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「S字ちかっ!」パドックとS字が3倍(以上)近くなった鈴鹿サーキット S字トンネルを歩いてみた

どれだけ近くなったか既存の「逆バンク」「1-2コーナー」の2ルートと比較

ファン感謝デー開催中の鈴鹿サーキットでパドックトンネルの出口に置かれた「S字ちかっ!」の看板

 4月8日に2017年のSUPER GTが開幕。次の国内ビッグレースは鈴鹿サーキットで4月22日~23日に開催される「2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース」。国内最高峰フォーミュラレースのスーパーフォーミュラと2輪最高峰のJSB1000の共演だ。

 この鈴鹿2&4を観戦しに行くという人に朗報がある。今シーズンから鈴鹿サーキットでは、パドックとS字観戦席を結ぶ「S字トンネル」を一般開放した。このルートを通るとパドックから東コースS字観戦エリアは劇的に近くなる。今回は注目のS字トンネルについて詳しくお伝えしよう。

 今シーズンから一般開放されたS字トンネルは新設されたものではない。かなり昔からトンネル自体は存在していて、報道カメラマンなどの関係者用の通路として利用されてきた。これまでは整備されておらず、暗いトンネル内はしみ出した水が乾くこともなく、晴れた日でもS字側の階段下には水たまりができていた。

 それが一般開放にあたってトンネル内を整備。S字観戦席の下段にある金網を一部取り除き、観戦エリアとトンネルを結ぶことで新ルートが開通した。今シーズン、S字トンネルが利用できるのは以下のレース開催日となっている。

4月22日~23日 2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース
6月2日~4日 2017 FIM アジアロードレース選手権シリーズ 第3戦
6月10日~11日 スーパー耐久シリーズ2017 第3戦 SUZUKA
7月27日~30日 2017 FIM 世界耐久選手権 最終戦 鈴鹿8時間耐久ロードレース
8月26日~27日 2017 SUPER GT Round6 インターナショナル SUZUKA 1000km
10月21日~22日 2017年 全日本スーパーフォーミュラ 最終戦 JAF鈴鹿グランプリ
11月4日~5日 MFJ全日本ロードレース選手権 最終戦 スーパーバイクレースin鈴鹿
11月18日~19日 SUZUKA Sound of ENGINE 2017

 このように、F1日本グランプリ以外の主要レース・イベントで利用できる。まずは「S字ちかっ!」の看板をじっくりと見てみよう。

S字ちかっ!の看板によると、センターハウスからS字のD席スタンドまでは270m
Googleマップの航空写真。距離測定をすると確かに270m

 看板が置かれていた場所はパドックトンネルを抜けてエスカレータを登ったところ。センターハウスのロータリー付近だ。ここからS字の観戦席(D席)まで270mとなっている。同じ看板にはパドックトンネルが230m、GPエントランスから1~2コーナー経由でD席まで1500m、逆バンク経由で900mとなっている。GPエントランスからパドックトンネルの入り口が約100mなので、GPエントランス~パドックトンネル~S字D席までは新ルートなら600mとなる。では、実際にS字トンネルの様子を見てみよう。

センターハウスからBパドック方面に進む。遠くに見えるのが2コーナーのB席スタンド
右側にあるBパドックに。ちなみにピット裏がAパドックでチーム関係者、Bパドックは報道関係者用の駐車場
Bパドックの看板にS字トンネルが書き加えられていた
Bパドックを抜けてコース脇に。右側の土手の先がコースとなる
Bパドックを抜けると左側にS字激感エリア。これまでは係員が右側のS字トンネルに行かないよう誘導していた
これまでは報道カメラマンなど関係者のトンネルとして使われてたS字トンネル
トンネル長は60mほど
壁面から少し水がしみ出している。整備前はこの付近が万年水たまりだった
コース下を抜けたら長めの階段
金網を一部取り除いて階段を設置。トンネル出口からすぐにD席(D5)スタンドに入ることができる
スタンド側からトンネル出入口を見る
トンネル出入口には係のお姉さんが常駐
コース側から見たトンネル出入口。報道カメラマンはお姉さんに柵を開けてもらいスロープを下りてコースサイドに
S字スタンド側の出入口からトンネル方面
S字スタンド側の階段の下段付近

