光岡自動車、2010年モデル「卑弥呼」「大蛇」
レンタカー事業も開始

卑弥呼と光岡自動車 取締役副社長 河村賢整氏

2009年9月16日発売開始
卑弥呼:458万円~562万円
大蛇:848万円、878万円



 光岡自動車は9月15日、2シーターオープンカー「卑弥呼(ヒミコ)」とスポーツモデル「大蛇(オロチ)」の2010年モデルの発表会を開催した。発売開始はいずれも9月16日で、価格は卑弥呼が458万円~562万円、大蛇が848万円と878万円。

光岡自動車 横野工場 工場長代理の青木孝憲氏

大蛇は大幅にプライスダウン
 発表会では光岡自動車 横野工場 工場長代理の青木孝憲氏より卑弥呼と大蛇の紹介が行われた。「大蛇のネーミングは古事記にでてくる八岐大蛇(やまたのおろち)からきている。全身が脈打つ大蛇のようにうねっており、フロントマスクは獲物を狙う大蛇そのものの表情をイメージした」と話す。欧米のスポーツカーが隣に並んでも引けをとらない存在感をポイントとし、さらに国産の安心感、1級の扱いやすさのあるモデルだと特徴を述べた。また、ボディーカラーやインテリアカラーを多数用意し、2010年モデルより新たに左ハンドルをラインアップに加えたと言う。

 大蛇は製造の全行程を職人が手作業で行うスポーツモデルで、2009年モデルから244万円のプライスダウンに成功した。これは、今までは手作業で製造を行っていただけに時間とコストがかかっていたが、「細かな工夫や行程改善を図るほか、開発に着手してから6年が経ったことで開発費の償却に目処がたち、製造原価の軽減によりコストを圧縮できたため」と青木氏は言う。

 2006年10月に発売以来、国内外で約90台を販売。今後も手作りで世界中のユーザーに届けたいとしている。

 ボディーカラーは新色の「ウィッチパープルパール」「ファイナルシルバーメタリック」「スターライトブラックメタリック」追加し、その他オプションカラーとして全9色(50万円高。パール系3コートは80万円高)を用意する。グレードは標準モデルとカーナビのないナビレス仕様の2モデル。

大蛇。2009年モデルの価格は1092万円だったのが、2010年モデルでは848万円(ナビレス仕様)まで引き下げられた
ボンネットのデザインは斬新フロントのボンネット下にはラジエターが設置されているエンジンはミッドシップレイアウト。搭載エンジンはトヨタ製のV型6気筒 DOHC 3.3リッター。最高出力は172kW(223PS)/5600rpm、最大トルクは328Nm(33.4kgm)/4400rpm
エンジンルーム後方には小規模なトランクルームがあるマフラーは左右2本出しエンジンルームにフレッシュエアーを導くダクトが設けられている
ミッドシップは熱がこもりやすいため、リアボンネットにもダクトを設けているタイヤサイズはフロントが245/45 ZR18、リアが285/40 ZR18。駆動方式は2WD(MR)
スピードメーターは280km/hまで刻まれるトランスミッションは5速ATシートには「orochi」のロゴが入る
 
グレードエンジン変速機駆動方式価格
ナビレス仕様V型6気筒 DOHC 3.3リッター5速AT2WD(MR)

848万円

標準モデル

878万円

2010年モデルで新たに手動格納式の幌仕様を設定
 卑弥呼については、「クラシックなデザインでありながら、装備や機能を最新のスペックとした。大人の遊び心をくすぐる、ロマンチックなスポーツカー」(青木氏)と述べ、デザインソースは大海を進む豪華客船の優雅さをイメージしているとした。いずれのモデルも、夢やロマンを感じてもらえる車であり、「物理的な価値観以上に自己実現や個性の表現、幸福感が感じられることというのが、光岡が目指している自動車作り。少量生産しかできないが、これからも真心を込めて1台ずつ富山の職人が手作りしてお客様に届けたい」と述べた。

