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トヨタ、「ナビゲーション」「音声認識」機能にクラウドと車載機処理を自動切り替えするハイブリッド方式開発

今秋以降の新型車搭載カーナビで採用

2017年9月11日 発表

 トヨタ自動車は9月11日、ルート探索や施設検索の「ナビゲーション機能」「音声認識機能」において、利用状況に応じて自動的にクラウド処理と車載機処理を切り替えるハイブリッド方式の新技術を開発したと発表。今秋以降、国内で発売する新型車のカーナビに順次展開していく。

 新技術は車載通信機「DCM(データ・コミュニケーション・モジュール)」の標準設定を柱とする「コネクティッド戦略」の一環として開発されたもの。

 今回開発した新機能により、具体的には「より早く到着するルートを探索、案内を受けることができる」「より多くのルートの選択肢から、ルートを選択できる」「より自由度の高い目的地検索ができる」「より簡単に、発話でマルチメディアシステムを操作できる」といった、サービスが提供可能になるとしている。

ハイブリッドナビ機能

ハイブリッドナビ機能

 同社が開発した世界初となるハイブリッドナビ機能は、多くの車から収集した車両プローブ情報と、外部情報を組み合わせたデータベースを用いて、ルート探索、および施設検索処理をクラウドにて行ない、車載機に配信する。また、通信圏外や、リルートなど速い応答性が要求される場合には、自動的に車載機での処理に切り替えて対応する。

 クラウドによるルート探索では、各道路に対する通過時間のヒストグラム(確率分布)を蓄積した所要時間データベースに加え、より早く到着するルートとより正確な到着予想時刻を案内するために、所要時間の平均値だけでなくばらつきも考慮してルート探索を行なう。

通過時間のばらつきを考慮し、平均通過所要時間の短さのみでなく、ばらつきが少ないルートを選ぶことで到着予想時刻の精度向上を可能にする

 また、区間が同一であっても、その進入方向や退出方向(直進・右左折)によって所要時間に差異が発生するため、区間当たりの所要時間に進入・退出を組み合わせた複数の時間データを考慮することで、ルートの所要時間をより正確に算出する。

区間が同一であっても、その進入方向や退出方向(直進・右左折)によって所要時間に差異が発生するため、区間当たりの所要時間に進入・退出を組み合わせた複数の時間データを考慮する

 さらに、クラウドで処理を行なうことによって、ユーザーが車両を購入した後もルート種別を増やすことができる「拡張ルート」機能を、世界初で実現した。新しいルート種別はセンターからダウンロードすることで追加可能であり、その第1弾として、今後「関東ETC2.0料金割引優先ルート」を提供する予定。

ハイブリッド音声認識機能

ハイブリッド音声認識システム

 ハイブリッド音声認識機能は、クラウドによる音声認識の“自然な発話が認識できる”“店舗名称等の多量な施設名称の認識ができる”という利点、車載機による音声認識の“応答性が速い”という双方の利点を活かし、発話内容、状況に応じて、クラウドと車載機の機能を自動で使いわけることでマルチメディアシステムの快適な音声操作を可能とした。

 従来のクラウドによる音声認識機能は、自然な発話の認識ができるが、操作対象は目的地検索、天気、ニュース等のサーバーアプリケーションのみが対象になっていた。また、車載機による音声認識機能は、認識可能なフレーズに制約があったため、住所で目的地を登録するには、「目的地」→「住所」→「東京都文京区後楽1丁目4」のように、数個のフレーズを覚えて使う必要があった。この2つの音声認識機能は別のシステムとなっており、使いたい機能に応じて、起動するシステムを使い分ける必要があった。

 今回開発したハイブリッド音声認識機能では、使いたい機能を意識することなく、音声認識システムを起動し、「駐車場のある蕎麦屋を探す」、「エアコンの風量を最大にする」等の自然な発話で各操作を可能にしたとしている。

従来の音声認識機能の特徴