S字トンネルでパドック~S字スタンドの移動が3分46秒

S字トンネルルート。数字はスタートから1分、2分、3分経過の場所を表してる

 では、S字トンネル開通でパドック~S字間がどれくらい近くなったか、実際に歩いてみよう。スタート地点はパドックトンネルの出口、「S字ちかっ!」の看板前だ。

スタート地点はパドックのセンターハウスのエスカレーター出口
「S字ちかっ!」の看板は、パドックトンネルを抜け、エスカレーターで地上に出ると目の前にある
ロータリーを抜けてS字方面に向かってスタート
パドック内のメイン道路をS字方面に進む。遠くに2コーナーのB席スタンドが見える
Bパドック手前の坂で1分経過
Bパドックを抜ける
S字トンネルの手前で2分経過
トンネル入り口へ
トンネルの突き当たりで3分経過
S字D席スタンドまでは3分46秒

 スマホを撮影するために一瞬だけ立ち止まったりしながら3分46秒。歩行速度は人それぞれだとは思うが、階段などの高低差を抜きにして270mを逆算すると、歩行速度は4.3km/h。健脚の人なら3分半も夢ではない!?

逆バンクルートも歩いてみた

逆バンクルート。Aパドックを抜けて逆バンクトンネルの中間スロープを利用するルートだ

 比較するために別のルートも歩いてみた。次のルートは逆バンク側のトンネルを抜けるルートだ。ピットウォークに参加したことがある人はご存じかと思うが、観覧車付近から逆バンク方面に抜けるトンネルの中間部分からピットレーンに登るスロープは開放される時間が決まっている。

 常に通過できるルートではないが、ピットウォーク開催時などに利用すると観客席とパドック側がグッと近くなるルートだ。このルートも「S字ちかっ!」看板前からスタートして歩行時間を計測してみた。

逆バンク方面にスタート
Aパドックを直進。正面にシケインQ2スタンドが見える
Aパドックの途中で1分経過
Aパドックを抜け、ヘリポートが見えたところで2分経過
右にヘリポート。その先に観覧車
ピットウォーク入場口の看板
ピットウォーク入場口の看板の先、逆バンクトンネルの手前で3分経過
ピットウォークに参加する人がトンネルからスロープを上って入場。この人波を逆行するのは辛い
スロープの折返しで4分経過。S字トンネルルートならこの時点ですでにS字スタンドに到着している
スロープを下りたところで5分経過
逆バンクトンネルへ
トンネル出口が見えたところで6分経過
トンネルを出ると登り坂。このあたりでこの記事を提案したことを少し後悔し始める
登り坂でやや息切れ……。7分の撮影を忘れて逆バンクのスタンドに
逆バンクのスタンド裏にさしかかったところで8分経過。右側に逆バンクオアシスが位置する
逆バンクのスタンド中央付近で9分経過
この付近でスタンド裏の道路からコースが見える
トイレ前をS字方面に
トイレ入り口付近で10分経過
逆バンクからS字まで、コースに沿って神社がある森の左側を進む
S字2つめの左ターンが見えたところで11分経過
コースを挟んだ先にスタート地点のセンターハウスやパドックが見える
D席(D4)スタンド裏からいったん坂を下り
D席(D5)スタンド裏の土手を上る
スタンド最上段に到着。ここまで11分47秒
S字から1-2コーナーが見える
階段を降りてスタンドの途中で12分経過
トンネル出口まで12分23秒。……疲れた

 スタンド最下段のS字トンネル入り口を目的地にする必要はないと思うので、逆バンクルートの歩行時間はスタンド最上段に到着した11分47秒。S字トンネルルート(3分46秒)の3.1倍、時間差は8分となった。このルートのGoogleマップ上での距離は960m。階段がなくフラットな部分が多かったこともあるのか、歩行速度は4.9km/hと速めになった。

