プジョー・シトロエン・ジャポン、高級コンパクト「DS3」を日本初公開
5月に正式発表、3月には「ローンチパッケージ」を先行予約

シトロエンDS3

2010年1月19日



プジョー・シトロエン・ジャポンのポワラ社長。DS3の運転席で

 プジョー・シトロエン・ジャポンは1月19日、在日フランス大使館(東京 広尾)で開催中のアートイベント「No Man's Land」会場で、5月に国内に導入するシトロエン「DS3」を、報道陣に公開した。

 DS3は、2009年9月のフランクフルト・モーターショーで世界初公開された、高級コンパクトカー。実用車の「C」シリーズと並行して展開される「DS」シリーズの皮切りとなるモデルで、「DS」は「Different Spirit」(今までとは異なる精神)を意味する。DSシリーズは、シトロエンが90周年を期に定めたブランド・スローガン「クリエイティブ・テクノロジー」のシンボルとしている。

展示されたシトロエンDS3。現在、日本にあるDS3はこれ1台だけ。ボディーカラーは「ボッティッチェリ」と呼ばれる水色に、白の組み合わせ
ヘッドライトをひっくり返したような形状のテールランプサイドミラーの下にサイドターンシグナルランプが付く
シトロエンのダブルシェブロンはグリルの一部に付くだけで、前後にはDSシリーズ専用のエンブレムが付くボディーと同色のホイールのセンターキャップ。ホイールもカスタマイズの対象

自分だけの1台を作れる「DS3」
 DS3のスタイルは3ドアの2ボックス。3950×1710×1460mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2456mmとコンパクトで、トヨタ・ヴィッツ、MINI、フォルクスワーゲン・ポロなどと同じBセグメントに属する。

 スタイリングのテーマは「Surprise(驚き)、Appeal(主張)、Vitality(活力)」。見どころは、ルーフにつながっていないように見えるBピラー。ブラックアウトされたA、Cピラーとともに、ルーフが浮いているように見える。

 DS3のアイデンティティーは、ボディーカラー、ルーフステッカー、外装パーツ、インテリアのトリムのオプションを豊富に用意し、「ビークル・パーソナリゼーション」と呼ばれるカスタマイズが可能なこと。

 たとえば外装ではボディーとルーフに異なる色を選ぶことができ、先述の“屋根が浮いて見えるBピラー”との相乗効果で、DS3をエレガントにも、スポーティにも、好みの雰囲気に変えることができる。たとえばルーフをブラックにして、ボディーカラーにオレンジなどを選べば、一見ルーフのないロードスターのように見える。

展示車の内装は黒のファブリックだが、レザーなど豊富なオプションが用意される3ドアだが後席も十分な広さトランクルーム。後席シートバックは分割可倒式
ダッシュボードは光沢のあるピアノブラックDシェイプのステアリングホイールや3眼風メーターパネルなど、ややスポーティな雰囲気を持つ
ステアリングホイール左のライトコントロールレバーの下に、クルーズコントロールがあるステアリングホイール右、ワイパーコントロールの下にオーディオリモコンがあるシーケンシャルモード付の4速AT
オートエアコンとCDレシーバーを標準装備する1.6リッターの自然吸気エンジン

 パワートレーンは120PSの1.6リッター直列4気筒DOHC+4速ATと、150PSの1.6リッター直列4気筒 DOHCツインスクロールターボ+6速MTが用意され、ターボモデルにはアルミ・ペダルが用意されるなど、ややスポーティな装備となる。

 エンジン以外に大きな標準装備の違いはなく、これ以外はすべてビークル・パーソナリゼーションでオーナーが選ぶことになる。

 なおこうしたカスタマイズは、フランスで施すものと、輸入後に日本で施すものがある。すべてのカスタマイズを行うと納車に最長で約4カ月を要するが、時間を要するカスタマイズについては「おすすめの組み合わせ」のモデルをあらかじめ用意しておくなど、納車までの時間を短縮しつつ、ある程度カスタマイズの要望にも応える方策も用意されている。

 DS3の正式発表は5月下旬から6月上旬が予定されており、その後デリバリーが始まる。これに先立つ3月から4月には、「ローンチパッケージモデル」の先行予約が行われる。ローンチパッケージとは、先述の「おすすめ」同様に、早期納車を目的としたボディーカラーと装備のコンビネーション・パッケージ。何種類かが用意される。台数は限定されないが、受注期間が限定となる。ローンチパッケージモデルも、発表以降に納車される。

 なおDS3の価格は明らかにされていないが、関係者によれば300万円程度が予想されると言う。

Bセグメントに属する
ボディーとルーフが同色のベースモデル(左)をカスタマイズする(右)
さまざまなカラーバリエーション

 

ポワラ社長

目標は前年比50%増
 プジョー・シトロエン・ジャポンのティエリー・ポワラ代表取締役社長は、DS3と同時に発表される「C3」に言及。DS3とプラットフォームを共にするが、より実用に振ったモデルで、ボディー形状は全く異なる5ドアとなり、前席の真上まで伸びるフロントウインドーを特徴とする。

 ポワラ社長によればC3は「ここ数年来、(モデルチェンジごとに)サイズを大きくするのがトレンドで、C3も“成長”しているが、ただ大きくなるのではなく、スリムさをキープしている。他に類を見ないラインを持ち、レトロシックかつハイテックなデザインのクルマだ。乗り心地がよくモダンで、なおかつ常にフレンチカー」と言う。

 DS3については「シトロエンとしての新たな道。際立った個性と幅広いデザインの選択肢、ラディカルだが魅力的なスタイルを持つ。エレガンスと多様性を求めるドライバーには異彩を放った魅力的なクルマ」とした。

 C3とDS3の2010年の販売目標は、それぞれ600台ずつ。シトロエン・ブランド全体で、前年比50%増の2000台を目標とする。

 こうした強気な見込みの根拠としてポワラ社長は、2002年に導入したC2と初代C3の実績を挙げる。2008年までの通算で、C3は約3200台、C2は約1300台、合計で4500台以上を販売したと言う。

 さらに、この夏には3つのディーラーが2009年に制定された新CIに基づく新しいディーラーシップを導入する。「苦しい時代だからこそアンビションを忘れない」という姿勢で、伸長のために販売施策でも手を打つ。

C3をDS3と同時に投入2009年にCIを刷新、ディーラーの統一デザインも変更された。右は新ディーラーシップで改装されたシトロエン名東
発表会場となったのは、在日フランス大使館で開催中のアートイベント。取り壊される予定の大使館旧庁舎で、様々なアーティストが作品を発表する。これをサポートしているプジョー・シトロエン・ジャポンも、自らのブランドをアピールする部屋を置くと同時に、プジョー207CCを使った作品も展示

(編集部:田中真一郎)
2010年 1月 20日