自工会、定例記者会見で2009年度の基本方針を発表
危機的状況打開のためエコカー減税や買い換え補助制度に期待

定例記者会見で基本方針を述べる青木哲自工会会長

2009年5月21日



 自工会(日本自動車工業会)は5月21日に定例記者会見を行い、平成21年度事業計画を発表した。

 青木哲会長は冒頭で自らが自工会会長に就任してからの1年を振り返り、「この1年間で自動車産業を取り巻く状況は激変し、これまで経験したことのないような世界的な自動車需要の急激な落ち込みが続くという、会長に就任した次点ではまったく予想できなかった自体に直面している」と述べた上で、「今年はこのような状況ではあるが、昨年と同様“安全と環境への取り組み”“国際的な相互理解と協力の促進”“車の夢、楽しさの訴求と快適な利用環境の取り組み”の3点を柱として、自動車産業の危機的状況を克服すべく全力で取り組む所存である」と述べた。

 質疑応答では、取材陣からエコカー減税や買い換え補助制度の影響、クライスラーに続きGMが破綻した場合の影響、アメリカで始まると言われている燃費規制強化の影響、東京モーターショーのマセラティとポルシェの辞退についてなどの質問が寄せられた。

エコカー減税や買い換え補助制度の影響
 エコカー減税や買い換え補助制度に関しては、登録台数では4月に引き続き、5月も現時点で前年を下回る数字となっているが、実際に車両を購入しても、登録されるのは工場から出荷されたあとで、タイムラグがあるため、減税の影響はまだ登録台数に反映されていないだろうと述べた。ただし販売店からの声では減税に関してユーザーに広く認知されているとのことで、逆に低炭素車以外のモデルをどうやって推し進めていくかが課題だと言う。

 補助制度に関しては、システムが分かりやすくユーザーの認知は進んでいるが、まだ法案が決定したわけではないので、メーカーサイドでは積極的にはアピールしていないとのこと。「可決されれば、商品訴求も含め最大限活用し、今年度の目標である430万台を1台でも引き上げるよう業界として努力したい」と述べた。

クライスラーに続いてGMが破綻した場合の影響
 GMが破綻した場合の影響については、「BIG3がなくなるようなことはないだろう。形を変えて事業を展開していくのだと思うが、それがどう日本に影響をあたえるかはむずかしい」とした上で、アメリカ経済が市場にあたえる影響は大きく「BIG3に限らずアメリカ経済の復興が自動車産業にとって重要だ」と述べた。

アメリカでの燃費規制強化について
 アメリカでの燃費規制については、「地球温暖化防止、エネルギー対応など地球環境のことを考えれば、規制の大幅なアップはあり得る方向性だと思う」と述べた上で、現状複数ある基準が一本化されることは、メーカーにとって好ましい状況であるとしながらも、詳細は今後煮詰められると思うが、投影面積で基準を変えるという話も聞いている。アメリカで販売する自動車メーカーにとって公平な基準値が設定されることを期待したいと述べた。

東京モーターショー、ポルシェとマセラティ参加辞退について
 東京モーターショーに関して、ポルシェとマセラティが参加の辞退を表明しているという件に関しては、まだ自工会では話を聞いていないとのことで、展示スペースなどは従来どおりのまま。「先進的な技術を世界に発信していく重要な場として、東京モーターショーの重要性は変わらない」と述べた。

(編集部:瀬戸 学)
2009年 5月 21日