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Intel、米国カリフォルニア州サンノゼで自動運転車のテスト走行を公開
Delphiと共同開発。アウディ車によるレベル4自動運転動画掲載
2017年5月4日 18:32
- 2017年5月3日(現地時間) 発表
世界最大の半導体メーカーのIntelは、現地時間5月3日(日本時間5月4日)に同社の本社があるカリフォルニア州サンタクララ市に隣接するサンノゼ市に開設した自動運転車の研究開発施設「Intel Garage」において記者説明会を開催。同社がティアワンの部品メーカーDelphi Automotive(以下Delphi)と共同で開発した自動運転車のテスト走行の様子を公開した。
同社とDelphiが共同で開発した自動運転車は、アウディのSUV「Audi SQ5」をベースにし両社が自動運転機能を付け加えた車両で、カメラ、レーダー、LiDAR(Light Detection and Ranging)など合計26個の各種センサーと、Intelの半導体をベースに作られており、公道でドライバーが一切操作せずに自動走行できるレベル4の自動運転を実現している。
今回筆者はそうしたIntelとDelphiが開発したレベル4の自動運転車を、サンノゼ市の公道が走るテスト走行に試乗することができたので、その様子をお伝えしていく。
Intelプロセッサ、Mobileyeのカメラを元にDelphiと共同開発された自動運転テスト車
今回IntelとDelphiが共同で開発した自動運転車は、カメラにIntelが買収することを発表したばかりのMobileyeが提供するモジュールを採用しており、レーダーとLiDARが別途前後左右それぞれにに取り付けられている。この計26個のセンサーを利用して、自動車の周囲360度の状況を検知することが可能になっている。
DelphiのCTO(最高技術責任者)グレン・デ・ヴォス氏によれば、それらのセンサーが作りだすデータは、1時間あたり4.5TBにも達するという。4.5TBのデータがどのくらい大量のデータであるかだが、現在市場で販売されているハイエンドなスマートフォンであるiPhone 7のストレージ最大容量が256GB(≒0.25TB)になるので、1時間あたりiPhone 7が18台分という計算になる。それだけの大容量のデータが1時間で作られるセンサーを搭載して走っている。
そうしたセンサーからのデータを処理し、そのデータに基づいて自動車の操作を行っているのが、車体の後部に格納されているIntelのプロセッサになる。Intelが複数用意している車載向けのプロセッサ(Xeon、Core、Atom)のうちどれが採用されているかは非公開。なお、こうした自動運転のテスト車両では、トランク一杯にコンピュータのユニットが搭載されているというのもあるが、今回のIntelとDelphiが公開した車両の場合には、スペアタイヤが置かれる場所に格納できており、かなりコンパクトにまとめることが可能になっていたのが印象的だった。
Delphiによれば、現在の車両は欧州の地図ベンダであるHereから提供されているHDマップ(高解像度マップ)を参照しながら走っており、適宜V2I(Vehicle to Infrastructure、路車間通信)の機能も利用して、より安全性を高めるようにして走っているとのことだった。
一般車両も走っているカリフォルニアの公道を自動運転車が自律的に走行
試乗では、地元政府の許可によりIntel社内の敷地だけでなく、周囲の公道を走行することが可能だった。試乗できたのは2マイル(約3.2km)で、4つのコーナーを自動運転車が自律的に曲がり、信号を車が自分で判定して停止し、信号が青になれば自動で発進する様子や、渋滞して前に車両が止まっている場合には、それに合わせて自動で停止し、前の車両が発進するとやはり自動で発進していく様子を確認できた。
現在はテスト車両ということで、センターコンソールのディスプレイにはセンサーからの情報を表示する機能が用意されている。自動車がセンサーを利用して自車の周囲360度の情報を取得したり、信号の色などをディスプレイに表示したりしていて、きちんと認識がされ、それに従って運転している様子を確認できた。
すでに述べたとおり、サンノゼ市の公道を走っているため、まわりを走っている車両は一般の車両。その中で、ドライバーが何も操作をしていない自動運転車がスイスイ走る様子は、とても不思議な光景だった。もはや自動運転は遠い未来ではなく、すでに実現できている技術であることを実感することができた。