ボルボ、コンパクト・プレミアム・クロスオーバー「XC60」
自動ブレーキ技術「シティ・セーフティ」を日本初導入

XC60

2009年8月29日
599万円



 ボルボ・カーズ・ジャパンは、コンパクト・プレミアム・クロスオーバーモデル「XC60」を8月29日から発売する。右ハンドルのみの設定で、価格は599万円。

 XC60は、クーペモデルとクロスカントリーモデルの外観と性能をあわせ持つコンパクトSUV。街中、高速道路、未舗装路など、路面状況にかかわらず高い走破性と快適性を両立した。エクステリアデザインでは、伝統のV字型シェイプを踏襲したボンネット、ヘッドライトからリアエンドまで続くウエストラインにより力強い印象が与えられたほか、グリル部に収まるアイアンマークを大型化した。同社では、「既存のモデルが100m先からボルボだと分かるものだとしたら、XC60は200m先からでも分かるデザイン」としている。ボディーサイズは4625×1890×1715mm(全長×全幅×全高)。フロントポジションランプとテールランプには、視認性、耐久性に優れたLEDを採用した。

ショルダーラインから上はクーペの、下はSUVのデザインを融合。XC70と比較してトレッドがフロントで25mm、リアで15mm拡大したため、走行安定性が上がるとともに存在感も増した
台形グリルの中央に配置した、大型のアイアンマークが存在感をアピールポジションランプは、通常の電球よりも寿命の長いLEDを採用。片側で24個使用
アクティブ・ベンディング機能付きデュアル・キセノンヘッドライトは、コーナリング方向に合わせて、左右ともに最大15度の範囲で照射角度をコントロールする新デザインのインテグレーテッド・ルーフレールはアルミ製

 XC60は、先進安全技術「シティ・セーフティ」を標準で搭載している。これは30km/h以下で作動する自動ブレーキ技術で、進行方向の前方約6m先をルームミラー前方にあるレーザーセンサーで常時監視。危険を感知するとブレーキの反応を素早くするためにプレチャージを行うことで万が一に備え、それでもドライバーがブレーキを踏まない場合は車両側が自動的にブレーキ、同時にエンジンの出力を抑えるというもの。両者の相対速度差が15km/h未満の場合は衝突を回避、15km/h以上30km/h以下の場合は衝突のダメージを軽減する。

シティ・セーフティのイメージ図。前方の車両をレーザーセンサーで監視し、前車との相対速度差が15km/h以下であれば強制的にブレーキが作動して衝突を回避する。同社の調べでは、特に渋滞時や市街地で一般的に起きている事故は低速時における衝突によるもので、約75%が30km/h以下の速度で起きており、さらにそのうちの約半数がまったくブレーキを踏んでいないと言うシティ・セーフティ機能が作動した際、メーター内に作動したことを表示するグリル部にあるのがレーダーセンサー。主にアダプティブ・クルーズ・コントロール、追突軽減オートブレーキシステム、車間警告機能に使われる

 そのほかの主な安全装備としては、前方車両と一定の距離を保ちながら加減速を自動的に調整する「ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)」や、前方車両との車間距離が接近した場合に赤い警告灯でドライバーに知らせる「車間警告機能」、意図的な理由がないまま車線を越えた場合に警告音を発する「LDW(レーン・デパーチャー・ウォーニング)」機能のほか、カメラが車両と車線の距離を監視し、蛇行運転といった傾向を察知すると警告音とともにメーターパネル内にコーヒーカップのアイコンを表示して、ドライバーに休憩を促す「ドライバー・アラート・コントロール」機能などが挙げられる。

 また、クロスカントリービークルらしくジャイロセンサーが横転の危険性を検知した際にエンジントルクを減少させ、ホイールにブレーキがかかることで横転を抑制する「RSC(ロール・スタビリティ・コントロール)」や、急斜面でギアを1速に入れた際、速度を制限して安全に降坂する「HDC(ヒル・ディセント・コントロール)」など、セーフティシステムが充実している。

 なお、ACC、車間警告機能、追突警告機能、ドライバー・アラート・コントロール、レーン・デパーチャー・ウォーニングをセットにした「セーフティ・パッケージ」がオプションとして用意されており、価格は20万円となっている。

ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)のイメージ図。クルーズコントロールで巡航中は、車間距離を自動で調整するACC機能をOFFにしていても、前車との間隔が設定値を下回ると、フロントウインドーに赤い警告灯を点灯して注意を促す車間警告機能HDC(ヒル・ディセント・コントロール)は、急斜面でギアが1速の際、ブレーキとエンジンを制御することで速度を制限
ウインカーの点灯など、車線変更の意志なしに車線を越えた際にドライバーに対して注意を喚起するLDW(レーン・デパーチャー・ウォーニング)。65km/hに達すると作動し、60km/h以上であればLDWも作動を継続する
車の進行状況をモニターし、逸脱した運転パターンを検知した場合は音で警告するとともに、メーター内のインフォメーション画面にコーヒーカップのアイコンを表示し、休憩を促す

 エンジンは直列6気筒3リッターターボエンジンを搭載。最高出力は210kW(285PS)/5600rpm、最大トルクは400Nm(40.8kgm)/1500-4800rpm。トランスミッションは電子制御6速ATで、スウェーデンHaldex製のプレチャージ式電子制御AWDシステムと、横滑りを検知するDSTC(ダイナミック・スタビリティ&トラクション・コントロール)の組み合わせにより、路面の状況に左右されずに安定した操作性能を確保する。サスペンションはXC60独自の設定で、フロントにマクファーションストラット式、リアにマルチリンク式を採用、タイヤサイズは前後とも235/60 R18。一見するとローフォルムに見えるが、最低地上高はXC70の190mmよりも45mm高い235mm。耐水限界は350mm、ランプブレークオーバーアングルは22度。

各骨格で異なる強度の高張力鋼板を適材適所に配置し、さまざまな種類の衝突衝撃を分散・吸収するROPS(ロール・オーバー・プロテクション・システム)を採用

 ボディーにはSIPS(側面衝撃吸収システム)のほか、横転時に乗員を保護する「ROPS(ロールオーバー・プロテクション・システム)」、正面衝突に備え、異なる強度のスチールで構成されたフロント部の構造などで徹底的に安全性が高められている。

 ボディーカラーは「ブラック」「シルバーメタリック」「ブラックサファイヤメタリック」「バレンツブルーメタリック」「エレクトリックシルバーメタリック」「メープルレッドメタリック」「オリノコブルーメタリック」「コスミックホワイトメタリック」「カメレオンブルーメタリック」「サヴィルグレーメタリック」「テラブロンズメタリック」「ライムグラスグリーンメタリック」「アイスホワイト」の全13色を用意する。

 オプションで電動パノラマ・ガラスサンルーフを用意。2分割式で、横転の際にガラスが破片になることを防ぐラミネート加工が施され、強い日差しをシャットダウンする電動ローラーカーテンも装備。

 リアシートは4:2:4の3分割可倒式で、テールゲートを電動式にするなど、日常での使い勝手のよさも高められている。

 インテリアカラーはアンスラサイトブラックとサンドストーンベージュの2種類があり、パネルはアルミニウム、クラシックウッド、ノルディック・ライトオークの3パターン。シートは「X(クロス)」をテーマにしたデザインが施され、素材はすべて本革を採用する。シートカラーはオフブラック、ソフトベージュ、ソフトベージュ/エスプレッソブラウン、オフブラック/レモングリーンの4種類。

 6.5インチモニター搭載のHDDナビも標準装備。

コクピットまわりシートカラーは4種類を用意。写真はオフブラック/レモングリーン6.5インチモニター搭載のHDDカーナビを装備。センタースタックは運転席側に傾斜してドライバーの視認性を高めている。トランスミッションはマニュアルモード付き6速AT。写真のパネルはノルディック・ライトオーク
独自のデザインに仕上がったセンタースタック。裏側には小物を置けるスペースもある。オーディオシステムは「ハイパフォーマンス」と「プレミアムサウンド」から選択でき、上位のハイパフォーマンスではデンマークDYNAUDIOのスピーカー×12、出力130W×5のドルビー・サラウンド・プロロジックⅡを搭載したアンプを装備する。オプションでサブウーファーも選択可電動パノラマ・ガラスサンルーフは2分割式。フロントセクションはリアセクションの上にスライドすることが可能で、リアセクションのみチルトアップも可能ラゲッジルームは両サイドの張り出しを抑え、495Lの積載容量を誇る。またテールゲートは電動式で、使用中に障害物を検知すると作動を停止する安全対策が施されている
リアシートは3分割可倒式を採用し、多彩なシートアレンジが可能。また、リアシートの窓側2席は着座位置が上がる「インテグレーテッド・チャイルド・クッション」機能を装備。子供の体格にあわせて65mm座面が上がるpos1、110mm上がるpos2の2段階で調節できる

(編集部:小林 隆)
2009年 8月 3日