NEXCO東日本、「第3回新メニューコンテスト」決勝大会リポート
通行料1000円を目前に、SA/PAが地域色豊かなメニューを披露

グランプリ受賞者と審査委員

2009年2月27日開催




 NEXCO東日本(東日本高速道路)は2月27日、「第3回新メニューコンテスト決勝大会」を都内で開催した。

 同社高速道路のSA(サービスエリア)、PA(パーキングエリア)の、メニューの開発能力とサービスを向上させるためのコンテスト。同社では各SA、PAでのサービスレベル向上と、それぞれの地域性を生かした個性的な店舗作りを図っているが、このイベントもその一環。

 今回は“「『あんしん』こだわり」ご当地メニュー”をテーマに、SAの地域色を生かした新メニューを、各SAのレストランが創作。同社管内を盛岡、仙台、宇都宮、水戸・京葉、所沢、新潟、長野の7ブロックに分けて地区予選を行い、勝ち抜いた9つのSAが決勝に進出した。

東北道 那須高原SA(上り)「那須高原 鳥のさえずり~空の詩(うた)」東北道 長者原SA(上)「海、山、大地の恵み」常磐道 守谷SA(上)「~自然の恵みをそのままに~大地の恵みとフレッシュハーブ御膳」
関越道 赤城高原SA(上)「のりちゃんのこだわり満采(まんさい)野菜ポトフ」東北道 長者原SA(下)「美味し国『伊達な味くらべ』」東北道 前沢SA(下)「前沢だずもな(前沢だよ!)」
上河内SA(上)「清流の恵み しらさぎ御膳」北陸道 米山SA(下)「上杉謙信の『一炊(いっすい)の夢』」上信越道 東部湯の丸SA(下)「そばにこい(鯉天重とおろしそば)」

 決勝大会の会場は調理師専門学校で、各SAの料理長とスタッフが来場、その場で調理した新メニューを、審査委員11名が試食し、グランプリを選出した。

 審査のポイントは、料理の味はもちろん、彩りや盛りつけの工夫、価格の妥当性、メニューを紹介するPOPまでも審査対象に入る。さらに設定されたテーマに沿い、食材や健康、環境についての安心感と、独創性、こだわり度も評価される。

 審査委員長は四川飯店代表の陳健一氏。同氏は「こうしたコンテストは継続することが大事。シェフの励みになり、レベルも向上する」という考えのもと、第1回コンテストから審査委員長を務めている。

 審査委員には、NEXCO東日本のSA/PAを運営するネクセリア東日本の窪寺克次社長のほか、旅行のエキスパートであるJTBの永島寛氏、JALアカデミーの笠井玲子氏、SAユーザーを代表して、はとバス運輸部の大海奈央氏や、楽天トラベルの田中万里氏、お笑い芸人のおぎやはぎ氏が加わった。また特別審査委員として、新宿割烹中嶋の中嶋貞治氏、野菜ソムリエや雑穀エキスパートの資格を持つコメンテーターの王理恵氏も参加した。

まずは調理場で調理風景を見学。シェフに食材や調理法を質問し、審査の一助とする
各SAは自前の食材はもちろん、調理器具や食器も運んできた。食器はいつもSAで使用しているもの
米山SAは新潟県村上産の鮭を漬け焼きに。皮は好き嫌いがあるので、皮だけはずしてカリカリに揚げて食べやすくした赤城高原SAのポトフ。煮崩れないよう、具だけ蒸して、蒸し汁から作ったスープと出す直前に合わせる
持てるスキルを惜しみなく投入して50分間で調理を終える。SAでは注文を受けてから短時間で出すことも必要

 審査の結果、見事グランプリに輝いたのは、宇都宮ブロックの東北道 那須高原SA(上り)「那須高原 鳥のさえずり~空の詩(うた)」(1300円、950kcal)。内陸の高原らしく、無投薬・準植物性飼料で育てた那須どりや、地場の野菜をふんだんに使い、中華風に仕上げた。同SA料理長の渡辺敬二氏は「那須の白美人(はくびじん)ネギをどうしても使いたかった」と言う。白美人はその名のとおり白く美しく、甘みの多いネギで、那須でしか作られていないと言う。

 準グランプリは仙台ブロック代表の東北道 長者原SA(上)「海、山、大地の恵み」(1460円、883.4kcal)。大崎平野の米と野菜、三陸沖の海産物の両方が入手できる地の利を生かして、パエリアやパイ包み焼きにし、洋風定食に仕立てた。

