鈴鹿サーキット、「第22回 2010モータースポーツファン感謝デー」 SUPER GTやフォーミュラ・ニッポンのマシンが今年初の本気走りを披露 |
鈴鹿サーキットは3月6日、7日の2日間、「第22回 2010モータースポーツファン感謝デー」を開催した。あいにく両日とも雨のちらつく空模様であったが、それでも熱心なモータースポーツファンが多く訪れていた。
両日ともに、通常は別料金となるパドックエリアが開放され、来場者はピットの様子を間近で見ることができた。ピットビル2Fのホスピタリティラウンジでは、昨シーズンSUPER GTで戦ったNSX-GTのほか、歴代のレース車両が展示された「鈴鹿モータースポーツギャラリー」や、自分でパーツを選んでトミカをスタッフに組み立ててもらえる「トミカ工場」を開催。
GPスクエアでは、各チームのオフィシャルショップや各種ブースが多数出展。巨大な足場が組まれたステージでは、全日本チャンピオンの経験もある小川友幸選手と、柴田暁選手によるトライアルバイクのデモンストレーション「バイクDANCE on AIR」などが開催された。
GPスクエアにはブースが多数出展したほか、レーシングカーの展示もされていた | ||
ARTAのブースではガライヤを展示 | NEXCO中日本も作業車両の展示を行っており、実際に乗ることもできた | 京商ブースではミニッツレーサーの試走が行われていた |
プロライダーによるバイクトライアルのデモンストレーション「バイクダンスonエアー」では、アクロバチックなパフォーマンスで観客を楽しませていた |
初日となる3月6日、レーシングコース上では、SUPER GTの合同テストも行われていた。SUPER GTではテストを行える日が限られるので、どのチームもイベント日とは言えセッティングに余念がない。開幕戦直前のテストということもあって、どのチームもしばらく走ってはセッティングを変更するなど、本番さながらの忙しさと緊張感の中で作業を行っていた。ピットのパドック側のシャッターを閉めっぱなしにしているチームも少なくなかったが、その緊張感もまた、ファンにとっては楽しめるものだったのではないだろうか。
GT500クラスに参戦するニューマシンのHSV-010GTやニューエンジンのGT-R、GT300クラスでも新規マシンのアストンマーチンや、ニューマシンに変更したミク号の本気の走りを開幕戦の前から見られるというのは貴重な体験だろう。また、この日はウェットということもあって、昨シーズン途中より参戦したレガシィがクラス2位となるタイムを記録するなど、マシンの熟成状況を確認することができた。合同テストは前日の金曜日から行われていたが、そちらの模様は別記事にて掲載するのでご参照いただきたい。
ウェットの中で開催されたSUPER GT合同テスト | GT300クラスに初参戦するアストンマーチンは、前日のテストで4位のタイムをマーク | 昨シーズンより参戦したレガシィB4はウェット路面の中、2位のタイムをマーク |
3月7日のコース上は、初日とはガラリと趣向を変えた、ファンライクなものだった。前日までテストしていた多くのマシンは帰ってしまっていたが、GT500クラスを彩るマシン5台が残り、デモランを開催。しかもその間もピットロードの一部が開放されており、来場者のすぐ目の前をGTマシンが走り抜けるという、大サービスぶり。
フォーミュラ・ニッポンのデモレース時以外は、ほとんどの時間でピットロードが開放されていた | SUPER GTデモランの際もピットロードで見ることができた | HSV-010GTの前で選手へのインタビューが行われた。選手はHSV-010GTのチェックに余念がない |
SUPER GTデモランは5台で行われた。中でもひときわ甲高いエキゾーストノートを奏でたのがHSV-010GTだ |
さらに「フォーミュラ・ニッポン Rd.0スペシャルデモレース」と題して、参戦車両全車にゲストマシンも1台加わってのレースも開催された。デモレースと言ってもドライバー達は真剣そのもので、雨の中、水しぶきを舞上げながら、熱いバトルが展開された。また、報道陣向けに参戦体制の発表会も開催されており、こちらも合わせて別記事で追って掲載する。
フォーミュラ・ニッポンのデモレース。ウェットコンディションということもあって、控えめなものになるかと予想されたが、実際には見ているこちらがヒヤリとするほど熱いバトルが繰り広げられた |
豪華なゲストを迎えてのイベントやトークショーも多数行われた。今シーズンの「鈴鹿サーキット2010年モータースポーツ応援団」に就任したアイドルグループ「SKE48」は、チームSとチームKIIから計16名が参加し、ライブでは4曲を披露。今後も鈴鹿サーキットで行われる大きなレースでは、メンバーが応援に訪れると言う。
また、今シーズン最注目のマシンHSV-010GTについては、開発者を迎えてのトークショーを行ったほか、F1解説でおなじみの森脇基恭氏を招いての「2010 F1を大予想」やトークショーを開催。特に森脇氏のトークショーは人気が高く、会場には立ち見も出るほどだった。
森脇氏によれば、ドライバーに求められる能力として、メカニックにマシンの問題点を挙げるということがあると言う。一番優れたドライバーは多くの問題点の中から、タイムに結びつく順に挙げると言い、2番目に優れたドライバーは重要なことから言う。最も未熟なドライバーは闇雲に言うのだが、小林可夢偉選手は、すでに重要なことから話していると述べた。
また、今年のF1はマシンの性能が拮抗していて、大混戦になるのではないかと予想した。そうした中で、一人勝ちするとしたら、マクラーレンのマシンが煮詰まれば、周りは手を付けられなくなるかもしれないとした。さらに今年はタイヤに注目すると面白いと言う。昨シーズンと違い、今年は給油によるピットインがないので、1ストップが常識になるかもしれないと述べ、そうなった場合、タイヤにとって優しいマシンが有利になる可能性があるとした。
HSV-010GT開発者トークショーには、開発責任者の瀧敬之介氏、NSX-GTプロジェクトリーダーの白井裕氏、そしてドライバーの道上龍選手が参加 | F1解説を行っている森脇氏のトークショーは、ポディウムとラウンジの2カ所で行われたが、いずれも人気が高かった |
そのほか、鈴鹿サーキット モータースポーツ顕彰とJRPA(日本レース写真家協会)アワード「大賞」贈呈式も行われた。モータースポーツ顕彰は、鈴鹿サーキットが2009年にモータースポーツの発展に貢献した人や団体に贈るもの。今回は団体が初めて受賞し、「鈴鹿F1日本グランプリ地域活性化協議会」に贈られた。そのほか特別顕彰として小林可夢偉選手や、功労顕彰としてホンダNSX、また、2010年に活躍が期待される選手として山本尚貴選手などが表彰された。「その年一番のフォトジェニック」を選ぶJRPAアワード「大賞」には、ホンダNSXが選ばれ、開発プロジェクトリーダーの白井裕氏に贈呈された。
モータースポーツ特別顕彰やJRPAアワード「大賞」贈呈式も行われた | 2010年ライジングスターアワードには、今年からGT500に最年少でデビューする山本尚貴選手に贈られた | JRPAアワード「大賞」はNSX-GTに送られた |
7日にはグリッドウォーク(写真左)やピットタワー見学(写真中)、バスでコース見学ができる権利をかけた○×クイズなども行われた |
(瀬戸 学)
2010年 3月 9日