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国交省、摩擦係数測定車など羽田空港の「はたらくクルマ」を公開

滑走路の安全を支えるはたらくクルマたち

2016年6月2日 公開

左から埋込灯器清掃車、摩擦係数測定車、フォローミーカー、路面清掃車

 空港と言えば航空機が主役。だが、航空機が安全に飛行することができるのも、それをサポートする名脇役がいるからこそ。国土交通省 航空局は6月2日、羽田空港(東京国際空港)において、そんな名脇役達にスポットを当てた取材会を実施した。

 今回取り上げるのは埋込灯器清掃車、路面清掃車、摩擦係数測定車、フォローミーカーの4台。順に紹介していこう。

埋込灯器清掃車

埋込灯器清掃車

 滑走路や誘導路に埋め込まれているライトを清掃するクルマ。これらのライトは屋外にあるためタイヤカスをはじめ土や埃などにより汚れが付着、徐々に照度が低下していってしまう。そうするとパイロットからの視認性が落ちてしまうため、定期的な清掃が必要になるわけだ。

 羽田空港にはこうしたライトが約1万灯が設置されており、配置された4台の清掃車により1日約350灯を清掃する。作業は航空機の離発着が少ない夜間に行なわれるが、このクルマの導入前は手作業で洗浄していたため、天候に左右されるほか、航空機から確認しづらいため安全面での問題があったほか、清掃や移動に時間が掛かっていた。だが、このクルマの登場により、そうした問題点が一気に払拭されたことになる。

 実際の清掃作業はクルマの後部に装着されたロボットアームにより行なう。ドライバーは運転席に装着されたモニタを見ながら所定の位置にクルマをセット、続いてロボットアームのカメラによりライトのレンズ位置を入力する。後はロボットアームが自動的に清掃を行なう。汚れを取るために使うのは、洗剤や水ではなくドライアイス。その微粉末をサンドブラストの要領で吹き付けることにより、ライトに付着した汚れを物理的に除去していく。清掃に要する作業はわずかに1分ほど。その後、ドライアイスは常温で気化するため、ライト周辺に飛び散っても放っておけばよく、洗浄後にカラ拭きする必要もない。スピーディに作業を終えることができるってワケだ。

スペック

排気量:4009cc
全長:6.76m
全幅:2.19m
全高:3.30m
車両総重量:6075kg

滑走路に埋め込まれたライト(航空局提供)
頭の部分が滑走路に露出している(航空局提供)
ライトのカットモデル。これは大型タイプ
こんな状態で埋め込まれている。中型タイプ
小型のライト
後部にロボットアームが備え付けられている
アームがライトに伸びるためフロアは素通し
運転席
後部の状況を確認するためのバックカメラ
ダッシュボード上のモニターを使って灯器が枠内に入るようにクルマを停車する
こちらのタッチパネルでアームの位置をセットする。洗浄は自動
洗浄時
ペレット状のドライアイス。これを微粒子化してライトに吹き付ける
洗浄前(左)と洗浄後
洗浄前はタイヤカスなどでレンズ面が汚れている
洗浄より本来の状態に

路面清掃車

路面清掃車

 滑走路や誘導路、さらには構内道路などの路面を清掃するクルマ。一般道路とは違い管理された空港内では大きなゴミは存在せず、小石や砂といったごくごく小さな異物の除去が主目的。航空機の場合、そうしたゴミをエンジンが吸い込むことによりトラブルとなる恐れがあるため、定期的な清掃が重要になる。

 こうした路面清掃車は一般道路にも配備されているが、そうした車両との大きな違いは「真空還流方式」と呼ばれる機構を採用していること。清掃作業は車両サイドに装着されたブラシによりゴミをかき集めるのが第一歩。一般的な路面清掃車はブラシが巻き上げたゴミをそのまま集積していくが、この車両はさらに掃除機のような吸引装置を使ってゴミを根こそぎ取り除く。一般的な清掃車がホウキだとすれば、こちらは文字どおり掃除機といったところ。羽田空港には3台が配置されており、2台が滑走路などに対応、残り1台は主に構内道路で使用される。清掃作業は航空機の運航が少ない深夜がメイン。2カ月に1度程度のスパンで実施されるという。

