SUPER GT最終戦直前、本山哲インタビュー 「細かいことは考えずに優勝を狙う」 |
国内で開催されるモータースポーツの中でも、特に高い人気を誇るSUPER GT。そのSUPER GTも今週末の11月7日、8日のツインリンクもてぎ戦で最終戦を迎える。さまざまな車種が混走するSUPER GTでは、それぞれのマシンの速さを調整するため、リストリクター(吸気制限)やハンデウエイトを搭載し、レースで勝ったマシンにはさらにポイントに応じたウエイトを追加することで、1つのチームによる独走を起きにくくしている。今シーズンも優勝争いは最終戦までもつれ込んでいるが、その中でGT500クラスで最もチャンピオンに近いところにいるのが、MOTUL AUTECH GT-Rの本山哲選手だ。
昨シーズンの覇者で今年はゼッケン1番を背負って戦う本山選手にとっては2連覇がかかった戦いとなる。現在ポイントは78点。ほかに優勝の可能性を残しているのは、ポイント73点で2位のPETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)と、ポイント61点で3位のARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也)。点差を考えるとPETRONAS TOM'S SC430が実質的なライバルとなりそうだ。さらに最終戦では、これまでに勝って搭載したウエイトをすべて降ろしての争いとなるため、大波乱が起きる可能性も秘めている。
78ポイントで現在トップのMOTUL AUTECH GT-R(本山哲) | 73ポイントで2位につけるPETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー) | 61ポイントでまだ優勝のチャンスを残した3位のARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也) |
果たして秘策はあるのか? 最終戦を直前に控えた本山選手に、その意気込みを聞いた。(以下敬称略)
──優勝まであと一歩まで来ましたが、最終戦に向けた意気込みを聞かせて下さい。
本山:ライバルの36号車(PETRONAS TOM'S SC430)に対して、状況は接戦になってきているので、前に行ったほうが(シリーズ)チャンピオンになれるだろうという状況。そういうところで、まぁいろいろ考えると難しくはなるんですけど、細かいことは考えずに優勝を狙おうと思う。
──GT-Rにとってツインリンクもてぎというコースは、得意なコースですか?
本山:基本的にはよいはずですが、性能調整やらでかなり足を引っ張られている状況もある。最終戦ではポイントによるハンデウエイトは降ろせるが、降ろせない30kg(性能調整分)がある。その若干重い部分が、もてぎはストップ&ゴーのサーキットなので、加速とブレーキングで、やっぱり影響が多く出てくる。そう考えると、もてぎというコースは、難しいとまでは言わないが(マッチングが)よいサーキットではない。
──本山選手にとっては、もてぎというサーキットはどういったサーキットですか?
本山:フツーです。別に好きというわけでもないしきらいと言うこともない。
──最終戦での作戦があれば教えてください
本山:作戦は特にないです。予選で1番を取って、決勝も勝つ。ポールトゥウィンを狙います。
──今シーズンのこれまでの戦いは、本山選手にとってどういったシーズンでしたか?
本山:去年からGT-Rがふたたびデビューして、2年目はチャンピオンとして迎えた。その中で、シーズンを通して見れば、ゼッケン1番のチャンピオンチームとしての強さをきちんと発揮できたシーズンだったと思う。それは、ドライバー2人だけでなく、チームのエンジニアやスタッフ、全員が、チャンピオンになるのにふさわしい仕事をしている。
──それは開幕戦からですか?
本山:開幕戦に関しては、ちょっとバタバタしてしまった。去年チャンピオンを取ったというところで、自分たちがチャンピオンだという意識を持ちすぎてしまって、それに対して内容がともなっていなかったところがあって、1戦目は自分たちのミスもあって大きく失敗してしまった。その次の2戦目の前にはすべて仕切り直しして、2戦目ではきちんと勝てるはずだったが、タイヤにトラブルが起きてしまった。ただし、結果は出なかったが、2戦目からの内容としては、ほぼ毎戦ベストパフォーマンスは出せていると思う。
──3戦目以降は勝ってウエイトが積まれていますが、それでも勝てている訳は?
本山:ウエイトによる影響は大きいが、その中でその順位を取れているのは、やはりチームのがんばりがあってのこと。そのウエイトのある中で勝つというのは、表から見るより遙かに大変なことで、それに対するみんなの日頃の努力が、好結果に繋がっている。そんな中で、ここ2~3戦に関しては、ウエイトが厳しい土曜日(予選)には雨が降ったりで、自分たちにとってラッキーな方向に行っている部分もある。
──次の最終戦がNSXの最後のレースになりますが、本山選手にとってのNSXとは?
本山:ここ10年、ライバルとして走ってきたマシン。ああいったスポーツカーは日本の中では貴重な存在だし、レースの中でも常に高いポテンシャルを持ったクルマで、過去には本当になかなか勝てない時代もあった。速いNSXに対して、日産勢としてもクルマを開発して、なんとか追いつこう、追い抜こうとして、そういった意味では本当に、切磋琢磨したライバルという存在。
──最後に読者に向けてのメッセージをお願いします。
本山:いつもたくさんの応援をありがとうございます。いよいよSUPER GTの最終戦を迎えますがチャンピオンシップ、非常に激しい僅差の戦いになっています。その中で、MOTUL AUTEC GT-R 1号車としては、チャンピオン連覇を目指して全力で戦いますので、たくさんのご声援をお願いいたします。
最終戦に向けての作戦は特にないと述べた本山選手。それはライバルのPETRONAS TOM'S SC430との戦いが小手先の策でどうにかなるものではないと言うことだろう。現在ランキングトップでもまだまだ予断許さない最終戦、今週末はぜひツインリンクもてぎで、その熱いバトルを生でご覧いただきたい。
(瀬戸 学)
2009年 11月 6日