完全に後悔! GPスクエア~2コーナールートも歩いてみた

 3月に開催されたファン感謝デーのメディアセンターでの会話。

編集長「S字トンネルってのができたらしいよ」
筆者「関係者トンネルを一般開放するんだ。写真撮っておきますね」
編集長「“ファン感”の記事に入れといて」
筆者「面白そうだから実際に歩いてネタ(記事)にしますか?」
編集長「いいね。ヨロシク」

 その場の思いつきで軽く提案したことを筆者は後悔している。3月上旬に開催されたファン感謝デーは、晴天に恵まれて暑かった。

この日最長のGPスクエア~2コーナールート

 最後はパドックトンネル~GPスクエア~2コーナー~S字ルート。約1.5kmとこの日最長のSS(?)だ。スタート地点はこれまでと同様に「S字ちかっ!」看板前。エスカレーターを下ってパドックトンネルを抜け、GPスクエアに出て1~2コーナー方面をグルっと回ってS字スタンドを目指した。

「S字ちかっ!」看板前からエスカレーターでスタート。この時点で完全に後悔
パドックトンネルをグランドスタンド裏のGPスクエア方面に
ピットビルエレベーター付近で1分経過
GPスクエア側のエスカレーターまで1分50秒
エスカレーターに乗って2分経過
GPスクエア側の出口直前で3分経過
パドックトンネルを抜けてGPスクエアに出ると3分18秒
グランドスタンド裏を1コーナー方面に
橋の手前で4分経過
橋を渡り、交通教育センター(左側)の脇で5分経過
A席スタンド(右側)の裏で6分経過
1コーナー方向に坂を下る
下り坂の終盤で7分経過
コース上の1コーナー手前50m看板付近で8分経過
1コーナーアウト側の広くなる部分を通路に沿って直進
広い部分を抜けると9分経過
右上にメインストレート正面のカメラマンスタンド、正面にB席スタンドが見えるところで10分経過
B席スタンドにたどり着くと11分経過
B席スタンド裏を進む
B席スタンド裏で12分経過
B席スタンド裏を抜ける直前に13分経過
2コーナー付近のC席スタンド裏に差しかかると14分経過
ゆるい傾斜を過ぎてC席後方で15分経過
C席スタンドは長い。16分経過もまだC席スタンド裏
S字とC席の端が見えると17分経過
C席横のF1カメラマンエリア付近からD席(D5)スタンドへ
S字トンネルの看板あり
F1開催時のカメラマンエリアの端で18分経過
まもなくゴール
スタンドにたどり着くとほぼ19分経過
S字トンネル出口までは19分32秒。遠かった。不幸中の幸いは、パドックに戻るときにS字トンネルが利用できたことだ

 スタンドの入り口まで19分。このGPスクエア~2コーナールートはS字トンネルルートの約5倍となった。Googleマップ上の距離は1520m。歩行速度は4.8km/hだった。

 これで3回の計測が終了。S字トンネルがなかったら東コースまでグルッと回らないとパドックに戻れないが、S字トンネルを抜けてサクッとパドックへ。「S字ちかっ!」を痛感した。

鈴鹿2&4はパドックパスを持ってS字トンネルへ

 当然だが、レースイベントでS字トンネルを利用するためにはパドックパスが必要となる。最後に鈴鹿2&4のパドックパスの情報をお伝えしておこう。

 2日間有効となるパドックパスの価格は大人(中学生以上)7200円、子供2000円。パドックの入場に加えてピットウォーク、激感エリア、ピットビル3階のホスピタリティテラスに入場できる。

 パドックパスとS字トンネルを活用すれば、日曜日のピットウォークに参加したあとにホスピタリティテラスでスーパーフォーミュラのスタートシーンを観戦し、順位が落ち着いたところでS字イン側の激感エリアに移動。さらにS字トンネルを抜けてS字アウト側のスタンドで観戦という、従来では不可能だったような移動が可能となる。

 パドックパスは現在発売中。オンラインショッピングサイト(MOBILITY STATION)のほか、ローソン、ミニストップなどで購入が可能だ。詳しくは鈴鹿サーキットのホームページで確認していただきたい。