スペック

排気量:7680cc
全長:7.54m
全幅:2.45m
全高:3.40m
車両総重量:13420kg

表示板の表示内容
サイドブラシ(収納時)
サイドブラシ(清掃時)
粉塵の巻き上げを防止するため作業時は水を撒く
ブラシ後部にゴミを吸引するノズルがある
ホッパ部。ノズルから吸い込まれたゴミがダクトを通って集められる

摩擦係数測定車

摩擦係数測定車

 滑走路の摩擦係数を測定するために用意されているのが、このクルマだ。サーキットではタイヤのゴムが路面に付着することにより摩擦係数が増加するが、滑走路の場合は航空機用タイヤの材質が異なることもあって、逆に摩擦係数は低下していってしまう。また、滑走路には「グルービング」と呼ばれる深さ6mm×幅6mmほどの溝が32mm間隔で掘られており、雨天時には排水路の役目を果たすことでハイドロプレーニング現象を防止しているが、ここにゴムが詰まることで機能が落ちてしまう。摩擦係数の変化を測定することで滑走路の状態を把握、必要に応じて清掃を行なうことにより滑走路を適切な状態に保ち、航空機の安全な着陸をサポートする。それが、このクルマの役目となる。

 また、摩擦係数を落とす要因としてはもうひとつ「雪」がある。羽田空港においては頻度が少ないものの、除雪後にこのクルマで摩擦係数を測定することで、適切な除雪が行われ航空機が安全に着陸できることを確認するわけだ。

 実際に摩擦係数を測定するのは車両後部、ラゲッジに設けられた測定輪で行なう。計測時は測定輪を降ろし95km/hで走行。測定条件を一定とするために測定輪前に水を噴射、水膜1mmの状態でスリップ率を測定する。

 計測は約2カ月に1回、航空機の運航が少なくなる深夜帯に実施する。測定場所はメインギアの通る部分を片側50cmずつ位置を変えて3回、両側で計6回の測定を行い、左右でそれぞれ平均値をピックアップ。滑走路1本の測定に1日必要で、羽田の場合だとA~D滑走路をすべて測定するためには4日掛かることになる。また、これ以外にも除雪後など天候状況に応じて測定が行なわれる。同車は羽田空港には1台が配備されている。

スペック

排気量:2280cc
全長:4.89m
全幅:1.79m
全高:1.51m
車両総重量:1880kg

滑走路のグルービング(航空局提供)
降雪時の滑走路(航空局提供)
運転席
普通ならオーディオが収る部分に測定輪の表示や設定を行うモニターがある
グローブボックス部分にプリンターを装着
測定データのイメージ(航空局提供)
散水のためのスイッチ
ダッシュボード上に圧力計
ルーフ回転灯のスイッチ
ラゲッジ部。後部座席にあるのは水タンク
測定輪が収るボックスに貼られた注意書き
測定輪を上から見たところ
収納状態
測定時。測定輪は滑走路4本の計測で交換しているという
測定時は測定輪前に散水しながら95km/hで走行する

フォローミーカー

フォローミーカー

 羽田空港を初めて訪れるVIP機などの先導をするためのクルマ。ルーフに設置された大型電光掲示板に誘導指示を掲出することで、VIP機をスムーズに駐機場まで誘導する。また、通常時は滑走路などの異物をチェックするためのパトロールカーとして24時間体制での監視に当っている。

 羽田空港には4台が配置されており、通常は3台をパトロールで使用。早朝に行われる点検では空港内すべてを走行し、その距離は多い車両では約70kmにも及び、1日あたりの3台の走行距離は150kmを超えるほどだという。

スペック

排気量:3200cc
全長:4.91m
全幅:1.87m
全高:2.62m
車両総重量:2735kg

大型電光掲示板
管制塔と無線交信を行うためのアンテナや投光器などが備わる
リアにはヒッチメンバーを装備
運転席。パトロールは2人1組で行う