アウディ、A5ベースのSUV「Q5」 クワトロシステムと7速デュアルクラッチ変速機を搭載 |
アウディ・ジャパンは5月21日、ミッドサイズSUV「Q5」を発表した。発売は6月2日で、価格は「2.0 TFSI quattro」が569万円、「3.2 FSI quattro」が660万円。
同社としてはQ7に続く2つめのSUVだが、ミッドサイズSUVセグメントには初参入であり、BMW X3やメルセデス・ベンツ GLKクラスをライバルとする。
テールライトもLED | このところのアウディのアイデンティティとなっているLEDのウィングライトをQ5も備える |
発表会でのベッシュ社長(右)と、Q5のプロダクトマネージャーであるドミニク・グラス氏 |
同社は5月21日、都内で発表会を開催。アウディ・ジャパンのドミニク・ベッシュ社長はQ5を「Q7で培ったSUVのノウハウと、アウディのスポーティーな車作りのDNAの融合」と表現し、アピールポイントとして「SUVの機動性と機能性を高く実現しながら、軽快な走りと快適な乗り心地を持つ」「競合車を上回る燃費の良さ」「クーペのようなラインを持つデザイン」の3つを挙げた。
Q5の主要スペックは次のとおり。
アウディ Q5 | BMW X3 | メルセデス・ベンツ GLKクラス | |||
2.0 TFSI quattro | 3.2 FSI quattro | xDrive25i | xDrive30i | ||
全長(mm) | 4635 | 4585 | 4530 | ||
全幅(mm) | 1900 | 1855 | 1840 | ||
全高(mm) | 1660 | 1675 | 1685 | ||
ホイールベース(mm) | 2810 | 2795 | 2755 | ||
最低地上高(mm) | 205 | 200 | 185 | ||
重量(kg) | 1870 | 1930 | 1800 | 1830 | 1860 |
エンジン | 2リッター 直列4気筒 DOHC直噴ターボ | 3.2リッター V型6気筒 DOHC直噴 | 2.5リッター 直列6気筒 DOHC | 3リッター 直列6気筒 DOHC | 3リッター V型6気筒 DOHC |
最高出力(kW/PS) | 155/211 | 199/270 | 160/218 | 200/272 | 170/231 |
最大トルク(Nm/kgm) | 350/35.7 | 330/33.7 | 250/25.5 | 315/32.1 | 300/30.6 |
トランスミッション | 7速デュアルクラッチAT | 6速AT | 7速AT | ||
10・15モード燃費(km/L) | 10.6 | 9.1 | 9.2 | 8.4 | 9.0 |
ハンドル位置 | 右 | 右 | 左 | ||
ラゲッジルーム容量(L) | 540~1560 | 480~1560 | 450~1550 | ||
価格 | 569万円 | 660万円 | 570万円 | 645万円 | 675万円 |
車体サイズをA4 アバントと比較すると、全長は-70mm、全幅は+75mm、全高は+195mmとなる。
エンジンとトランスミッションをフロントアクスル上に縦置きするA5、A4のプラットフォームをベースに、SUV向きの足まわりを与えたもの。5ドアボディーに4輪駆動の「quattro(クワトロ)システム」を装備したモデルのみラインアップされる。
エンジンは2リッター直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボと3.2リッターV型6気筒DOHC直噴ガソリンを搭載。トランスミッションはデュアルクラッチATの7速Sトロニック。トルセンデフをセンターデフとする4WDシステムは、通常は前後4:6でトルクを配分するが、状況に応じて2:8~6:4の範囲で変化する。サスペンションは前5リンク、後トラペゾイダルとA4と同形式だが、SUV向けのチューニングが施される。
A4アバントよりやや大きいがSUVとしてはコンパクト | A4と同じ足まわりとパワートレーン | 7速デュアルクラッチトランスミッションを搭載する |
ルーフラックを検知してESPのモードを自動的に切り替える | ボタン1つでクルマの性格を変えるアウディドライブセレクト | S-lineパッケージやオフロードパッケージを用意する |
アクティブセーフティデバイスとして「ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)」を備えるが、Q5には通常モードのほかにオフロードモードを備える。オフロードモードではESPの介入を遅らせ、オフロード走行に適した設定になる。また急な下り坂で車速を一定に保つ「ヒルディセントアシスト」を備える。
