パナソニック、3輪車型ロボット「エボルタ号」を公開 単3乾電池「エボルタ」で“ル・マン24時間”に挑戦 |
パナソニックは7月24日、ル・マン24時間走行に挑戦するアルカリ乾電池「EVOLTA(エボルタ)」を動力源とした3輪車型ロボット「エボルタ号」の完成発表会を、東京都港区六本木にある「F1 PIT STOP CAFE」で行った。このロボットは、アルカリ乾電池のエボルタを使った動力耐久テストで使われるもの。同社は、昨年5月にも米アリゾナ州グランドキャニオンでエボルタを使った登頂チャレンジを実施し、その際は6時間46分31秒をかけてクリア。同社が発売する乾電池の耐久性の高さをアピールした。
今回のテストはその第2弾で、8月5日の10時(現地時間)から実施され、世界3大レースの1つ「ル・マン24時間」と同様に、24時間かけてコース内(ル・マン24時間のコースはサーキットと市街地から構成されるが、今回のテストはそのサーキット部となるブガッティサーキットを使って行う)を走行するというもの。それと同時に、遠隔操作された車両型ロボットの最長走行距離としてのギネス世界記録取得も目指すと言う。発表会には設計・開発を担当したロボットクリエイター・高橋智隆氏も登場。その模様をお伝えする。
エボルタ号のサイズは約20×約30×約20cm(幅×全長×高さ)で、DCモーターを2個装備。マイコンを胴体部に内蔵し、赤外線を追尾しながら自律で走行する。発表会では女性が手動でカメラカーを走らせ、それをエボルタ号が追尾するデモ走行が行われたが、テスト本番では電動の車両に赤外線発光装置が取り付けられ、それをエボルタ号が追尾する。
3輪車型ロボット「エボルタ号」の設計・開発を行ったロボットクリエイターの高橋智隆氏 | 女性が手に持っている球状の物体から赤外線を発信し、それをエボルタ号が受信して追尾している | エボルタ号を前から |
エボルタ号を後ろから | 高橋氏が指さしているところから赤外線を受光する | 動力は単3型エボルタを2本使う |
高橋氏によると、このエボルタ号を完成させるまでに、実際にブガッティサーキットまで足を運んだほか、国内でもテストを幾度となく慣行したそうだ。ブガッティサーキットでは下り坂で暴走、国内では先導側の赤外線発光装置の故障など、さまざまなトラブルがあったと言うが、「テスト時にトラブルはつきもの。本番で何かあった際に対処できるようになるので、むしろ歓迎すべきこと」と高橋氏は語る。
冒頭でも紹介したとおり、パナソニックは遠隔操作された車両型ロボットの最長走行距離としてのギネス世界記録取得も目指している。そのため、会場にはギネス・ワールド・レコーズ 日本オフィスのラッセル・ウィリス社長も招待されていた。
ラッセル・ウィリス社長は「今回のテストにおいて、いくつかのガイドラインを設定した。1つは市販されている充電池を使用し、交換や充電をしないで走らなければならないというもの。もう1つはレールの上を走ることを禁止している。厳しいものだが、エボルタ号を製作するのに長い時間をかけて開発したと聞いているので、ぜひ頑張ってチャレンジして欲しい」と、エールを送っていた。
最後に高橋氏は、「多くの方々の協力を得て、素晴らしいチャレンジができることに感謝している。苦難を乗り越えながら24時間走り続けてゴールを目指し、その達成感を皆さんと分かち合えたらと思う。ギリギリまで開発を行い、成功に向けて頑張りたい」と抱負を述べた。このチャレンジの結果は、エボルタ公式Webサイト上で発表される予定。
ギネス・ワールド・レコーズ 日本オフィスのラッセル・ウィリス社長 | 高橋氏と握手を交わすラッセル・ウィリス社長 | エボルタの走行距離を予想する「走行距離予想キャンペーン」が実施中。予想が最も近かった応募者には、トヨタのハイブリットカー「プリウス」が当たる。キャンペーンは8月5日まで |
(編集部:小林 隆)
2009年 7月 24日