 審査委員長と特別審査委員がそれぞれ選出する特別審査委員賞は、陳健一氏が水戸・京葉ブロック代表の常磐道 守谷SA(上)「~自然の恵みをそのままに~大地の恵みとフレッシュハーブ御膳」(1600円、890.2kcal)を選出。常陸牛、ローズポークなどの地場食材を石板焼きで、地場のハーブとともにいただく趣向。食器も地元の名産「笠間焼き」を使う。

 中嶋貞治氏の特別賞は、所沢ブロック代表の関越道 赤城高原SA(上)「のりちゃんのこだわり満采(まんさい)野菜ポトフ」(1200円、933kcal)。近年増えている女性やお年寄りをターゲットに、地元産の野菜と肉を、塩だけで味付けしたポトフに仕立てた。デザートには赤城牛乳を使った杏仁豆腐が付く。

 王理恵氏の特別賞は仙台ブロック代表の東北道 長者原SA(下)「美味し国『伊達な味くらべ』」(1500円、722.7kcal)。大崎産ササニシキ、ひとめぼれ、鳴子産ゆきむすびの白米3種を食べ比べる、米どころならではのメニュー。おかずは宮城県産黒毛和牛と岩出山産大崎さくら豚のしゃぶしゃぶなど。

できあがったメニューを上階の審査会場へ運ぶ調理要員以外のスタッフも動員して飾り付ける
POPなどのプレゼンテーションも評価ポイント。各SAの個性をアピールすべく趣向を凝らす
守谷SAは食器も地元の名産「笠間焼」を使い、その場で肉を焼いて匂いも演出に使う審査員に配られた評価シート

 審査委員長の陳氏は「慣れない調理場で、報道陣に見られながら料理するのは大変だったと思う。第1回からレベルアップしているのが肌で感じられた。どれがグランプリになってもおかしくないレベルで、賞は審査委員の好みで決まった」と講評。赤城高原SAの高井則幸シェフが「調理スタッフも厨房からホールに出て、お客様の反応を見た」というプレゼンテーションを「ものすごく大切なこと。一番大事なのはお客さんの笑顔」と高く評価した。

 王氏は「SAの食事と言えば、お腹が空くからとりあえず食べるものというイメージで、ここまで進化しているとは思わなかった。わざわざ食べに行きたくなるようなメニューばかりだった」と講評。

 おぎやはぎの矢作兼氏は、相方の小木博明氏が普段は野菜ばかり食べて肉を食べないのに、審査会場では肉をぱくぱく食べていたと暴露。小木氏はこれを受けて「みなさんのおかげで肉のおいしさを知りました。今日からベジタリアンはやめました」と宗旨替えを宣言。

 独身の矢作氏は「デートでSAにご飯を食べに行くのもシブい。“石田純一さんもやってる(SAでデートしている)”とちょっと嘘をついて誘うといい」と笑いを取った。

試食前に料理長やSAのスタッフがメニューのポイントをアピールする。料理長やスタッフが足を運んで確かめた食材であること、その地域の個性を生かしていることを訴えたいよいよ試食開始
中央、黄色い服の女性ははとバス運輸部の大海奈央氏。SAをよく使うバスガイドさんの代表として審査に参加したネクセリア東日本の窪寺社長も試食ネクセリア東日本の金子常務取締役も審査委員の1人
審査終了後の表彰式グランプリを獲得した那須高原SAの渡辺料理長(左)。受賞メニューはすでにSAで供されているが、1日20食限定で、すぐに完売してしまうとのこと。どうしても食べたいときは電話予約も可能だそうだ「(東部湯の丸SAの)蕎麦は、王さんがいないところで(すする音が聞こえないように)食べました」というおぎやはぎの2人

 また審査委員の1人であるネクセリア東日本 常務取締役の金子準氏は、惜しくも賞を逃した米山SA(下)と、特別賞の長者原SA(下)が3回連続で決勝に進出したことを「レベルの高いものを持っている」と評価。また、NEXCO中日本が同様なコンテストを始めたことに触れて「NEXCO中日本に“果たし状”を持って行って、チャンピオンを決めたい。ゆくゆくはNEXCO西日本を交えて、日本一決定戦も」という構想を述べた。

 補正予算成立間近とささやかれ、いよいよ1000円の通行料金が現実味を増してきた。道路運営会社は通行量が増える機会を得て、SA/PAでの収益増加も目論んでいる。こうした時節にフィットしたイベントと言えるだろう。

 ネクセリア東日本の窪寺克次社長は本誌の取材に「1000円化のスケジュールはまだ分からないが、SA/PAが混雑してご迷惑をおかけしないように体制を整える。また、1000円化とタイアップしたメニューやサービスも考えている」と答えた。

(編集部:田中真一郎)
2009年 2月 27日