラーが長すぎてEyeSightのカメラに影響してしまうため、25cm幅の少し小さなワイドミラーに買い換えたくらいなのだが、ちょうど後部左後方の窓が助手席のヘッドレストに隠れてワイドミラーでは確認しにくいのだ。首を振って目視するのが基本だが、ワイドミラーで確認できた方が視線の移動が小さくて済む。これは回避のしようがなく、一応見落としがないように左のバックミラーに死角を少なくするためのサブミラーを取り付けることにした。

ウイングロードではトランクに縦に楽々置けていた三脚も、XVではこんなにはみ出してしまう。燃費向上のためにもできるだけ積む機材を減らし、とりあえずは横に置くことに。縮長が短いカーボン三脚を買い足すというのもひとつの手ではある。とにかく効率のよい収納法の確立が今後の課題だ
同じくウイングロードでは楽に収納できていた脚立も横に置けないどころか、トランクの間口を通すのも一苦労。ボディーの幅が広いにもかかわらず、トランクの幅が狭くなっているのは納得できないが、それだけタイヤハウスが内側に張り出しているのと、衝突安全ボディーで衝撃を吸収するマージンがあって内側が狭くなっている感じ
で、同じ3段でももっと短い脚立(踏み台)を導入。XV購入を決めてから都内のホームセンターやインターネットをググりまくっても、短い3段は見つからなかったのだが、なんと小諸のホームセンターであっけなく発見。それだけでも遠征した甲斐がありました。これで脚立問題は(どうやって縦置きするかはこれからの課題だが)とりあえず解決!
車内でのAC電源確保も重要なポイントだ。割高ではあるが、見栄えを重視して、ここはシガーソケット横に追加できる純正のパワーコンセントを注文。一応、AC100Wまで使用できる仕様だ。なお、センターコンソール内にもシガーソケットが備わっている

 とはいえ、バックミラーも縦方向にも十分な長さがあり、運転席側は後部タイヤの位置まで確認できる。車高も高く、視点の位置が高めなので、運転していて気持ちがいい。ちょっと路面の凸凹を拾いやすく、ゴツゴツとした感触ではあるが、やはり1.5リッタークラスのクルマに比べると余力を感じる走りだ。

驚くべき進化をとげたハイテクグルマのXV

 まだ慣らし運転ということで、CVTは[ECO]モード、回転数も3000rpmを超えないように優しいアクセルワークを心がけているが、燃費は市街地で約10~12km/L、渋滞のない高速で16km/L前後といった感じ。これはトランクと後部座席に荷物満載で2人乗りでの燃費なので、普段もう少し荷物が少なく、自分1人だけならもっと燃費がよくなる可能性もある。また、マルチファンクションディスプレイに、スタートしてからの燃費も表示できるので、あまりにわるい燃費が表示されていると、ついエコ運転を心がけてしまう(笑)。

 ちなみに、これまでのウイングロードが市街地で8~10km/L、高速で12~13km/Lも走れば御の字。アイドリングストップが装備されているとはいえ、2.0リッターでしかもAWDでこの燃費ならば満足だ。ガソリンタンク容量も60Lと、インプレッサスポーツよりも5L多くガソリンを詰めるのも○。ガソリン満タンで走るのは燃費にはマイナスだが、市街地を離れるとガソリンスタンドがどんどん減っており、給油を気にせず長い距離を走れるのは心強い。

 クルマのハイテクぶりにも驚いてしまう。ハイブリッドカーや電気自動車ほどではないにせよ、ハンドル脇のスイッチでマルチファンクションディスプレイに燃費やVDC作動状態、EyeSight作動表示を切り替えたり、ちょっと憧れだったパドルシフトできたり、キーレスアクセス&プッシュスタートでクルマの鍵を出す必要がなかったり、まるで未来のクルマのようだ。特にEyeSightは使ってみるととても便利で、さすがにまだプリクラッシュブレーキの恩恵には与っていないが、高速道度でのクルーズコントロールはもうボクにとって欠かせない存在。これまでクルマを運転するとき、アクセルやブレーキを踏むのは当たり前で、それを苦に思ったことはないが、EyeSightを使うと前のクルマに追従して、自動的にスピードをコントロールしてくれるので、運転者はハンドリングに集中するだけでいい。特に渋滞のノロノロ運転では、EyeSightがあるとないとでは疲れの度合いは段違いだ。うーん、クルマがここまで進化しているとは正直驚きだ。