 卑弥呼はクラシックタイプの2シーターオープンカーで、2009年モデルは電動格納式ハードトップ仕様の「Standard」「Premium」「Hi-premium」のみだったが、新たに手動格納式の幌仕様である「S-Standard」(5速MT)と「S-Premium」(6速MT)を追加した。

 ボディーカラーは「雲切草」(ブリティッシュグリーンメタリック)、「紅薔薇」(メタリックレッド)、「月下美人」(ホワイトパール)を追加し、この他にもオプションとして30色を用意(15万円高)する。

 なお、、2010年モデルの予約特典として、年内に成約すれば約10万円相当の内装木目調セットが進呈されると言う。

卑弥呼2010年モデルから手動格納式の幌仕様が設定された
エンジンはマツダ製の直列4気筒 DOHC2.0リッター。モデルによって出力が異なり、「Standard」「Hi-premium」の最高出力は119kW(162PS)/6700rpm、「S-Standard」「S-Premium」「Premium」の最高出力は125kW(170PS)/7000rpm。最大トルクは共通で189Nm(19.3kgm)/5000rpmディスチャージヘッドライトトランクルーム
タイヤサイズは前後とも205/50R16。駆動方式は2WD(FR)スピードメーター、タコメーターのほか水温、燃料、油圧計と外気温度計、平均燃費計が備わる
幌仕様モデルのトランスミッションは5速MTと6速MTが用意される(撮影車両は開発車両のためAT仕様)撮影車両のシートはファブリックのブラックカラーだが、本革、アルカンターラ、RECARO製バケットシートも設定されるドリンクホルダーは2つ
 
グレードエンジン変速機駆動方式価格
S-Standard直列4気筒 DOHC2.0リッター5速MT2WD(FR)

458万円

S-Premium6速MT

485万円

Standard6速AT

495万円

Premium6速MT

536万円

Hi-premium6速AT

562万円

ミツオカ事業部 ミツオカ国内営業課 課長の笠原勝義氏

レンタカー事業を新たに開始
 続いて、レンタカープランについて、同社のミツオカ事業部 ミツオカ国内営業課 課長の笠原勝義氏より紹介があった。

 10月15日よりレンタカー事業を開始し、まずは大蛇、卑弥呼を各1台ずつ用意すると言う。取り扱い店舗は光岡自動車 東京ショールーム(東京都世田谷区桜丘)で、予約受付は10月1日 10時から開始する。取り扱い店舗は順次拡大していくとし、レンタカーを通じてミツオカの魅力を感じてもらいたいとしている。

 レンタカーとして用意される大蛇のレンタルプランは、当日返却で2万5000円、1泊2日で3万5000円、2泊3日で4万5000円。超過料金は1時間につき3500円が加算されていく。

 また、卑弥呼のレンタルプランは、当日返却で2万円、1泊2日で2万8000円、2泊3日で3万6000円。超過料金は1時間につき2800円。いずれの車両もクレジットカードの精算、普通免許取得から5年以上経っていることなどの利用条件がある。

取締役副社長 河村賢整氏

中国での商標権問題
 なお、同社の取締役副社長である河村賢整氏より中国での「光岡」商標権の問題についても説明があった。「光岡・MITSUOKA」商標は、1998年に中国・上海の企業が登録を済ませていたため、日本の光岡自動車が正当な該当権利者であることを告げ、返還交渉を行ったと言う。しかし高額な買取を要求されたため、「継続して3年以上の間、登録商標を使用していない場合、中国商標局に対して該当登録商標の取り消しが申請できる『中華人民共和国商標法・四十四条・第四項』を活用し、該当登録商標権の取り消しを申請した」(河村氏)と話す。

 この申請を中国商標局が受理し、商標登録者への審査を行った結果、使用事実の実態が認められなかったため、2009年7月15日付けで「先方権利の無効」が決定したと言う。この問題が解決したことにより、改めて中国商標局に対して申請を行っているとし、「今後、光岡自動車は本格的に中国へ進出する」と河村氏は述べた。

(編集部:小林 隆)
2009年 9月 15日