ブリヂストンの新“らくタイヤ”「PZ-X」「PZ-XC」リポート(前編) 第2世代「Playz」に投入された技術を紹介 |
セダン/スポーティーカー用の「PZ-X」と、軽自動車/コンパクトカー用の「PZ-XC」が用意された新「Playz」 |
ブリヂストンの「Playz(プレイズ) PZ-1」は、スポーツ・ハイグリップタイヤの「POTENZA(ポテンザ)」、静粛性を最重要視しつつドライ性能やウェット性能の高次元バランスを目指したプレミアムタイヤの「REGNO(レグノ)」とは、異なった価値の確立を目指して2005年に市場投入されたタイヤだ。
追求したのは“らくタイヤ”というコンセプト。高性能タイヤに用いられるトレッド(タイヤの接地面)の非対称パターンのほか、REGNOにも採用していた静粛性を向上させるACサイレントブロックを使用。さらに、タイヤのサイドウォールの形状をイン側とアウト側で異なるものにする非対称形状を初採用するなど、当時のブリヂストンのタイヤテクノロジーが惜しみなく投入されていた。それらテクノロジーの投入で、ふらつきの発生を抑制し快適性能の向上を実現。“らく・ドラPlayz”というキャッチコピーとともに、独自のポジションを築き上げた。
今回そのPlayzが第2世代となり、セダン/スポーティーカー用の「PZ-X」、軽自動車/コンパクトカー用の「PZ-XC」へと分化し2月に発売された。装着車種のターゲットをより明確にしたことで、さらなる“らくタイヤ”性能の向上を実現したと言う。本リポートでは前編として新Playzのテクノロジーを、後編として実走レビューをお届けする。
PZ-X、PZ-XCという2種類のタイヤでは、それぞれ車種タイプに応じた性能向上を図っている |
■“らく”で“楽しい”第2世代Playz
第2世代Playzの特徴は先ほども書いたように、PZ-X、PZ-XCと車種ごとに専用設計されたことにある。用意されるサイズは、PZ-Xが185/65 R14~245/40 R20の47サイズ、PZ-XCが155/65 R13~165/50 R16の23サイズ。PZ-XとPZ-XCでサイズの重複はないため、購入する際に迷うことはないだろう。
ブリヂストンによると、セダン/スポーティーカー用のPZ-Xで主に目指したのは“コーナリング応答性の向上”だと言う。これにより直進安定性のよさからくる“らく”だけではなく、“キレ”を加えることでより運転の楽しいタイヤへと進化。一方、軽自動車/コンパクトカー用のPZ-XCでは、“らく”に加え乗り心地を向上させていると言う。
コーナリング応答性の向上=キレの実現には、FEM(Finite Element Method:有限要素法)解析を用い、コーナリングフォース(タイヤの進行方向と直交する方向に働く力。この力の強さが旋回力につながる)の発生をシミュレーション。同じ速度で旋回したときに、より大きなコーナリングフォースが発生するようなデザインを行っている。また、コーナリング時の段差乗り越えの際には、荷重変動によるコーナリングフォースの変化が伴うものだが、この変化量を抑えることで路面変化に強い(外乱に強い=ロバスト性の高い)タイヤになっている。つまり、より楽に曲がれ、安心して走れるタイヤとなっているわけだ。
また、シリカ(二酸化ケイ素)配合AQコンパウンドの採用でウェット性能と転がり抵抗の低減を両立。205/55 R16サイズのタイヤでPZ-1の停止距離が30.0mだったのに対し、同サイズのPZ-Xでは28.2mと1.8m短縮(初速80km/h)。155/65 R14サイズのタイヤではPZ-1の30.4mに対し、PZ-XCでは27.4mと3mの短縮(初速80km/h)を実現していると言う。転がり抵抗についても、PZ-1と比べPZ-Xでは3%の低減、PZ-XCでは4%の低減となり、より省燃費性に優れた設計がなされている。
タイヤの外見から分かる一番の変更点がトレッドパターン。トレッドパターンは、明らかに今までのPZ-1と異なる部分で、PZ-1の特徴であったセカンドブロック(アウト側からファーストブロックと数える)の「3Dトライアングルブロック」が、「3D RZ(リバースゼット)ブロック」へと変更された。三角形の溝がZ字状になることで、回転方向による剛性の変化を抑えている。ちなみに、旧Playz(PZ-1)、新Playz(PZ-X、PZ-XC)とも非対称パターン、非対称形状ではあるもののPOTENZAのように回転方向指定はされておらず、タイヤのローテーション作業(前後左右輪の摩耗を平均化するために、タイヤを入れ替える作業)が自由なものとなっている。新Playzではその際の性能変化がより抑えられているということだろう。
3月28日からは土日祝日地方高速道路料金1000円時代が始まる。ガソリン代などはかかるものの、高速道路料金がこれまでと比べて格安となるため、長距離を走る機会も増えるだろう。“らく”で“楽しい”を目指して作られた新Playzは、ロングドライブ時代に適したタイヤと言える。後編では、ブリヂストンのテストコースで行ったPZ-1とPZ-X/PZ-XCの比較試乗、そして一般道で行った比較試乗を、クロスレビュー形式でお届けする。
ブリヂストンのテストコース、「プルービンググラウンド」(栃木県那須塩原市)での試乗風景 |
PZ-X(47サイズ) | ||
245/40 R20 95W | 225/45 R17 91W | 195/55 R16 87V |
225/40 R19 89W | 215/45 R17 87W | 225/60 R16 98H |
245/45 R19 98W | 235/50 R17 96V | 215/60 R16 95H |
245/40 R18 93W | 225/50 R17 94V | 205/60 R16 92H |
225/40 R18 88W | 215/50 R17 91V | 195/60 R16 89H |
245/45 R18 96W | 205/50 R17 89V | 205/65 R16 95H |
235/45 R18 94W | 225/55 R17 97W | 195/50 R15 82V |
225/45 R18 91W | 215/55 R17 94V | 195/55 R15 85V |
215/45 R18 89W | 205/45 R16 83W | 205/60 R15 91H |
235/50 R18 97W | 195/45 R16 80W | 195/60 R15 88H |
225/50 R18 95W | 225/50 R16 92V | 215/65 R15 96H |
225/55 R18 98V | 205/50 R16 87V | 205/65 R15 94H |
255/40 R17 94W | 195/50 R16 84V | 195/65 R15 91H |
245/40 R17 91W | 225/55 R16 95V | 185/60 R14 82H |
245/45 R17 95W | 215/55 R16 93V | 185/65 R14 86H |
235/45 R17 94W | 205/55 R16 91V |
PZ-XC(23サイズ) | ||
165/50 R16 75V | 185/60 R15 84H | 155/55 R14 69V |
185/55 R16 83V | 175/60 R15 81H | 175/60 R14 79H |
185/60 R16 86H | 165/60 R15 77H | 165/60 R14 75H |
175/60 R16 82H | 155/60 R15 74H | 175/65 R14 82H |
165/50 R15 73V | 185/65 R15 88H | 155/65 R14 75H |
185/55 R15 82V | 175/65 R15 84H | 165/70 R14 81S |
175/55 R15 77V | 145/65 R15 72H | 155/65 R13 73H |
165/55 R15 75V | 165/55 R14 72V |
(編集部:編集部:谷川 潔)
2009年 3月 23日