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スズキ、燃費不正問題について5月18日の報告を修正。対象車種が26車種に拡大
しかし全車種を惰行法で燃費測定を行なったところ、すべてカタログ表記の燃費値を上回る結果に
(2016/5/31 18:35)
- 2016年5月31日 発表
スズキは5月31日、5月18日に国土交通省から受けた調査指示について報告書を提出。その調査結果を発表した。
5月18日の報告では、16車種で走行抵抗の測定状況を確認したところ、申請時に惰行法により実測したデータではなく、惰行法実測値と比較し妥当性をみた上でタイヤ、ブレーキ、トランスミッションなどの装置ごとの転がり抵抗の実測値や風洞試験装置での空気抵抗の実測値を積み上げて走行抵抗値として使用していたことが判明していた。
しかし今回の報告では、現行生産車16車種のうち「ジムニー」「ジムニーシエラ」「エスクード2.4」を除く13車種に加え、生産終了車種のうち「アルト エコ」(2011年12月発売、2014年11月生産終了)の計14車種とOEM車12車種の計26車種で、装置ごとの積み上げにより測定した走行抵抗値を使用していたことが明らかになった。
この規定が守られていなかったことについては、「装置毎等の積上げにより測定された走行抵抗値が車両開発の段階で検証済みであると考えていたことと、惰行法による測定値はばらつきが大きく安定していなかったという要因があったことから、装置毎等の積上げにより測定された走行抵抗値を安易に申請用の走行抵抗値に流用していました。今回の問題の根底にあるのは、法令に違反することの重大性に係る関係者の認識不足です」と報告されるとともに、今回の問題がこれまで発見、是正されなかった理由について「走行抵抗値の決定は、申請値を決める重要な行為であるにもかかわらずこの承認手続きに係る社内規定が無く、また、他部門からのチェック体制も整備されていなかったことから、2010年のスイフト以降、前例踏襲によりカーライン及び四輪エンジン第二設計部の担当者の判断でこのような取扱いを継続的に行っていました」と発表している。
この結果を受け、今後は技術者教育・研修の強化、走行抵抗申請値決定に係る責任の明確化、走行抵抗申請値に係る社内チェック体制の強化、惰行法測定のための試験設備の整備及び測定技術の向上、四輪技術本部における閉鎖的な体質の解消などに取り組むとともに、リリースでは「走行抵抗の申請において国土交通省が定める規定と異なる不正な取扱いを行っていたことを深くお詫び申し上げます。全容を解明すべくさらに詳細に調査した結果、5月18日の報告に一部誤りがございましたので、それも含めてご報告申し上げます。お客様やお取引様をはじめ皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、謹んでお詫び申し上げます」との謝罪の弁を発表している。
なお、14車種(OEM供給車種を含めると計26車種)の燃費最良車については、実際に惰行法により測定した走行抵抗値により燃費測定を行なったところ、すべてカタログ表記の燃費値を上回っていることを社内試験で確認したとしている。