フォルクスワーゲン、エコカー減税対象車・販売チャンネル統合で販売増を
2010年新春記者会見

新春記者会見を行う、フォルクスワーゲン グループ ジャパンのゲラシモス・ドリザス社長

2010年1月14日開催



 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは1月14日、都内において2010年の新春記者会見を開催した。

 挨拶に立ったゲラシモス・ドリザス社長は、2008年後半以来の経済不況にふれつつ2009年を「大きな変化を感じる1年だった」と総括。その理由として、GMやクライスラーの破綻や、中国市場が米国市場を抜いて世界一の自動車市場になったことを挙げ、「各国政府の積極的な金融政策から壊滅的な状況を逃れた年であった」と述べた。

 日本市場においては、2009年の販売実績が3万7925台となり、輸入車ブランド別で10年連続の1位を達成。市場シェアに関しても23.8%と、対前年比0.1%増となっている。

 これに関しては、ゴルフなどの新車の投入、メンテナンス費用の負担を軽減する、「ハートフル キャンペーン」や「あんしんキャンペーン」となどのメンテナンスプログラムが寄与したと言い、2010年はさらにそれらを強化していく。

2009年のフォルクスワーゲン グループの販売台数2009年の日本の自動車市場。マイナス成長となっている2009年の純輸入車市場。フォルクスワーゲンはブランド別で10年連続の1位

エコカー減税対応車を用意
 2010年の行動の柱として挙げたのが「商品」「マーケティング」「お客様の価値」「ネットワーク」。商品に関しては、第1に輸入車ではガソリン車として初めて「環境対応車普及促進税制」(エコカー減税)対応車を用意できたことを紹介。「ゴルフ TSI コンフォートライン」と「ゴルフ ヴァリアント TSI トレンドライン」が75%減税対象車となったのだが、これに関しては本社側の理解があったためと明かす。

 ドリザス社長は2008年初夏の会見で、日本独自の排出ガス規制の認定が必要なエコカー減税制度に疑問を呈していたものの、購入者の要望などもあり、日本から本社への強い働きかけをすることで、日本国内向けのエンジン改良を行い、エコカー減税対応を実現できたと言う。世界市場を対象に生産を行う自動車メーカーの場合、ある国独自の施策に対応させていくには、それなりの追加コストが必要であり、追加コストが販売価格に乗ることでユーザーの不利益にもなる。もともとフォルクスワーゲン車の環境性能は優れており、CO2排出量によってかかる環境税などであれば、その優位性を出せるだろうと述べた。

 とはいうものの、今後のエコカー減税対応については「本当は全車種対応させたい」と言い、可能なものから順次対応していく。「環境対応車への買い換え・購入に対する補助制度」(エコカー補助金)については、同日発表した「ゴルフ R」や「シロッコ R」を含め8モデル・18グレードが対象となっており、エコカー減税対応とあわせてユーザーにその環境性能を訴えていく。

2010年の行動指針ゴルフ TSI コンフォートラインとゴルフ ヴァリアント TSI トレンドラインがエコカー減税に対応
ゴルフ ヴァリアント TSI トレンドラインでの試算。エコカー減税とエコカー補助金で最大39万8000円安価になるエコカー補助金対象車。8モデル・18グレードが対象

 2010年の新車については、「ゴルフ R」や「シロッコ R」のほか、「ポロ」に新型1.2リッターTSIエンジン搭載車を追加。この1.2リッターTSIエンジンを搭載するポロは、実燃費で18km/Lを超える燃費性能を持つと言う。また、下半期にはクロスオーバーSUVの「クロスポロ」や、スポーツモデルの「ポロ GTI」を導入する。

シロッコにスポーツモデルのシロッコRを追加。2月5日に発売ゴルフのスポーツモデル、ゴルフR。フルタイム4WDを採用して、3月発売シロッコR、ゴルフRとゲラシモス・ドリザス社長
ポロには新型の1.2リッターエンジン搭載車を追加する。クロスポロやポロGTIも年内投入今後発売されるフォルクスワーゲン車。「トゥアレグ ハイブリッド」は年内に海外で発売され、2011年の早い時期には日本市場でも発売される好評のメンテナンスプログラムは、「フォルクスワーゲン プロフェッショナルケア」として強化。最新のフォルクスワーゲン全車に付帯する

販売チャンネルは一本化へ
 現在フォルクスワーゲンの販売チャンネルは、フォルクスワーゲン グループ ジャパンと直接契約するディーラーと、トヨタ自動車系の「DUO(デュゥオ)」店の2チャンネルの正規ディーラーがあるが、トヨタとの契約が2010年12月末をもって終了するのに伴い、2つのチャンネルを新フォルクスワーゲンディーラーネットワークとして一本化していく。

 1月下旬にDUO店に対し契約のオファーを出し、年内を目標に統合作業を進めていく。どの程度のDUO店がフォルクスワーゲンのディーラーとして継続するかは、DUO店の経営側の判断だとしながらも「すべてのDUO店が継続してほしい」と言い、これまで協業関係であったトヨタに感謝の言葉を述べた。

 この新ディーラーネットワーク網の構築で、情報や物流、顧客対応のレベルアップを図り、顧客満足度の向上を目指していく。フォルクスワーゲン認定中古車(GUC)の取り扱い店舗も増加しており、2010年は1万2000台の販売を目指すとした。

販売チャンネルは、新フォルクスワーゲンディーラーネットワークとして一本化認定中古車の販売も強化していく

(編集部:谷川 潔)
2010年 1月 14日