グッドデザイン大賞候補に「プリウス」と「インサイト」
「ワゴンR」や「自動車用フォント」も受賞。大賞は今年もTH決戦?

グッドデザイン ベスト15の受賞スタッフ

2009年10月1日発表



 日本産業デザイン振興会は10月1日、「2009年グッドデザイン賞」受賞結果を発表した。

グッドデザイン賞とロングライフデザイン賞、フロンティアデザイン賞の3本立てで、「現在・過去・未来」を表彰する

1000件以上が受賞、ロングライフ賞やフロンティア賞も
 同賞は旧通産省のグッドデザイン選定制度を継承し、生活や産業の質的向上に貢献するデザインを評価し、表彰するもの。受賞製品はグッドデザインマークを宣伝に利用できる。

 2009年度は2952件の中から、591社の1034件がグッドデザイン賞を受賞した。多数の受賞作は、身体領域、生活領域、仕事領域などにカテゴライズされ、その中でさらに品目ジャンルで分けられている。2009年度の「乗用車および関連商品」ジャンルでは、次が受賞した。

本田技研工業ライフ
ダイハツ工業ミラ ココア プラス
日産自動車キューブ
日産自動車フェアレディZ クーペ/ロードスター
本田技研工業インサイト
トヨタ自動車プリウス
トヨタ自動車レクサス HS250h
本田技研工業アコード/アコードツアラー
トヨタ自動車レクサス RX350/RX450h
トイファクトリーハイエース用ソーラーパネルアタッチメント&システム
AMSA.M.S LUXEST TERRAエアスポイラーキット
エスティマハイブリッド用
ダンロップファルケンタイヤエナセーブ RV503
横浜ゴムアドバン デシベル
日本グッドイヤーアイスナビ ゼアII
トヨタ自動車+デンソーレクサス RX用メーター
トヨタ自動車+デンソープラズマクラスターイオン空気清浄機
トヨタ自動車+デンソースマートキー
ボッシュプラチナイリジウムフュージョン(スパークプラグ)
ボッシュエアロツインマルチ(ワイパーブレード)
ワイピーシステム消棒RESCUE(車両脱出機能付き二酸化炭素消火具)

 このほか、スズキ、トヨタ自動車+デンソー、カーメイトが1製品ずつ受賞しているが、受賞対象は未公表となっている。

ロングライフデザイン賞に輝いたワゴンR

 また、グッドデザイン賞とともに、10年以上にわたり継続して生産されたり、同一のコンセプトが継承されているものに「グッドデザイン・ロングライフ賞」が、まだ製品化・具体化されていない提案などに「グッドデザイン・フロンティアデザイン賞」が贈られた。フロンティアデザイン賞は、今年から新設されたもの。

 ロングライフ賞は25件が選出され、自動車分野からはスズキの「ワゴンR」が受賞した。また、フロンティアデザイン賞はデンソーとタイププロジェクトによる自動車用フォント「ドライバーズフォント」と、トヨタ自動車の小型3輪車「i-REAL」が受賞。自動車ではないが本田技研工業の「歩行アシストコンセプト」もフロンティア賞を贈られている。

フロンティアデザイン賞には自動車用フォント、i-REAL、歩行アシストコンセプトが入った

2大ハイブリッドカーがベスト15に揃い踏み
 これらの受賞作の頂点に輝くグッドデザイン大賞が、11月6日に選出されることになっているが、10月1日は大賞候補となる「ベスト15」が発表された。ベスト15は次のとおりで、乗用車から「プリウス」と「インサイト」が選出されている。

本田技研工業インサイト
トヨタ自動車プリウス
パナソニック電工マッサージチェアEP-MS40
ダイソンサイクロン掃除機
DC26 タービンヘッド エントリー
ロスフィーフラクタルひよけ
三菱電機主軸モータ SJ-Dシリーズ
NECライティング建築化照明器具 プラスシーライン
MMC07101/09101シリーズ
日立メディコデジタル超音波診断装置 HI VISION Preirus
TOTO公共トイレ レストルーム アイテム01
ワークヴィジョンズ+
岩見沢レンガプロジェクト事務局
岩見沢複合駅舎
サムスン電子ミニノート型パソコン N310
パナソニックデジタルカメラ LUMIX DMC-GF1C
サムスン電子46型LED液晶テレビ LED 7000
ソニー液晶テレビ ブラビア ZX1シリーズ
GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト
実行委員会
GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト
グッドデザイン賞審査委員長の内藤廣氏

今年もTH決戦?
 同日、都内で開かれた受賞記者会見には、ベスト15のデザインに関わったスタッフが来場。インサイトは本田技術研究所四輪R&Dセンターの名倉隆研究員が、プリウスはトヨタ自動車トヨタデザイン部の三輪日出雄主幹が出席した。

 会見ではグッドデザイン賞審査委員長の内藤廣氏が「近年まではエコであることが革新的な試みのように思われてきたが、今年はエコがあたりまえになり、特別なことでなく、広く染み渡ってきた。成熟したエコロジーの全体像を見たような気がする」と2009年度を総評し、鳩山政権が掲げるCO2排出量の25%削減をテコに「これから数年はもう1段高いレベルのエコロジーデザインが出てくるのではないか。企業がエコの試みを消費者に届けるには、どうしてもデザインという翻訳装置が必要。まさにこれからがデザインの時代。非常に困難な目標を、どうやったら消費者に届けられるか。Gマークだけでなく、社会全体に課せられた大きなテーマだ」と今後の見通しを語った。

 本田技術研究所の名倉研究員は「インサイトは、環境に優しい車をより気軽に楽しくより多くのお客様に乗っていただくということをコンセプトとして開発してきた。審査委員長の、“エコロジーがあたりまえになって、いかに多くの人に浸透していくか”というイメージが一緒であると確信した」と、“アフォーダブルなエコカー”であるインサイトのコンセプトを説明した。

 トヨタ自動車の三輪主幹は「プリウス3代目は、2代目までが築いてきた“エコカーとしてのハイブリッドカー=プリウス”という記号性を、“エコ・アイコン”という形で継承、進化させたものとしてデザインした。また、車としてのfunな部分もデザインしてきたつもり」と、ハイブリッドカーブームの火付け役らしいコメントを述べた。

ホンダの名倉研究員(左)とトヨタの三輪主幹

 11月6日は、これら15件のスタッフ代表が会場で作品のプレゼンテーションを行い、その場で受賞者と審査員の投票により大賞が決定する。同様の決定プロセスが採られた昨年は他分野のノミネートを退けて、トヨタ「iQ」とホンダ「FCXクラリティ」の乗用車同士による一騎打ちとなった。結果はiQが大賞に輝いたが、今年もこの2社の車がノミネートされており、「TH対決」が再現される可能性がある。そうなったとき、インサイトがクラリティの仇を討つのか、トヨタがディフェンディングチャンピオンの貫禄を見せるのか。11月6日のプレゼンテーションに期待が高まる。

東京ミッドタウン・タワー5階の「デザインハブ」では、グッドデザイン受賞作を展示する「GOOD DESIGN EXHIBITION 2009」が11月8日まで開催されている(無休・入場無料)。スペースの都合から車両はパネル展示となるが、製品によっては手に取ることもできる

(編集部:田中真一郎)
2009年 10月 2日