「第21回トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル」開催 100台以上の歴史的名車が集合。レクサス LFAの市販車も走行 |
5月23日、愛知県長久手町の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で第21回トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルが開催され、100台以上の国内外の歴史的名車が走行を行った。また、世界限定500台で発売されるレクサス LFAも中部地方で初めて走行を披露した。
会場の愛・地球博記念公園は2005年愛知万博の跡地 | サツキとメイの家や大観覧車は万博当時のまま残されている |
公道パレードのスタートを待つクラシックカー |
2005年に行われた日本国際博覧会(略称:愛知万博、愛称:愛・地球博)の長久手会場跡地に開設された、愛・地球博記念公園の北駐車場には、早朝から100台以上の歴史的名車と、多くの愛好家や家族連れが集まった。あいにくの雨となったが、全国から集まったクラシックカーオーナー達が愛車のハンドルを握り、公道パレードが始まった。
先導車のプリウス プラグインハイブリッドに続いたのは、1935年製のダットサンフェートン、以下、日産自動車系(ダットサン、プリンス)、ホンダ、いすゞ、スバル、マツダ、三菱、ダイハツ、日野、トヨタと国産車が先行し、その後方に外国車が続いた。
公道パレードは愛・地球博記念公園の北駐車場から一般公道へ出てトヨタ博物館の前を通過、杁ヶ池の交差点を右折し長久手町内を回って愛・地球博記念公園に戻る約14kmのコースだ。ゴール地点の大芝生広場に最後尾の車両が到着したのは、先頭の車両がスタートして1時間30分が経過してから。
公道パレードを終え、大芝生広場に戻ってきた各車 | 外周を回って、人工芝の中で再び展示される | 先頭を走ったダットサン フェートンが大芝生広場に到着 |
大芝生広場に並んだ名車の脇では、記念撮影をする親子や、クラシックカーの話題で盛り上がるオーナーや愛好家が多数見られた。その周辺ではシートベルト・エアバッグ体験、反射材の効果体験、ミニ白バイに乗って記念撮影、クラシックカーよろず相談のコーナーなども設置され、にぎわいをみせていた。
制服を着てミニ白バイで記念撮影 | シートベルト・エアバック体験コーナー | |
反射材の効果体験コーナー | 反射材をもらって、さらにオリジナルの模様に加工できる | |
クラシックカーよろず相談コーナー | ||
マイベストクラシックカーの投票受付には長蛇の列 | 大芝生広場に並ぶクラシックカーと観客でにぎわう会場 | スーパーカーのコーナーは人気が高い |
歴史的名車を保有するオーナー達のこだわりが垣間見えるのがナンバープレートだ。ナンバーの地名、分類番号が「埼 5」「富 3」「愛 5」などの1文字ナンバーは長年愛車として乗り続けてきたことを想像させる。また、希望番号制度により取得したナンバーとしては「19-35」「19-60」「19-71」など愛車の年式のナンバー、「8 00」「16-00」「18-00」「20-00」など排気量のナンバー、ディーノ246GTの「2 46」、コブラ ERA427の「4 27」など車名のナンバーが見られた。
「埼 5」の1文字ナンバー。オーナーが撮影に応じてくれた | 「富 3」富山ナンバーになる前は、富(とみ)ナンバーは縁起がよいと人気だったらしい | |
1935年式 | 1960年式 | 1962年式 |
1964年式 | 1969年式。19-69のナンバーは空いてなかったのかも | 1971年式 |
800cc | 1600cc | 1800cc |
2000cc | 2000ccと車名の2000GTのダブル | ディーノ246GT |
コブラERA427 |
トヨタ博物館が所蔵する車両の走行も予定されていたが、あいにくの雨で展示のみとなった。走行を予定していた車両は、「ジャガー Eタイプ」「フェアレディZ432」「ルノー 6CVタイプNN」「パッカード トゥエルヴ」「サンビーム グランプリ」など。各車両は雨に濡れないように仮設テントの下に展示され、予定していた走行披露の時刻にはエンジンの始動と解説が行われた。ルースヴェルト大統領専用車のパッカード トゥエルヴの静かなエンジン音に対し、レーシングカーであるサンビーム グランプリは迫力のあるエキゾーストノートを響かせていた。
これらのヒストリックカーと一緒に展示され、常に黒山の人集りに囲まれていたのがレクサス LFAだ。LFAは世界限定500台、日本国内では165台が販売され、その価格は3750万円。生産開始は今年の12月からだが、すでに予約の受付は終了している。中部地方では初めての走行披露とあって多くのファンが集まった。
他のヒストリックカーのまわりは空いていたが、LFAのまわりは常に黒山の人 |
幾重もの人垣の中、LFAのエンジンが始動、4.8リッターV型10気筒エンジンのひときわかん高いエンジン音が会場に響き渡った。少々残念だったのは、解説者のマイクを通じて遠くのスピーカーから流れる音と、生のエンジン音が重なりやや鮮明さを欠いたこと、加えてサンビーム グランプリのエキゾーストノートを聞いた直後だったため、迫力不足に感じられた。市販車なので当然だが、フェアレディZ432、パッカード トゥエルヴの後だと印象が異なったように思える。
いよいよ走行開始だ。ヒストリックカーの走行が中止になったので、レクサス LFAの単独走行だ。公道パレードからクラシックカーが会場に戻るときにはカラーコーンで通路と見物客が分離され、通路内の芝生エリアも立ち入り禁止となっていたが、このときは芝生内も通路もフリーの状態。交通整理もなくLFAは通路に走り出た。
会場通路の制限速度は20km/hということもあって、商店街を抜けるような雰囲気で走行披露が開始された。事前の資料では右回りに周回とされていたが、なぜか左回りで発進。我々取材陣や警備担当者があわてる一幕もあった。スタート地点周辺では、雨の中カラーコーンの外側でカメラやビデオを用意して、1時間近く走行開始を待っていたファンの前を、通路を歩行していた人達が遮る形となり「あれあれ」といった感じとなった。
超低速、アイドリング状態に近かったが、走行するレクサスLFAを見ることができた |
LFA走行動画 |
会場のアナウンスでは周回数は1周とされたが、周回が終了すると急遽もう1周回るなどサプライズとも行き当たりばったりとも思える走行披露となった。会場による制限により仕方ないとも感じるが、レクサス LFAの走行に関しては、公園内の大きな駐車場を利用して0-100km/hが3.7秒の加速性能を見せるなどすると、その凄さを多くの人が堪能できたと思われる。
実際、トヨタ博物館で行われたマッハ号の実車走行も館内の駐車場を封鎖して行われたし、F1マシンがお台場や大阪城公園、ショッピングセンターの駐車場を走行するイベントも行われている。工夫次第でエンジン音や速さを期待して集まった観客を魅了することはできたと思われる。貴重な走行披露だっただけに、やや消化不良なイベントとなってしまった。
トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルは毎年行われ、最近は東京都内でも開催されている。クラシックカーの祭典だが、今回圧倒的な人気となっていたのはレクサスLFAだった。例えばトヨタF1マシンの展示や走行があったらさらに多くのファンが集まるかもしれない。歴史を重ねてきたイベントなので、今後はクラシックカーの愛好家だけでなく、自動車好きの祭典として発展してほしい。
(奥川浩彦)
2010年 5月 24日