さらにルーフレールにラックが装着されたことを検出すると、ルーフ上に重量物が載っていることを想定したESP制御に切り替わる。これに対応する専用ラックがQ5全車に標準で付属する。ルーフラックの最大積載荷重は100kg。
このほかダンピングコントロール、ステアリングレシオ、スロットルコントロール、トランスミッションのシフトスケジュール、エンジンコントロールをセットで、「COMFORT」「AUTO」「DYNAMIC」「INDIVIDUAL」の4種類に変化させる「アウディドライブセレクト」をオプションで用意する。
デパーチャーアングル25度、登坂能力31度とSUVとしての実力も備える | 急な下り坂を安全に降りることができるヒル・ディセント・コントロール |
2.0 TFSIのエンジン性能曲線 | 3.2 FSIのエンジン性能曲線 |
ドミニク・グラス氏 |
■「SUVだが、スポーツリムジンの運転体験を提供したい」
Audi AGからQ5のプロダクト・マネージャーであるドミニク・グラス氏が来日し、発表会でQ5について説明した。
グラス氏はQ5のエクステリアを「スポーティー」と表現。SUVながらA4やTTと同じようなプロポーションを持っており、短いオーバーハング、クーペのようなルーフライン、前後フェンダーのブリスターライン、Cd値0.33といったディテールをその要素として挙げた。
デザインのテーマは「スポーティー」。クーペのようなフォルムにSUVとしての力強さを組み合わせる。Cd値は0.33 |
また装備のMMIマルチメディアインターフェースは、日本市場のために開発した第3世代であることをアピール。ETC、VICS、地上波デジタル放送といった日本だけのシステムに完全に対応しつつ、「直感的にすぐ操作できることを重視した」MMIの特長を磨いたと言う。また、これも日本独自のサイドアンダーミラーに対応する装備として「サイドビュー」を開発。左ドアミラー下のカメラからの画像をMMIのディスプレイに映す仕組みにより、デザインを損ねるサイドアンダーミラーを廃した。
インテリアはSUVらしく多機能で、アレンジしやすくしたとしている。後席は4:2:4の分割可倒式で、テールゲート近くのリリースレバーで倒すことができる。また後席を前方に100mmスライドさせることもできる。
このところのアウディ車らしく、ダウンサイジングコンセプトによる環境性能もQ5のアピールポイントとして挙げ、燃費の向上にはパワートレーンだけでなく、パワーステアリングポンプやエアコンの最適化、低抵抗タイヤやエネルギー回生システムの採用も貢献しているとした。
グラス氏は本誌の取材に対し「A4、A5と同じプラットフォームだが、SUVに期待されるオフロード性能を持つようチューニングした。一方で、オンロードのQ5はスポーツリムジンの運転体験を提供できる」と、オン/オフどちらでも走行性能が高いことをアピールした。
日本市場のために開発された新しいMMIはVICS、ETC、地デジに対応。オプションでバング&オルフセンのオーディオシステムを選べる |
後席は4:2:4の分割可倒式。100mmの前後スライドも可能 |
オプションで電動パノラマサンルーフが用意される |
新開発のパワーステアリングポンプなども環境性能の貢献している | 2段階でバルブのリフト量を変えるアウディ・バルブリフト・システムは走行性能と環境性能を両立。2.0 TFSIに装備される |
■予想以上に厳しい輸入車市場
ペッシュ社長は輸入車市場とアウディ・ジャパンの状況を説明した。
これまでの発表会では国内輸入車市場にはやや楽観的な予測を提示してきたベッシュ社長だが、今回は「プレミアムインポートカーマーケットの落ち込みは、当初の予想以上に厳しい」と“下方修正”。年初から掲げている「過去最高の年間販売台数16691台」の目標は修正こそしなかったものの「見通しは厳しくなった」とした。
しかしアウディはこの環境でも、落ち込み幅を競合中最小限の12%に食い止め、この結果輸入車市場でのシェアは拡大。年間目標の17%のシェアは達成できる見込みとした。
また、環境基準達成車への買い替え促進策に触れ、プレミアムインポーターでは最多の19車種が対象となることもアピールした。これにはQ5も含まれる。
Q5の2009年末までの販売目標は700台。プレミアムミッドサイズSUVセグメントでのシェア25%を目指す。
予想以上に輸入車市場の状況は厳しい | 今後もさらに厳しい状況が続くが | アウディは落ち込みを最小限にとどめている |
台数の落ち込みを最小限にしたことで、シェアは拡大した | 年初の目標は見通しが厳しくなったが、まだ修正はしない | アウディ・ジャパンが持つ買い替え促進策の対応車は19に上る |
Q5と競合車の比較。出力も燃費も競合車を上回る | 半年で700台を売る |
フォトギャラリー | ||
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(編集部:編集部:田中真一郎)
2009年 5月 22日