「トヨタ モータースポーツ フェスティバル 2009」、富士スピードウェイで開催
トゥルーリ&小林&中嶋がトヨタF1ラストラン、LFA市販版も走った

小林可夢偉選手がドライブするTF109。今回がトヨタF1カーのラストラン

2009年11月22日開催
前売入場券:2000円
一般入場券:2500円
中学生以下無料



 トヨタのモータースポーツ活動の1年の締めくくりとして、毎年開催されている「トヨタ モータースポーツ フェスティバル」(TMSF)が、11月22日に富士スピードウェイで開催された。トヨタ系のレーシングドライバーとマシンが集結し、その走りを披露すると同時に、クルマを使ったイベントやショー、ドライバーたちによるトークショーなどを開催した。トヨタF1ラストランとなるこのイベント、午前中は雨が時折強く降ることもあったが、午後には日も差し、最後のラストランの頃には路面もドライに。2万8000人が来場し、その走りとサウンドを堪能した。

 今年の参加ドライバーは30名強。今シーズン、SUPER GTのGT500クラスを制した脇阪寿一選手を初めとしたトヨタ・レクサス系のドライバー、斉藤太吾選手らトヨタ車でD1グランプリに参戦している選手、元F1ドライバーで近年では「ランドクルーザー」でダカールラリーに参戦した片山右京選手、そしてF1ドライバーのヤルノ・トゥルーリ選手、小林可夢偉選手、中嶋一貴選手らだ。

 去就が注目されるF1ドライバー3選手だが、小林選手と中嶋選手は、まだ何も決まっていないということをオープニングでファンに説明。しかし表情は明るく、前向きな気持ちでいることをアピールしていた。また、イベント終了後には記者会見も行われ、改めて両選手は現況などを語ったので、それに関しては後半で紹介させていただく。

小林可夢偉選手はTF109をドライブして登場した中嶋一貴選手はTF108で登場。レーシングスーツとマシンカラーのミスマッチが新鮮だマークXで登場したヤルノ・トゥルーリ選手。日本でのイベント登場は久しぶり。来季はどうするのか?
小林選手。今季終盤にやっとF1デビューを果たしただけに、トヨタF1撤退が非常に惜しまれる中嶋選手。ウィリアムズで走らないことは決定済みで、こちらも来季の去就が気になるところズラリと並べられたSUPER GTなどの参加マシンたち。今回は約25台が参加した

 オープニングには、予定にはなかった豊田章男社長が登場。当初は同社専務取締役でパナソニック・トヨタ・レーシングのチーム代表の山科忠氏のみが登場し、開会宣言をする予定だったのだが、豊田氏は「F1撤退に関してファンに直接お詫びをしたい」ということで来場、「モータースポーツはクルマ文化を発展させる上で非常に重要な存在」として、今後もSUPER GTなどのモータースポーツを続けていくことを宣言した。

ファンへのお詫びのコメントを述べるトヨタ自動車社長の豊田章男氏トゥルーリ選手と小林選手に感謝の言葉をかける一幕も30名強のトヨタ系ドライバーと豊田氏、山科氏を加えたオープニングのフォトセッション

中嶋一貴選手がTF108に搭乗&市販レクサス LF-Aのサプライズ走行
 今回の走行がラストランと明言されているトヨタF1カー。今年のTF109と昨年のTF108が1台ずつ用意され、オープニングから間もない「Panasonic TOYOTA Racing スペシャルラン」で走行した。担当は小林選手がTF109、中嶋選手がTF108。昨年までは契約の問題上、トヨタF1カーへの中嶋選手の搭乗は絶対にあり得なかったわけだが、それが実現したというわけだ。

 2台のランデブー走行では、イベントになるとヤンチャぶりを発揮する小林選手が“らしさ”を発揮。ある周回では1コーナーでTF108のインを少々無理矢理に差したと思ったらそのままオーバーラン。10代半ばからずっと一緒に若手育成のTDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)で競い合ってきた2人だけに、中嶋選手も分かっているのか接触するようなことはなかったが、数mの差であわやイベントでクラッシュというところだった。

