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【インタビュー】「3Dパズル」製作でギネス世界記録を達成! ホンダアクセス 企画担当の山口悠雅さんに聞く
S660 NEO CLASSICをかたどった世界最大の3Dパズル
2016年12月3日 07:00
Modulo(モデューロ)ブランドなどホンダ純正用品を開発・販売するホンダアクセスは、創立40周年記念式典のレクリエーション行事として、2016年の東京オートサロンで行なわれた「東京国際カスタムカーコンテスト2016」でグランプリに輝いた「S660 NEO CLASSIC」をかたどった発泡スチロール製の3Dパズルを製作。
約500人の参加者が597個のピースを組み立て、3.81×1.64×1.32mの「世界最大の3Dパズル」(The record for the largest 3D puzzle)としてギネス世界記録に認定された。
なぜホンダアクセスが3Dパズルなのか、そしてギネスに挑戦なのか。企画担当の山口悠雅さんにうかがった。
――そもそも、なぜ巨大な3Dパズルを製作することに?
山口氏:今年はホンダアクセスが創立40周年を迎え、記念イベントを行なうことになりました。そこで「何か心に残ることをしたいよねー」という話が出て、2月ごろから企画プロジェクトを開始しました。
さまざまなアイデアが出たのですが、当社は「ものづくり」の会社なので、記憶と記録に残る何かを作ろうということなり、3Dパズルの製作が決まりました。
――記憶と記録に残る、なので「ギネスに挑戦」だったのですね。
山口氏:はい、やるからにはトコトンやろう、と(笑)。
――S660 NEO CLASSICという題材はすぐに決まったのですか?
山口氏:当社は3つの事業所があるのですが、みんなが1つになって作り上げるには何が相応しいかを考えて、今年の東京オートサロンで行なわれた「東京国際カスタムカーコンテスト2016」に出展してグランプリをいただいたS660 NEO CLASSICを題材に決めました。
――パズルピースのデザインや設計で苦労した点は?
山口氏:ギネスの「3Dパズルの大きさを競うチャレンジ」にはさまざまなルールがあって、まず「1つひとつのパズルピース形状が異ならなければならない」というのが難題でした。
――大きな模型を単純に細かくカットする、という訳にはいかないと。
山口氏:単純に模型をカットしただけだと、同じ形のピースができてしまいます。また「接着も禁止」なので、きちんとパズルとして組み上がり、かつ各部の強度を適切にしないと崩れてしまいます。この設計は本当に大変でした。
――本業での開発技術も活用されたのですか?
山口氏:デザイン担当、設計担当、試作品担当など、みんなの協力がなければ実現できませんでした。あくまで社内記念イベントのレクリエーション活動なので、何億円という開発コストを掛ける訳にもいかず、そこは知恵と工夫で(笑)。
――何個ぐらいのパズルピースで構成されているのですか?
山口氏:これまでの記録が「2.56×1.28m 巨大な歯の模型、529ピース」だったので、まずはそれを上まわる必要がありました。イベントの参加者が約500人なので、約600個のピース、正確には597個のすべて形が違うピースで構成しました。
――597ピースの3Dパズルの設計、大変な作業ですね。
個数については設計の工夫で解決できるのですが、イベントの時間内で「きちんとパズルを組み立て終わる」必要もあるので、メンバーを18チームに分けて、土台から順番に組み立てて、しかもみんなが組み立てできるように準備して。タイヤやミラーなども1つひとつ違う形にする必要があったので、接合部分などで工夫しました。
――ギネス記録の達成は、最初から自信があったのですか。
山口氏:いえ、同じ記録にチャレンジしているチームがいるという話も聞いていたので、私たちの作品よりも大きかったらどうしようとか、ドキドキハラハラ心配していました。パズルピースの材質について制限はないのですが、コストと強度と安定性とパズルとしての成立が本当に難しかったです。
――これだけ大がかりなのに、サプライズ企画として成立したのですね。
石井氏:機密保持は普段の仕事でも一緒ですから(笑)。
記念式典のレクリエーションなので会場の制約もあるなか、全員参加で巨大なパズルというのはよいアイデアだったと思います。
会場には各チームのピースを白い布で隠して置いていたので、みんなこの大きなものはなんだろう? と不思議がっていました。
――597ピース、かつ実際に3Dパズルとして組み立てるとなると、時間内に終わらない可能性もあったのでは?
石井氏:仕事柄、設計手順書などを見ながら組み立てるのは慣れていても、今回は「ヒント」を元に皆で協力して考えるという(業務ではなくてレクリエーション)ゲームなので、普段は見せないような笑いと困惑が混じった表情と声が新鮮でした。
でも、きっちり時間内で皆がパズルを解き終えるあたりは、手前味噌ですが「さすが、ものづくり集団だな」と思いましたよ。
――写真を見ると、「ヒント」は簡単なコメントだけのようですね。
山口氏:組み立て作業ではなくてパズルゲームを楽しむという意味で、そうしました。
各チームごとにリーダーを決めて、話し合って、「あれ持ってきて」「こっちじゃない?」とワイワイガヤガヤ、とても楽しんでもらえたので私たち(企画メンバー)も嬉しかったです。
石井氏:一番最後に、フロントグリルのピースを「えいっ!」と取り付けた(松居)社長の嬉しそうな笑顔、今年一番だったかも知れないですね(笑)。
カーナビやドラレコはもちろん、キャンプ用品やペット用品などさまざまな純正オプションパーツを開発している皆さんだけあって、遊び(と言っては失礼だが)への気合いと品質もキッチリしているのが印象的だった。
今後、定期的にギネスチャレンジするかどうかについては「未定」とのことだ。