WILLER TRAVEL、ビジネス向けハイブリッド高速バスを公開
3列シートで無線LANなどビジネス向け装備満載



 高速ツアーバスなどを運営するWILLER TRAVEL(ウィラートラベル)は7月15日、ビジネスユース向けの新サービスプランを発表した。東京-大阪路線(1日2便)で、国内長距離バスとしては初となるハイブリッド車両を採用したのが特徴。

 今回発表されたのは「ビジネスクラスComfort」と「ビジネスクラス」の2つで、料金は「ビジネスクラスComfort」が9800~1万800円、「ビジネスクラス」が8800~9800円となっている。またオプションもあり、スパ・サウナ利用券が付く「スパ付きプラン」が1000~1200円、車内で使える「快眠アイテム」(アイマスク、ピロー、耳栓、スリッパ)が500円、快眠アイテムと「ナイトウェア」のセットが1000円で用意されている。

 品川プリンスホテル(東京/品川駅)やホテルニューオータニ大阪(大阪/ビジネスパーク駅)といったビジネスでよく使われるホテルが乗降場所になっているのもこのプランの特徴。現在のところ乗降場所となるホテルは、東京が1カ所(品川プリンスホテル)、大阪が3カ所(ホテルニューオータニ大阪、ハートンホテル西梅田、大阪キャッスルホテル)だが、順次増やしていく予定だという。

 バスの予約と同時にホテルの利用予約も可能で、「アーリーチェックイン」や「デイユースプラン」に対応し、バス降車後すぐにホテルのチェックインが可能なのもビジネスユースにはうれしいところだろう。

 スパ付きプランでは、東京/池袋の「タイムズスパ・レスタ」や東京/新宿の「グリーンプラザ新宿」、大阪/天王寺の「スパワールド」などと提携しているが、こちらも順次増やしていきたいとしている。

 使用する車両は「日野セレガ ハイブリッド」。8.7リッター直噴ディーゼルターボエンジンとモーターによるパラレルハイブリッドのパワートレーンを搭載し、低燃費・低排出ガスを実現している。

 日野セレガ ハイブリッドに搭載されたエンジンは、第3・4世代の従来車に搭載されたエンジンとは異なり、排気量、重量を抑えつつ、最高出力、最大トルクを向上させたものになっている。バッテリーにはNi-MNバッテリを採用。鉛バッテリーと比べ耐久年数が大幅に向上したほか、体積・重量が大幅に減っているのが特徴だ。

使用する「日野セレガ ハイブリッド」運転席
本来トランクルームがある場所に、バッテリー、インバーター、コンピューターなど、ハイブリッドシステムの機能を1つのユニットにまとめた「PCU」(パワーコントロールユニット)を搭載している

 

セレガ・ハイブリッドのエンジンとバッテリーの概要

 シートは幅64cm、リクライニング角162度の3列ワイドシート。独立した1席と隣り合った2席という組み合わせで配置し、独立した席を「ビジネスクラスComfort」、連結した2席を「ビジネスクラス」で使用する。シート数を16席に抑え、ゆったりとした空間を作り出している。

 さらに、携帯電話やノートパソコンなどの充電に使えるプライベートコンセントを各席に備え、無線LANによるインターネットアクセスが可能(当日申し込み可能)など、ビジネスを支えるサービスが充実している。

 無線LANの仕様は同社の上位プラン「エグゼクティブ」と同等で、回線にはインターネットイニシアティブの法人向けデータ通信サービス「IIJモバイル」(ドコモ)が使われている。対応する無線LANはIEEE 802.11b/gで、実測で1.2~1.3Mbps程度は出るという(状況により300kbps程度まで低下)。無線LANの利用は無料だが、利用申し込み書への記入と本人確認(運転免許書や保険証、パスポートなど)が必要となる。

 長距離バスの場合、簡易トイレを備えている車両はよくあるが、本車両の後部には、洗面器スペースの確保された広いトイレが用意されている。

入口を入ると、ホテルのフロントを彷彿とさせる「ウェルカムキャビネット」がある専属のアテンダーが乗車する車両に備え付けられた加湿器
トイレではなく、化粧室のスペースを後部に備える。ナイトウェアなどの着替えも行えるスペースだ
運転席には、無線LANのアクセスポイントが設置されている。無線LANサービスには、インターネットイニシアティブの法人向けデータ通信サービス「IIJモバイル」(ドコモ)が使われている

 「ビジネスクラスComfort」と「ビジネスクラス」の大きな違いは席の独立性だが、さらにビジネスクラスComfortのシートには、小型テレビ(ワンセグ/フルセグ対応)が備え付けられ、通路からシートを隠すカーテンなどを備える。またシートのリクライニング機能も異なり、ビジネスクラスComfortは全自動となっているが、ビジネスクラスはフットレストの調整が手動となっている。それ以外の機能、サービスはほぼ同等だ。

 各プランとも、同社のWebサイトのほか、楽天トラベルなどのマーケットプレイスを利用して申し込みすることができる。

 なお、10月には女性専用のビジネスユース向けのサービスである「エレガンスレディース」を導入する予定。サービスの詳細は未定だが、花柄のシートを採用するなど、女性向けを意識したサービスになると言う。

ビジネスクラスComfortのシートビジネスクラスComfortのシートはリクライニングが全自動となっている通路に面したプライベートカーテンを使えば、個室空間を作り出せる
ワンセグ/フルセグに対応したプライベートテレビを搭載する。ヘッドホンの貸し出しも行っている
肘掛部には小型のテーブルが収納されている
携帯やノートパソコンの充電に利用できるプライベートコンセントを全席に備えているシート背面には、背広などを掛けるためのハンガー&スペースがある。リクライニング時に床につかないよう、ベルトで固定可能だ
ビジネスクラスのシート基本的なリクライニングは自動で行える2人掛け席にも各席ごとにコンセントが設置されている
読書灯なども装備フットレスト部のリクライニングは手動となっている
シート背面に収納できなかった上着などは、後部に用意されているハンガースペースに収納可能

(飯塚 直)
2009年 7月 16日