 なお走行はなかったが、ガレージではTF102、TF104、TF105、TF106といった歴代トヨタF1カーも展示。デザインやカラーリングの変遷を楽しむことができた。

Panasonic TOYOTA Racing スペシャルランの時間帯で走行するTF109。小林選手が搭乗TF109とともに走行した中嶋選手がドライブするTF108。TF109とはフロントなど各所が大きく異なる年式の異なるトヨタF1カーが走るのもTMSFの魅力。しかし、それも今年で最後
ストレートをサイドバイサイドで来て、TF108のインを突くTF109ウェット路面ということもあり、止まりきれずに1コーナーをオーバーランしてしまったTF109雨しぶきを上げながら2台のF1カーがランデブー
ガレージで展示された過去のF1カーの内、最も古いTF102。ミカ・サロとアラン・マクニッシュがドライブ1シーズン飛んでこちらはTF104。オリビエ・パニスとヤルノ・トゥルーリがドライブTF105。ラルフ・シューマッハとヤルノ・トゥルーリのコンビがドライブした
TF106。前年と同じくシューマッハ&トゥルーリのコンビがドライバーズラリと並んだトヨタF1カー。これだけの台数の展示は非常に貴重だF1展示エリアは常に黒山の人だかりができていた

 貴重なシーンと言えば、ニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦したレクサス「LF-A」レース仕様車が2台そろって参加したこと。単独でのイベント参加は珍しくないが、14号車と15号車がそろっての走行となると、なかなか見られない光景だ。

 TMSFでは事前に発表されていないクルマがコッソリと走ったりするのだが、今回のサプライズカーはマットブラックに塗装された市販バージョンのレクサス「LFA」。レース仕様車とはフロント部分の形状が大きく異なり、ライトの数も少なく、またテールのデザインも異なる。テールランプがレース仕様は丸なのに対し、市販車は細長くなっているという具合だ。

 ちなみに、市販LFAを運転していたのはヘルメットのデザインからすると、「モリゾウ」選手の模様。モリゾウとは、レーシングドライバーに変身した豊田章男氏のもうひとつの名前である。レースはニュルブルクリンク24時間にしか出走していないので、国内でのモリゾウ選手の走り自体も貴重なシーンだったというわけだ。

全開走行をするレクサス LF-Aレース仕様の14号車ランデブー走行する14号車と15号車時にはサイドバイサイドで走ることも
レクサス LFAの市販車。東京モーターショーで展示されたホワイトの車体色とはまたひと味違う感じだLF-AとLFAのテール。前が市販車(LFA)で後ろがレース仕様(LF-A)。テールランプの形状の違いがわかる

 そのほかにも、TOM'Sが、フォーミュラ・ニッポンの36号車「PETRONAS TEAM TOM'S FN09トヨタ」(ドライバーはアンドレ・ロッテラー選手)と、SUPER GTのGT500クラスで出走する36号車「PETRONAS TOM'S SC430」(ドライバーは脇阪選手)を同時にコースインさせ、サイドバイサイドで走らせるなど、ほかではなかなか見ることのできないシーンで、ファンの目を楽しませていた。

チームTOM'S対決? タイム的には、フォーミュラマシンのFN09トヨタのほうが上この時は、FN09やSC430のGT500仕様のほか、LF-Aレース仕様なども混走していた

 さらにレアだったのは、サーキットタクシーのドライバーをトゥルーリ選手が努めたこと。サーキットタクシーとは、レーシングドライバーが運転するオフィシャルカーのレクサス「IS F」にお客さんが同乗して周回するというアトラクション。F1ドライバーがそのドライバーを務めるというのは日本では珍しい話で、トゥルーリ選手のドライブを満喫できた来場者はさぞかしラッキーだったろう。ちなみに、そのIS Fにはトゥルーリ選手がサインを施していた。

トゥルーリ選手が運転するIS F。同乗しているのは抽選で当選したラッキーな来場者サーキットタクシーのドライバーを努めた後にダッシュボードにサインをするトゥルーリ選手ダッシュボードのトゥルーリ選手のサイン

