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【2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース】11月18日~19日にヒストリックF1カーのレースシリーズ「FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権」のデモレース開催

SUZUKA Sound of ENGINE 2017の併催イベント

Masters Historic Racing Ltd 代表 ロン・メイドン氏(左)、株式会社モビリティランド 鈴鹿サーキット総支配人 塩津宏幸氏(右)

 鈴鹿サーキットやツインリンクもてぎを運営するモビリティランドは、2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レースの会場において記者会見を開催。今年の11月18日~19日に鈴鹿サーキットで開催する予定のヒストリックレーシングカーイベント「RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2017」において、ヨーロッパや北米で開催されて人気を集めているヒストリックF1カーのレースシリーズとなる「FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権」のデモレースを開催することに関する説明を行なった。

 記者会見には、モビリティランド 鈴鹿サーキット総支配人の塩津宏幸氏とFIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権を主催するMasters Historic Racing Ltd 代表のロン・メイドン氏が同席し、概要の説明と記者からの質疑応答に答えた。

 メイドン氏によれば、FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権のデモレースは11月18日に予選を行ない、11月19日にローリングスタートによる決勝が行なわれる。1960年代後半~1980年代前半までの歴史的なF1カー10台によるサウンドが鈴鹿サーキットに轟くことになる。

3年目を迎えるRICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2017と併催で行なわれる

 4月20日にモビリティランドから発表された「RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2017」の開催概要によれば、2017年のSound of ENGINEは11月18日~11月19日の2日間にわたり、三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットにおいて開催される。Sound of ENGINEは2015年に初回が開催されたイベントで、“ヒストリックレーシングカーのエンジン音を聴かせる”というコンセプトでスタートし、イギリスで開催されているヒストリックレーシングカーイベントであるグッドウッドフェスティバルのような定番のイベントとなることを目指している。

 特に昨年からは、スイスの高級時計メーカーであるRICHARD MILLE(リシャール・ミル)が冠スポンサーに付き、今年もそれが継続される。イベントの規模としては拡大傾向で、鈴鹿サーキットによれば昨年より規模を拡大して行なわれるという。なお、RICHARD MILLEは、今年からマクラーレン・ホンダのスポンサーになったり、昨年のSound of ENGINEにはオーナーのリシャール・ミル氏が自ら来日して参加し、自前のコレクションであるフェラーリ F312Tをドライブするなど、モータースポーツ界でのプレゼンスを拡大中だ。

 そうしたSound of ENGINEの併催イベントとして開催されることが明らかになったのが、FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権のデモレースだ。FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権は、3.0リッター自然吸気(NA)エンジンを搭載した、1966年~1985年までのF1マシンを利用して争われるシリーズで、グランドエフェクトの有無、年式などによって4つのクラスに分けられ、ヨーロッパ、北米でそれぞれシリーズが行なわれているというF1のヒストリックマシンを利用したレースになる。シャシーは当時のものがそのまま使われるが、ある意味消耗品でもあるエンジンやギヤボックスに関してはコスワースDFVの新品が使われるなど、ユニークな仕組みが採用されており、ヒストリックカーでもきちんとレースができるように配慮されたレギュレーションになっている。

 このため、せっかくコレクションしているヒストリックF1カーを走らせたいというカーオーナーに大人気となり、欧米ではF1のサポートレースとしても行なわれるなどして人気を集めている。日本からも、通信機器ベンダであるプラネックスコミュニケーションズの代表取締役社長 久保田克昭氏がロータスのヒストリックF1カーを駆って参戦しており、モナコGPやアメリカGPで併催されているレースで優勝するなどの実績を残して注目を集めている。

参戦車両は1960年代~1980年代前半のヒストリックF1カーから選択

 そうしたFIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権のデモレースを開催する鈴鹿サーキットからは、モビリティランド 鈴鹿サーキット総支配人の塩津宏幸氏、FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権を主催するMasters Historic Racing Ltdからは代表のロン・メイドン氏が出席して記者会見が行なわれた。

塩津氏:Sound of ENGINEはRICHARD MILLE様に冠スポンサーになっていただいて規模を拡大している。50周年を迎えた時に次の50周年のステップとして始めたイベントだが、モータースポーツの歴史的価値をお伝えし、それを維持継続していくためのイベントにしていきたい。

 今年はマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権のデモレースも併催することになり、土曜日に1台ずつのタイムアタックと、日曜日にローリングスタートのレースを行なう。ヒストリックF1のサウンドをサーキットに響かせて行なう素晴らしいレースになることを期待したい。

株式会社モビリティランド 鈴鹿サーキット総支配人 塩津宏幸氏

メイドン氏:マスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権は、1960年代後半~1980年代前半までのF1カーを利用して行なうレースで、可能な限りそのままの状態に、新しいDFVエンジンとギヤボックスで行なうレースになる。ウイングがついていたり、付いていなかったりなどさまざまなF1カーが走ってもちゃんとレースが成り立つイベントになっている。

――この秋に鈴鹿で行なうデモレースはどのようなレースになるのか?

