鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会、F1日本GPへの取り組みを発表
渋滞や混雑の解消とおもてなしの向上が課題

鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会 記者発表にて

2009年9月3日開催



 鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会は9月3日、2009年鈴鹿F1日本グランプリ(GP)に向けた取り組みについて、記者発表を行った。記者会見には、協議会会長を務める鈴鹿市長 川岸光男氏、副会長の鈴鹿商工会議所会頭 大泉源之氏、鈴鹿市副市長 角南勇二氏、F1日本GP主催者としてモビリティランド取締役社長 大島裕志氏、そして鈴鹿ときめきモータースポーツ大使として中嶋悟氏が来場した。

 壇上に上がった川岸会長は、2006年のF1日本GPでは、国内で推定293億円、三重県だけでも推定120億円の経済効果が出ているとし、「F1が世界で転戦される中で、その1戦が鈴鹿で開催される火を2度と消すことのないよう、官民の31団体で、昨年5月に鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会を設立いたしました」と協議会設立の意図を述べた。協議会では「交通渋滞、駐車場の不足、おもてなしの向上等、さまざまな課題解決に向けて検討し、世界から訪れられる観戦客の受け入れ体制の整備と、おもてなしの向上について鋭意まい進している」と言う。

 続いて主催者挨拶として壇上に上がったモビリティランド取締役社長の大島氏は、今年より3年連続で鈴鹿でF1日本GPを開催することを述べ「今年から実行される協議会としての取り組みが、今後3年をかけて毎年進化し、ご来場いただく多くのファンの皆様の期待に応える、さらに効果的な取り組みとなっていくことを私は信じています」とその豊富を語った

協議会会長で鈴鹿市長でもある川岸光男氏協議会参加団体の1つでもあるモビリティランド取締役社長 大島裕志氏鈴鹿市副市長 角南勇二氏

 協議会のF1日本GPへの取り組みについては、鈴鹿市副市長の角南氏から説明が行われた。

 協議会は、鈴鹿市を中心にその周辺の4市1町、鈴鹿市観光協会、鈴鹿警察署、国土交通省、さらにNEXCO中日本やJR東海、近畿日本鉄道、伊勢鉄道、三重交通、そしてモビリティランドなど、官民31団体が集まり構成された団体で、環境整備、おもてなし、情報発信を3つの柱として、対策の検討、実施を行っていくと言う。

F1開催時の課題を克服するため、官民31団体が集まり鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会が設立された。構成団体の一覧には、国土交通省や高速道路会社、鉄道会社などの名前も並ぶ

 2006年F1開催時の具体的な課題としては、東名阪自動車道の鈴鹿IC(インターチェンジ)の交通集中による渋滞や、鈴鹿サーキット周辺の渋滞、駐車場の不足。また、駅から鈴鹿サーキットまでのシャトルバスコースの渋滞や歩道の混雑があると述べ、その対策として、鈴鹿IC以外のICを利用した推奨ルートの提案や公共交通機関利用の告知、駐車場の確保、また、今年の開催には間に合わないが、鈴鹿ICからサーキットまでの幹線道路の4車線化を進めているとその活動内容を報告した。

 公共交通機関に関しては、鉄道各社に増便を依頼すると共に、もっとも最寄りの駅となる伊勢鉄道 鈴鹿サーキット稲生駅に幅5.5mの歩道を増設。近鉄白子駅からのシャトルバスは、現在建設中の中勢バイパス用地を利用した専用レーンを設け、渋滞を避けるといった対策が取られると言う。

今年の開催には間に合わないが、県や国をあげて幹線道路の4車線化を進めている駐車場は2006年決勝日の利用台数を上回る数を確保。さらに鈴鹿ICの混雑を告知し、利用ICを分散する推奨ルートを提案する
2006年決勝後は車道にまで人のあふれた鈴鹿サーキット稲生駅は、新たに5.5mの歩道を拡幅
シャトルバスも渋滞にはまるため、現在工事中のバイパスをシャトルバス専用レーンとして活用する

 その他、ウェルカム事業として、3月7日をF1の日としてシンポジウムを開催したり、9月14日~20日には、TIC(ツーリングインフォメーションセンター)東京前にあるイベント広場(東京都千代田区丸ノ内1-8-1)で、レッドブルのF1マシンの展示などによりPRを行い、9月29日からは鈴鹿市内でF1マシン展示とアイルトン・セナ写真展の開催、さらに9月30日か10月1日にはF1マシンデモ走行の開催も予定している。

F1ウィークイベントとして、アイルトン・セナ写真展やF1マシンでも走行、周辺市町の小学生を招いたピットウォークなどの開催も予定している

 観戦者向けのサービスとして、F1開催期間中は、主要駅や高速道路のSA(サービスエリア)、PA(パーキングエリア)にてアクセスマップを配布するほか、歩行コースに仮設トイレやゴミ箱、照明の設置、会場内に観光・物産ブースの設置などを行う。また公式Webサイトでは、宿泊施設の空室状況の告知を行い、夜間には無料巡回バスを運行、地元の飲食店の割引サービスなども実施する。また、FMラジオ局「Suzuka Voice FM」(78.3MHz)では、道路情報や駐車場情報、レース結果や鈴鹿市内情報の発信などを行うと言う。

F1期間中のおもてなしとして、歓迎フラッグの広域設置やF1絵画コンテストを開催会場には物産PRブースを設けたり、通訳ボランティアも主要駅や会場内に配置する宿泊する観戦者向けのサービスとして、夜間市内無料巡回バスの運行や、飲食店の割引サービスも実施
協議会公式ホームページでも情報を発信する。チケット情報や交通情報、そして鈴鹿周辺は満室になると言われる宿泊施設に関しても、空室情報を提供していく地元ラジオ局「Suzuka Voice FM」でも、地域に密着した情報を発信していくと言う

 会場には中嶋悟氏も訪れていたが、中嶋氏は、「僕としてはあの混雑が実は好きで。まぁいいじゃないかと半分くらい思っているのですが、やはり愛知県とか大阪、東京だけでなく熊本から来たいという人もいる。年に1回の大きなお祭りに遠くから来た人が、多少の渋滞はともかく迷わないように分かりやすく歩けるようにして欲しいとは、前々からサーキット側にお伝えしていた。今日初めて細かく説明を受けたが、よいんじゃないかなと思う。今までの20回よりも速やかに、楽しくお帰りいただけるんじゃないかという感じを受けた」と述べた。

 閉会のあいさつとして壇上に立った大泉氏は、「3年ぶりに鈴鹿の地にF1が帰ってまいります。鈴鹿は過去20回連続して日本GPを開催した歴史がある。このなにものにも代えがたいノウハウを最大限に生かしながら、F1ファンの皆様にこれまで以上に満足してもらうと共に、地域の賑わい、活性化につながる新生鈴鹿F1を充実させるべく、環境整備やおもてなしの向上に取り組んで参ります」と締めくくった。

初めてレースに参戦したのも、F1に初めて参加したのも鈴鹿だと言う中嶋悟氏協議会副会長で鈴鹿商工会議所会頭でもある大泉源之氏

(瀬戸 学)
2009年 9月 4日