 そのほか走行したレーシングカーは、SUPER GTで活躍した2009年型レクサス「SC430」と「IS350」、トヨタ「カローラアクシオ」など。また、5台のD1マシンは「ドリフトエクストリーム」の時間帯に、メインスタンド前で曲芸とも言えるドリフトを披露。そのほか、オーナーズパレードランとしてトヨタの名車「2000GT」と「スポーツ800」なども走行した。

SUPER GTに参戦する7台のトヨタ系マシンによる「SUPER GT スーパーバトル」が行われたサーキットサファリで観光バスの横を抜いていくSUPER GTマシン。39号車「DUNLOP SARD SC430」サーキットサファリの車内からの様子。バスのすぐ真横をGTマシンが併走する
ドリフトエクストリームの様子。マシンは高橋邦明選手の「GOODYEAR Racing with Do-Luck チェイサー」トヨタ 2000GTのパレードランの様子トヨタ スポーツ800のパレードランの様子

 展示車両にも、アメリカで高い人気を誇る「NASCAR」の参戦車両トヨタ「カムリ」(18号車)やダカールラリー参戦するトヨタ「ランドクルーザー 200 パリダカ仕様」(375号車)の2010年参戦車両など多数用意された。

NASCAR参戦車両の「トヨタ カムリ」18号車。ジョー・ギブス・レーシングのカイル・ブッシュがドライブチーム・ランドクルーザーの「トヨタ ランドクルーザー 200」パリダカ仕様車。カラーリングは2010年仕様だ

 ドライバーやチームのユニークな姿やその才能を、レースとはまたひと味違う形でおもしろおかしく見られるのもTMSFの魅力のひとつ。お昼の時間帯に用意された「トヨタのモータースポーツ大運動会」がそれだ。「SUPER GT ピットインチャレンジ」「障害物競走」「ドリフトパーキング選手権」「トヨタ クラス対抗スペシャルリレー」の4種目が行われた。

SUPER GT ピットインチャレンジの様子。1対1で、どちらのチームのタイヤ交換が速いかを競う障害物競争。レクサス「IS250S」のルーフをあげて玉入れをしたり、来場者から借り物競走をしたりする内容ドリフトパーキング選手権の様子。駐車エリアにどれだけ正確にドリフトしながら停止できたかを競争。D1にも参戦する織戸学選手が最後に神業的なドリフト駐車を見せ優勝
クラス別のマシンでリレーするスペシャルリレー1周したらピットインして、ピットロード上のボタンを押すと次のマシンがスタートするアンカーは、ホームストレート上でマシンを降りて、最後は人力でゴールを目指す

イベント広場では各種トークショーやキッズ向けイベントも多数用意
 メインスタンド裏のイベント広場に設けられたイベントステージでは、ドライバートークショーやキャンペーンガールステージなどを実施。SUPER GT GT300クラスのドライバーによる「GT300ドライバートークショー」には2009年の王座を獲得した19号車「ウェッズスポーツIS350」(RACING PROJECT BANDOH)の織戸学選手とその相棒の片岡龍也選手らが登場。また「LGDAドライバートークショー」では、GT500クラスのレクサス系5チームのドライバー9名が集結した。しかし、脇阪選手の独演会状態となり、笑いの中心となっていた。

最初に行われた「GT300ドライバートークショー」の様子。多くのファンが詰めかけたD1ドライバーによるトークショーも開催
イベントステージ大トリの「LGDAドライバートークショー」の様子キャンペーンガールステージ。SUPER GTのLEXUS TEAM SARDとLEXUS TEAM LeMans ENEOSの6人

 特に力が入れられていたのが、家族向けの各種アトラクション。年を重ねるごとにアトラクションの種類が増えている。イベント広場に用意されていたのは、「キッズカートコーナー」、ソープボックスカーを工作してレースを行える「ファースト・ソープボックス モックカー工作&爆走レース」、ポケバイを運転できる「ヤマハ親子バイク教室」など。さらに、メインストレートを挟んだパドックエリアには、消防車や破壊工作車などが展示された「はたらくクルマ体験コーナー」や、カート用タイヤを利用した「タイヤターゲット」、ミニバンに荷物を詰め込む速さを競う「クルマに荷物早入れ選手権」などが行われ、来場者は思い思いに楽しんでいた。

