NEXCO中日本、金沢保全サービスセンター小松基地で「雪氷対策出陣式」
片山津温泉の女将や、地元園児も参加

出陣式の行われた金沢保全サービスセンター小松基地

2009年11月10日開催



 10月下旬から11月上旬になると雪の頼りが聞こえ始め、北海道や東北、日本海側では冬のシーズンの幕開けとなる。NEXCO中日本(中日本高速道路)では、その冬の除雪作業などの安全を祈願し、雪氷作業シーズンの開始を告げる「雪氷対策出陣式」が各作業エリアごとに開かれている。

 Car Watchでは、昨年NEXCO東日本(東日本高速道路)の「除雪車出動式」を紹介したが、今年はNEXCO中日本金沢支社 金沢保全サービスセンター小松基地で11月10日に開催された「雪氷対策出陣式」の模様をお届けする。

北陸自動車道 小松IC。金沢保全サービスセンター小松基地は、この小松ICに隣接して設けられている

 金沢保全サービスセンター小松基地は、北陸自動車道小松IC(インターチェンジ)のすぐそばにあり、担当エリアは小矢部IC~加賀IC間。NEXCO中日本のスタッフによると、1シーズンでの積雪量は富山などの雪が多い地域で約10m、この小松など海岸に近い地域では6mぐらいだと言う。また、海岸に近いエリアでは雪にも特徴があり、アラレやひょうが降ったり、さらさらとした雪が薄く広く積もったりする。そのため、除雪作業などを行う作業車についても、雪をかき分けるスノープラウを車体前面に取り付けた除雪車、積もった雪を上方に吹き飛ばすロータリー除雪車のほかに、ロータリー式のブラシで雪を掃除するスラッシュ車が用意されている。このスラッシュ車は、沿岸部の高速道路に積もる雪が軽い(水分の少ない)雪であるため、大面積のブラシで一気に路面の雪を除雪できる。

 そのほか、後方に注意を呼びかける標識車や、凍結防止剤を路面にまく凍結防止剤散布車などが金沢保全サービスセンター小松基地内の駐車場に置かれていた。

除雪車。雪をかくスノープラウの左が大きいのは、路肩側に雪を寄せていくため。2車線区間では、2台を組み合わせて使用することが多い。ちなみに写真は、今シーズン購入した4台の新車で、ナンバーは99~103までの連番となっている
ロータリー除雪車。たまった雪を前面のロータリーを使って飛ばしていくための車両
スラッシュ車。沿岸部など軽い雪が積もったときなどに有効なスラッシュ車。前面に取り付けられた青いロータリーブラシで雪をはじき飛ばしていく。後部はほかの作業車と同様に標識が取り付けられている

 安全祈願と出陣式は、10時より開始された。安全祈願を行うのは、安宅住吉神社の神主。安宅住吉神社は、小松市安宅町にあり、歌舞伎の「勧進帳」の舞台にもなったという歴史を誇る神社。安全祈願は、祝詞奉上や神楽舞など粛々と進んでいく。途中の清祓の儀では、雪氷対策の作業車にお祓いをし、今シーズンの雪氷作業の無事を祈っていた。

安全祈願式をする前に参加者全員水でお清め。神主、巫女、NEXCO中日本スタッフ、石川県警スタッフなど、身を清めた状態で参加する
安全祈願式は粛々と進んでいく。スタッフ全員にお祓いを行っているところ作業車やパトカーに関してもお祓いを行うとともに、今シーズンの作業の安全を願う
神楽舞。巫女が祈願のために舞を踊る各社の代表者が玉串を納め、その後全員に御神酒が振る舞われた(もちろん運転者は御神酒を飲むことはできない)

 安全祈願が終わると、次は雪氷対策出陣式。出陣式では小松市の隣にある加賀市の片山津温泉から「加賀観光ホテル 別館 季(とき)がさね」の女将である升田秀代さんが招かれ、挨拶を行った。女将は、24時間作業を行うスタッフに対しお礼を述べた上で、北陸道が地元にとってとても大切な道であり、また他県から訪れる人にとっても重要であり、その北陸道で十分に除雪作業を行ってほしいと述べた。

 雪氷対策出陣式は、升田女将に宣誓を行い、地元安宅保育園の園児によるお遊戯や花束贈呈を行ったあと、ロータリー除雪車、除雪車、標識車の3台の梯団隊形で作業車が発進。無事出陣式は終了した。

挨拶を行う別館 季がさねの女将升田秀代さん。北陸道の大切さを語っていた女将に対して、安全作業を宣誓するNEXCO中日本のスタッフ安宅保育園の園児からの花束贈呈
園児はスタッフに対して、お遊戯も披露園児からは花束のほかに、安全祈願の幕もプレゼントされた
園児から贈呈された幕を付けたロータリー除雪車を先頭に、梯団隊形で発進して行く雪氷作業車2台目は除雪車。99のナンバーは、金沢保全センター保有除雪車のトップナンバー最後尾は標識車。雪氷作業の基本的な隊形の一つだ
出陣式のため、高速道路へ向かうわけではなく出口近くでUターン。小松ICと小松空港(小松基地)は近く、午前の訓練を終えて基地へ帰る戦闘機が数多く飛んでいた出陣式を終えたら、即席の園児向け車内見学会。子供たちは、やはり働くクルマが大好きのようだ季がさねの升田秀代さん。旅館名である季がさねは、ゆっくり過ごしてほしいという意味で名付けられ、別館のほうは個人客や家族客向けの作りになっていると言う。高速道路料金上限1000円施策もあって、夏だけでなく秋も多くのお客さんが訪れているようだ
【お詫びと訂正】記事初出時、ロータリーブラシ装備車輌をを誤った車名で表記しておりました。正しくは「スラッシュ車」となります。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びを申し上げるとともに、訂正させていただきます。

(編集部:谷川 潔)
2009年 11月 10日