これが「EyeSight(ver.2)」。メーカーとしてはワイドミラーの装着は不可ということになっているが、自己責任でカメラに干渉しない25cm幅のワイドミラーを装着。20数年間、ワイドミラーを使用してきたので、ワイドミラーじゃないと目と神経が疲れてしまうのだ。ドライブレコーダーも装着したいのだけど、EyeSightがあるので取り付けられる場所が極めて限定されてしまう。う~ん、どうしよう
なにやらステアリングにボタンがいっぱいついているが、右側はEyeSightの操作、左側はパイオニア「サイバーナビ」のステアリング対応リモコン(別売)だ。ステアリングリモコンの下には、マルチファンクションディスプレイの操作スイッチ、また、パドルシフトもハンドルの裏側に装備されている。エンジンブレーキをかけたいときなどに便利だ
高速道路でのクルージングだけでなく、渋滞時のノロノロ運転にも威力を発揮するEyeSightの「全車速追従機能付きクルーズコントロール」。アクセルやブレーキを操作しなくても前のクルマと速度に応じた車間距離を保って、自動的に追従してくれる。完全に止まったらピッピッピーという電子音がして、クルーズコントロールが解除されるので、そこでブレーキを踏み込めばOK。また、走り出したら前車をロックオンしてEyeSightにお任せだ
とりあえず慣らし運転中の燃費は平均12km/L前後。高速道路で渋滞にはまらずエコ運転すれば16km/Lにはなる。2.0リッターのAWDで後部座席とトランクに荷物満載、2人乗っていることを考えるとなかなかの燃費。ガソリンはレギュラーなのもお財布にうれしい。タンク容量は60Lなので、この燃費なら連続航続距離はかなりのものだ

 今回、1週間ほど小諸に滞在し、軽井沢や上田、小淵沢、八千穂高原と各所を回り、行きは東武動物公園、帰りは安曇野経由で大回りして返ってきたので、総走行距離は950kmを超えた。あと少しで1カ月点検(まだ半月も経っていないけど)でオイル交換が済めば、もう少しきびきびとした走りも試すことができる。それにせっかくAWDを買ったのだから、雪道も走ってみたい。でも、その前に、スタッドレスタイヤを履くための、XVに似合う個性的なホイールを探さなきゃ!

11月中旬で最低気温0~2度という寒さだったので、朝起きて外に出てみるとクルマに霜がびっしり。八千穂高原のスキー場付近はもううっすらと雪が積もっていた。せっかく車高が高めのAWDを買ったんだから、この際、スタッドレスタイヤも買って、雪道にチャレンジしてみたいと思う。ちなみに、これまでスタッドレスタイヤを履いたことはありません。無謀?

伊達淳一

1962年生まれ。作例写真家。学研「CAPA」、Impress Watch「デジカメWatch」等でデジタルカメラ評価記事を執筆。レビューする機材の自腹購入が多いヒトバシラーだ。これまで乗ってきたクルマはトヨタコルサ、三菱ランサー、日産ウイングロードと、すべて1.5リッターの2WD。都内を走ることが多く、どちらかといえば小回りが効き、できるだけたくさん荷物を積めるというのがクルマ選びのポイント。今回、自身初となる2.0リッタークラスAWD(4WD)の「スバルXV」を新しい相棒として選んだことで、果たして行動範囲はどう広がるのか? クロスオーバーな日常がスタートした。