ニュース
【SUPER GT第6戦鈴鹿1000km】38号車 ZENT CERUMO RC Fがレクサス勢として今季初優勝
GT300は2年ぶりに61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが優勝
2016年8月28日 20:37
- 2016年8月28日 決勝開催
「インターナショナル鈴鹿1000km」は、毎年夏に行なわれるロングディスタンスのレースとして、例年8月に開催されている伝統のレースだ。今年もSUPER GT第6戦として、第45回大会が8月27日~28日の2日間にわたって三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催された。8月28日、午後12時半からは、パトカー先導のパレードラップ、セーフティカー先導のフォーメーションラップが行なわれ、全173周予定の決勝レースがスタートした。
3時間経過時の別記事でお届けしたとおり、レースは折り返しを迎えた段階でセーフティカーが導入され、それによりレースは振り出しに戻った。93周目に再スタートしたが、その後も突然の降雨によるスピンアウト、イエローフラッグを巡る論議など、多くのイベントが発生したレースになった。
そうしたなか、GT500クラスで優勝したのは、38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組、BS)。レース途中には、2位となった36号車 au TOM'S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ組、BS)をイエローフラッグ中に追い抜いたと審議になったが、結局おとがめなしとなり、その後一度36号車にトップを譲ったものの、その後抜き返して優勝した。
2位は36号車、3位は予選2位からスタートした46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/高星明誠組、MI)。ポイントリーダーで、100kgを超える重量を搭載している1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)は予選12位と厳しいポジションからスタートしたにもかかわらず6位に入賞し、シーズン獲得ポイントを56ポイントに伸ばす結果となった。
GT300クラスはセーフティカーのタイミングで、セーフティカー前にピットインしていた61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)が大きく順位を上げるという幸運を得て、ポールポジションからスタートしてセーフティカーが入るまでトップを維持していた18号車 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/山田真之亮組、YH)を退けて優勝した。
黄旗区間の追い越しでは議論が残る優勝となった38号車。ポイントリーダーの1号車は最終ラップにまさかのストップ
レースの折り返しである15時半過ぎに出されたセーフティカーにより、各車の差は大きく縮まり、基本的にはレースは振り出しに戻った。GT500に関してはすでにピットインしていた車両が大半であったため、特に大きくメリットを得た車両はなかったが、着実に順位を上げてきた1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)には、よい方向に転がり、セーフティカーによるフルコースイエローが解除されると、1号車は6号車に次ぐ5位に浮上していた。
その後レースは淡々と進むかと思われたのだが、130周目前後に突然の降雨。まずは東コースから降り始めたものの、東コースの雨はすぐに上がり、今度は西コース、特にストレートから一番遠いところのスプーンで強い雨が一時的に降り出した。この影響で17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)がスピンアウトし、グラベルにはまる結果となった。それによりスプーンあたりは、17号車をグラベルから排除するためにイエローフラッグが出されることになった。
ところが、そこにピットストップのタイミングを利用して38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組、BS)をアンダーカットしてトップに立っていた36号車 au TOM'S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ組、BS)と2位になっていた38号車が差しかかる。17号車を排除する作業車とイエローフラッグが出ているのを見た36号車はスローダウン、ところがその背後にいた38号車はそれをオーバーテイクしてしまったのだ。もちろんこの件は審査委員会により審査されることになったが、結果は“セーフ”と判断され、38号車にはペナルティが出ることはなかった。
その後、38号車 ZENT CERUMO RC Fはもう一度36号車に抜き返されたものの、再びオーバーテイクし、最後のピットストップでは36号車 au TOM'S RC Fより先にピットに入り、アンダーカットされないようにする作戦に。結局そのまま優勝した。2位は36号車 au TOM'S RC F、3位は46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/高星明誠組、MI)となった。
4位以下は残り数周で大きなドラマが起きた。100kgというウェイトハンデがあるのにも関わらず1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)は6号車 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS)をシケインの飛び込みで、まさに教科書どおりという目の覚めるようなオーバーテイクを披露して4位に浮上した。ところが、なんと最終ラップに、裏ストレートの130Rコーナー手前でストップ。症状からガス欠のように見えるが、この記事を書いている時点では原因は不明。せっかくいいレースをして12位から4位にポジションアップしていただけに残念な結果となった。
それでも、7位以下が周回遅れであったため、6位でゴールという扱いになり、6ポイント(700km以上のレースでは通常ポイントに加えてボーナスが加算される、通常は5ポイント)が加算され、チャンピオンシップポイントを56ポイントに伸ばすことになった。なお、今回優勝した38号車 ZENT CERUMO RC Fが25ポイントを加算してランキング2位(45ポイント)に浮上したが、それに対しても11ポイントの差をつけており、引き続きチャンピオンシップリーダーとなっている。
セーフティカーのタイミングで上位陣が入れ替わることになったGT300、スバル BRZが2年ぶりの優勝
GT300のレースは、レース中盤のセーフティーカーがすべての分かれ目となった。セーフティカーがでていた段階で、前半で1位、2位を走っていた18号車 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/山田真之亮組、YH)、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)は、セーフティカー前にピットに入っておらず、コースがグリーンになった直後にピットに入らなければいけなくなったため、順位を下げる結果になった。
逆にこのセーフティカーで得をしたのが、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)、0号車 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/富田竜一郎組、YH)、31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組、BS)。これにより、最後のピットストップを全車が終えてみると、これらの3台がトップ3になっていた。
最後の数周で雨が降ってきた時に、31号車 TOYOTA PRIUS apr GTが前を走る0号車 GAINER TANAX GT-Rをオーバーテイクして2位に浮上した。これにより、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが優勝し、スバルに2014年第5戦以来約2年ぶりの優勝をプレゼントすることになった。
なお、ポールからスタートした18号車 UPGARAGE BANDOH 86は最後のピットストップをタイヤ交換なしのスプラッシュにしたものの、上位3台には追いつけず、悔しい4位に。5位は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGとなった。