ニュース
スズキ、鈴木修会長「大きな不正をしでかした」
鈴木俊宏社長「走行抵抗値は開発段階から擦りあわせている」
2016年6月1日 16:36
- 2016年5月31日 発表
スズキは5月31日、同社が生産する計26車種の燃費試験に必要な走行抵抗値の申請において、国土交通省が定める規定と異なる不正な取扱いを行なっていたと同省に報告した。同日記者会見が開かれ、代表取締役会長の鈴木修氏、代表取締役社長の鈴木俊宏氏らが出席した。
今回の報告では、現行生産車の13車種に加え、生産終了車種の「アルト エコ」(2011年12月~2014年11月生産)の計14車種、OEM車12車種を含めた計26車種。燃費試験に必要な走行抵抗値に関して装置ごとの積み上げにより測定した走行抵抗値を使用していたことなどを報告。
対象となる14車種(OEM供給車種を含めると計26車種)の燃費最良車について、実際に惰行法により測定した走行抵抗値により燃費測定を行ったところ、全てカタログ表記の燃費値を上回っていることを社内試験で確認したとし、会見においても燃費への影響がないことを強調した。
社内調査によると、車両開発全体のとりまとめを行う組織のカーラインが、最終的に型式指定の認証を申請する段階で、国土交通省が定める認証試験車両の惰行法による走行抵抗の測定をせず、装置毎等の積上げにより測定された実測値を走行抵抗申請値として使用していたことが判明。
社内規定が守られなかった理由については、「装置毎等の積上げにより測定された走行抵抗値が車両開発の段階で検証済みであると考えていたことと、惰行法による測定値はばらつきが大きく安定していなかったという要因があったことから、装置毎等の積上げにより測定された走行抵抗値を安易に申請用の走行抵抗値に流用していました」と報告している。
会見の中で、代表取締役副社長の本田治氏は「買っていただいたお客様は、測定方法の誤りをお客様自身が確認する方法がありません。したがって、スズキは世の中のルールは守っていると信頼を頂いて、皆様に買っていただいていると思っている」と話し、「(問題発覚後)"スズキの認識が変わったのか?”と、今ご指摘いただいている点を含めて、チェックや意識が欠けている部分に立って、もう一回しっかりやりたい」と反省の言葉を述べた。
会見では、スズキが国交省に提出した走行抵抗値は、実際に惰行法による計測値との擦りあわせがされており、燃費値をよく見せる意図はなかったとの考えが示された。代表取締役社長の鈴木俊宏氏は「走行抵抗値は開発段階から擦りあわせている。燃費値や走行抵抗値については偽りがないと自信を持っている」と強調した。
しかし、国の規定に合わせた測定法でないことが不正であることなど、不正に対する認識が甘かったとし、代表取締役会長の鈴木修氏は「国の定めた規定に反して大きな不正が行なわれました。細かい不正が積み重なって、国の規定に反した大きな不正をしでかした」との考えを示すとともに、反省の弁を延べた。