メイドン氏:マスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権の今年のシリーズはまだ始まったばかりで、シーズンの真っ最中。このため、11月のデモレースにどんな車両を連れてくるかはまだ決まっていない。我々には多くの優れた選択肢があり、シーズンの途中でクルマの調子などを見ながら決めていきたい。ウィリアムズ、ロータス、マクラーレンなどの素晴らしいクルマの中から選んで日本のファンに素晴らしいサウンドと姿をお届けしたい。

Masters Historic Racing Ltd 代表 ロン・メイドン氏

――そのセレクションが決まるのはいつごろか?

メイドン氏:答えるのが難しい質問だ。ヒストリックカーというマシンの性格上、クルマの状態によるとしかお答えできない。できるだけ状態のよいクルマを持ってきたいと思っているのだが、シリーズを戦っているとクラッシュしたり、エンジンブローしたり、予算が不足したりということもあるので、確実にこれがということをなかなかお約束するのが難しい。状況を把握して、7月ごろにはある程度決めていきたい。

――マスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権とはどんなビジネスモデルで、どんなドライバーがでているのか?

メイドン氏:それはよい質問だ。実はビジネスモデルは近年大きく変わりつつある。我々がこのシリーズを始めたころには私のような歳で、その中でもヒストリックカーを買えるような人がドライブするという形だった。ところが、シリーズが発展するにつれて、若いドライバーが参戦するようになっている。それはオーナーが自ら参戦するような形だったり、オーナーが若いドライバーを雇う例もある。その意味では、私と同じような歳のオーナーが参戦するには厳しいシリーズになりつつある。

――将来的に日本でシリーズ戦を開催する可能性はあるか?

塩津氏:我々としては今回やってみて、どのような反響があるのかを見ていきたいと考えている。

メイドン氏:これは最初の1歩だ。将来的には博物館にあるようなヒストリックカーが参戦できるようにしていきたい。サウンドはもちろんだが、1つひとつ感じたり触ったりすることもでき、お客様に楽しんでいただけるようにしていきたい。

――参戦する間のプロセスは?

メイドン氏:クルマを購入してレギュレーションを確認して参戦できるクルマを仕上げ、メカニックの手配、ライセンスの取得などにもコストがかかるだろう。日本では久保田克昭氏がアンバサダーとして活躍してもらっており、彼に続く人がでることを期待したい。

――エンジンはDFVを採用しているということだが、それでイコールコンディションになるのか?

メイドン氏:実際にはラップタイムは大きく異なっている。だが、それはクルマ由来というよりは、ドライバーの違いだ。若いドライバーが乗ればやはり速く走らせることができるので。

――日本でF1ブームが起きたのは1987年に鈴鹿サーキットで日本GPが開催されるようになってからだ。マスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権はその前の1985年までをターゲットにしている。日本ではその1987年以降のクルマが人気があるのだが、そうしたクルマを走らせる予定はないのか?

メイドン氏:我々のコンセプトはターボ時代(1980年代前半~1988年)以前のF1カーというものだ。ターボエンジンのF1カーはすでに使用しないと決めている。部品のコストも高く、馬力もNAであれば550馬力程度だが、ターボでは1000馬力を越えてしまう。実際、プロフェッショナルではないドライバーが運転するには危険すぎる。以前ターボカーのヒストリックF1カーで死亡事故が起きており、事故後に調べて見たらターボのブースト圧が限界まで高められていたことが分かった。FIAもそうした事故がふたたび起こることを望んでいない。

――1960年代後半に第1期ホンダF1が参戦していたが、日本国内に保存されているそうしたホンダF1がこのデモレースに出ることは可能か?

メイドン氏:ホンダさんが出していただけるなら我々は歓迎です。シリーズ戦には出れませんが、デモレースであれば大歓迎です。

――最後に鈴鹿サーキットに来た感想を。

メイドン氏:今回初めて日本に来たんだ。この歳になって初めてのことはあまりないので新鮮だ。我々のドライバーも、ヨーロッパで日本GPの映像を見て、素晴らしいサーキットだと言っている。特に130Rを走ってみたいというドライバーは多いので、彼らも鈴鹿に来ることを満足するのではないかと思っている。