キッズカートコーナーの様子ファースト・ソープボックス モックカー工作&爆走レースのスタートの瞬間ヤマハ親子バイク教室の様子
タイヤターゲットの様子。カート用タイヤを、通常のタイヤで作ったターゲットに投げ入れる内容「クルマに荷物早入れ選手権」の様子。パズル的な要素もあって意外と難しそうグランツーリスモを使ったバーチャルレーシング体験も行われていた

 そしてキッズに大人気だったのが、「モータースポーツお仕事体験コーナー」。タイヤ交換などの「チームメカニック体験」、ドライバーへのインタビューなどの「キッズ記者体験」、実際にマシンが走行中に実況できる「アナウンサー体験」など多数用意され、みな嬉しそうに体験していた。

 そのほか、大人向けの撮影講習会も用意。通常はプロカメラマンしか入れないコースサイドに実際に陣取り、熱田護氏や金子博氏ら著名なモータースポーツカメラマンの指導を受けて撮影をしていた。

「モータースポーツお仕事体験コーナー」の「キッズ記者体験」の様子。PETRONAS TOM'Sのピットで熱心に取材を行っていた
事前申込の有料プログラムとして用意された撮影講習会。普段は入れないフェンスの内側のコースサイドから撮影ができる撮影をしながら講師のアドバイスももらう撮影後は作品を見ながらの座学

F1ラストランに続いてフィナーレ
 コース上のイベントの最後を飾るのが「Panasonic TOYOTA Racing ファイナルラン」。先にトゥルーリ選手のTF108がコースインし、その後に小林選手のTF109がコースイン。2台が並走してストレート前を全開で駆け抜け、全6周した。最後はメインスタンド前で甲高いエキゾーストノートをかき鳴らしながら、最後の走りを惜しむかのようにドーナツターンを繰り返した。両選手ともマシンを降りるとメインスタンドの多数の来場者に挨拶し、満場の拍手や声援、コールなどを受けていた。そこに中嶋選手も加わり、3選手がコメントを述べた。

富士山をバックに走る2台のトヨタF1カー。これが本当の見納めトゥルーリ選手の乗るTF108ピットを出る小林選手のTF109
最後のチェッカーを受ける2台メインストレートでドーナツターンを始めるTF109白煙でマシンが見えなくなるほどターンを続けた

 トゥルーリ選手は、トヨタで長期間に渡って走れたことを「素晴らしい経験だった」とし、また応援してくれたファンに感謝の意を表した。そしてメインスタンドでは、それに応えるかのように人文字で日本とイタリアの国旗が披露された。

 小林選手は、「14歳でフォーミュラ・トヨタ・レーシング・スクールに入って以来F1を目指してきて、ラストランを担当するのは複雑な気持ちですが、光栄にも感じています」とコメント。現在、TMG(トヨタモータースポーツ)が各F1チームと来季のシートの件で交渉しているということで、「準備をして待っています」とした。

 中嶋選手も、小林選手と同様にTMGが各チームと交渉をしている状況で、まだ何も決まっていないと言う。「精一杯前向きにがんばって、来年もF1レースができるようにしたいです」と意気込みを述べている。

ファイナルランの後のインタビューの様子トゥルーリ選手と小林選手のツーショット子供たちから花束を受け取る3選手
SUPER GTのGT500クラスに参戦する大嶋和也選手のドライブで3選手がパレードラントゥルーリ選手のため、メインスタンドの来場者が人文字によるイタリア国旗を披露小林選手の今後の活躍を期待する横断幕も

 そして最後は、参加ドライバー全員が集結し、代表して脇阪選手が挨拶。「今後ももっとモータースポーツを盛り上げていくので、次はぜひレースを見に来てください」と抱負を語り、閉幕となった。

脇阪選手による閉会宣言グランドフィナーレ

小林可夢偉&中嶋一貴の両選手らによる記者会見
 TMSF終了後、メインスタンド前のAパドック施設の2Fにあるブリーフィングルームで、小林&中嶋の両選手に、トヨタ自動車のモータースポーツ部長の高橋敬三氏、同モータースポーツ推進室長の今井智己氏の2名を加えた記者会見が行われた。会見は出席者がコメントを出す形ではなく、質疑応答の形が取られた。

