BMW、6代目「5シリーズ」の発表会 デザイナー来日、「テーラーメイドのスーツのようなクルマ」 |
ビー・エム・ダブリュー(BMW)は3月25日、同日発売した新型5シリーズ セダンの発表会を、東京 八重洲の同社ショールーム「BMW Group Studio」で開催した。
発表会には独BMW AGから、新型5シリーズ セダンのデザイナーであるヤツェク・フレーリッヒ氏が来場。5シリーズ セダンのデザインについて、そのプロセスとハイライトを解説した。
5シリーズ セダンのデザインは、マーケティングのメンバーを含めた「キャラクター・ワークショップ」から始まった。これは言葉で5シリーズ セダンのコンセプトを決めるプロセスで、「美的、エレガンスとモダニティ、スピード」といった言葉が選ばれたと言う。
続いてコンセプトをスケッチにするプロセスに進むが、まずエクステリア、インテリアそれぞれ約20名のデザイナーによるデザインコンペが行われ、これに勝ち残った1名、つまりフレーリッヒ氏がデザイン担当となった。
この後、3カ月をかけていくつかのプロポーザルスケッチを作る。この間、2~3週間ごとに、上司がスケッチのレビューを行う。この中から選ばれた5つのプロポーザルは実寸のクレイモデルになり、取締役へのプレゼンテーションを経て、2つに絞り込まれる。
さらに1年かけて、今度は技術部門や空力部門との共同作業を進める。ラスト・プレゼンテーションでデザインが決まり、路上実験が始まったのは2006年だと言う。
5シリーズ セダンの詳細は関連記事を参照されたい。ここでは写真を中心に、発表会の模様をお届けする。
5シリーズ セダンのプロポーションは、ロングノーズ・ショートデッキで、短いフロント・オーバーハングと、長いリア・オーバーハングを持つ、典型的なBMWセダンと言える。これをフレーリッヒ氏は「キャビンが後方にプッシュされている印象をあたえる。先代よりも伸びやかになり、エレガントになった」と説明する。
グリーンハウスはエレガンスを表現するために引き伸ばされ、BMWならではのCピラー付け根の形状「ホフマイスター・キンク」も備える。ルーフラインもエレガンスとスポーティネスを表現するべく、クーペ風のラインになった。
ボディー側面のウエスト部分を通るプレスライン「ジッカー・ライン」と、下側の「ロッカー・ライン」も、ボディーを伸びやかに見せる一方で、両ラインに区切られたボディーの面に緊張感を与え、筋肉質な印象を醸し出す。どちらのラインもBMW全車に使用されているが、7シリーズではジッカーラインがヘッドライトクラスターから始まっているのに対し、5シリーズではボディーサイズに合わせて短くするためにフロントホイールハウスの後ろから始める、といったように、車種ごとにアレンジされている。
デザインを解説するフレーリッヒ氏。「完璧なビジネス・カーと確信している。いわばテーラーメイドのスーツのようなクルマだ」 | エクステリアとインテリアをスケッチするイメージ映像が流された | |
ジッカーラインとロッカーラインは車種ごとにアレンジされている |
フロントはやはりBMWの典型であるキドニー・グリルと丸目の4灯ヘッドライトを備える。ライトの上部を隠すように“眉毛”状の装飾があるが、これは“視線”を鋭くし、「コンセントレーションを感じさせる」ためのもの。キドニー・グリルも7シリーズよりも水平に引き伸ばされ、低い位置に置くといったアレンジがなされている。
ボンネットには4本のシャープなプレスラインがあるが、どちらも外側からエンブレムに向かって引かれており、“ナチュラル・スポーティ”を演出している。ちなみに内側の2本のラインは、エレガンスをより強調したい5シリーズ グランツーリスモや7シリーズには引かれていない。
ボンネットの4本のラインの間の面は「ダンスを踊っているかのような光の動き」を与え、パワフルな動きとダイナミックさ」を演出し、「BMWを具現化するもの」だと言う。
テール部分のハイライトはL字型のテールランプだ。これは形状がL字型であるばかりでなく、内部にLEDチューブをL字型に配するといった強調も行われている。
より低くマウントされたキドニーグリルは、横に長い形状になった | ボンネット上の4本のラインがスポーティネスの証し | フレーリッヒ氏に「5シリーズ セダンのもっとも気に入っているところを示して」とお願いしてみたら、答えは「ボンネットのラインの間の面」だった。こだわりの詰まった面構成なのだ |
「エクステリアと同じフィロソフィーを踏襲して、バランスをとった」というインテリアは、オリバー・ハイルマン氏によるもの。ダッシュボードのセンターパネルがドライバー側に7度向いた、BMWならではのドライバー・オリエンテッドかつスポーティなキャラクターを演出。2本のラインでダイナミックな雰囲気を出すとともに、上部と下部に陰影を付けた。
また、ウエストをクロームのラインが走っているが、ダッシュボードとドアのつながりには、クロームが跳ね上がったような形状「キンク・シャット・ライン」を用いてこだわったと言う。
(編集部:田中真一郎)
2010年 3月 26日