 小林選手に対しては、撤退を知った時の状況、来年の予定などが質問された。撤退に関しては、前日に可能性があると聞かされていたが、正式なものとなった時は、「あまりにもショックで記憶もあやふやなほど」の状態だったそうだ。来年の予定に関してはオープニングでも語ったとおり未定で、TMGが交渉を進めてくれているが、「本音としては2年間しっかり働いたので、ちょっと休みをいただこうかと思っています。12月にヨーロッパに戻りますので、そこで本格的に来年のことを考えようと思っています」とした。また「14歳の時からずっと支援してもらってきたので、トヨタは家みたいなもの。ひとりで戦うこれからが本当のスタート」というコメントも。
 F1にまた乗れる確率と、もし乗れなかった場合の身の振り方について聞かれると「F1以外は考えていません。自分では100%F1に乗る自信があるけれど、そればかりは状況次第なので。僕にお金があれば乗れますけどね(笑)」と述べた。せっかくのチャンスが絶たれた形の小林選手だが、その表情は朝から一貫して明るく、それが次期シートに対する何かしらの進展があるからなのか、それとも本当に休みを期待しているからなのかは分からなかった。

 一方記者会見では終始ポーカーフェイスだったのが中嶋選手。撤退の話はショックだったとするが、「自分にはトヨタの撤退は関係しないですが、ウィリアムズ以外のチームを探す必要があるので、状況は変わらないですね。今は交渉中で、何も決まってないです。ただし、チーム数が増えるので、ドライバーマーケットに空きがあると思っています。自分には2年間の経験がありますし、今年は結果こそ出ていませんが、自分では手応えがあって自信につながったので、それを評価してもらえるものと思っています」と述べた。また、トヨタのマシンとウィリアムズとの違いを聞かれ、「ウィリアムズ以外のF1マシンに乗るのは初めてなので、興味深かったですね。スタートの手順とかチームごとに違うというのが分かりました。ただし、路面の状況が状況でしたので、一概に比較できないのですが、フィーリングは違いましたね」とした。また、シートがなかったらという質問に対しては、「自信はあるが、自信があるから乗れるというわけではないです。ただし、2010年は状況が大きく変わるので、チャンスはあると思います。そのために準備をしっかりしていきます」とコメントしている。

 高橋氏に対しては、TDPとして若手ドライバーを支援してきたわけだが、今後若手をどうするのかという質問。それに対し、高橋氏はまず両選手への謝罪の言葉を述べた上で「彼らはトヨタの力ではなく彼ら自身の力でここまで来たので、これからもやっていけると思っています。別の形で力になれたらと思い、今は別のチームとの間に立って話をしています」とした。TDP所属のドライバーは両選手以外にも複数人いるわけだが、「子供たちに夢を与えることは大事なので、TDPは今後も続けていきたいと思っています。今度はほかのF1チームから声がかかるような形で、支援していきたいです」と語った。発現内容からすると、TDP存続に関しても決定事項ではないように感じられるのだが、どうなのだろうか。昨年までと今年では一気に所属ドライバー数が減っており、TDP活動自体もさらなる縮小、もしかしたら休止ということもあるのかもしれない。これに関しては、来シーズン開幕前のモータースポーツ活動の体制発表まで待つ必要があるだろう。

記者会見の様子。左から高橋氏、中嶋選手、小林選手、今井氏小林選手。今は少し休みたいと言う。トヨタF1のファイナルランを任されたのは光栄と述べた中嶋選手。来年は未定だが、2年間やってきた自信はあると言う
モータースポーツ部長の高橋敬三氏。今後、TDPではF1チームから声がかかるような選手を育てたいと言うモータースポーツ推進室長の今井智己氏。質問がなかったため特にコメントはなかった

 来年、トヨタにとって国内でのレース初戦となるのは、3月20日、21日に鈴鹿サーキットで予定されているSUPER GTの第1戦となる。また、富士スピードウェイにおいて国内のトップカテゴリーがレースを行うのは、ゴールデンウィークの5月1日、2日。こちらもSUPER GTで、第3戦となっている。

(デイビー日高 Photo:安田剛)
2009年 11月 25日