日産、新型「エルグランド」の概要を発表 FF化による低重心化で走行性能を向上、ラグジュアリー性もブラッシュアップ |
日産自動車は7月7日、神奈川県横須賀市内の追浜グランドライブにおいて、今夏に発売される新型「エルグランド」の概要を発表した。
新型エルグランドは、神奈川県横浜市の同社グローバル本社ギャラリーで先行展示されるなど、正式発表前から積極的にアピールを行っている。今回行われた説明会では発売日、価格を除いた情報が公開されたので、その内容をお伝えする。
■新型エルグランド グレード
グレード | エンジン | 変速機 | 駆動方式 |
350ハイウェイスター プレミアム | V型6気筒DOHC 3.5リッター | CVT | 2WD(FF) |
350ハイウェイスター | |||
250ハイウェイスター | 直列4気筒DOHC 2.5リッター | ||
250XG | |||
350ハイウェイスター プレミアム | V型6気筒DOHC 3.5リッター | 4WD | |
350ハイウェイスター | |||
250ハイウェイスター | 直列4気筒DOHC 2.5リッター | ||
250XG |
エルグランドは、ビッグサイズミニバンの市場を切り開いてきたパイオニア的存在だが、昨今は販売台数で劣勢に立たされている。今回発売する新型エルグランドは、その巻き返しを図るべく、「キング・オブ・ミニバン」として競合車と一線を画した存在感のあるデザイン、高級・上質・快適性のさらなる追求、走行性能など現状で満たされていないニーズを満たすことをコンセプトに開発が行われた。
現行モデルと大きく異なるのは駆動方式で、新型エルグランドは新しいプラットフォームを採用して従来のFR方式からFF方式に変更。これによりトランスミッションをCVTとし、エンジン搭載位置を低くするとともに、低床化に成功した。
ボディーサイズは4915×1850×1805~1815mm(全長×全幅×全高)とし、現行エルグランドから80mm長く、35mm広くなり、ホイールベースは50mm伸びて3000mmとなったが、全高を95mm低くして安定感を出した。なお、室内長は13mm短くなるが、室内高は20mm高くなる。
エンジンはV型6気筒DOHC 3.5リッターの「VQ35DE」と直列4気筒DOHC 2.5リッター「QR25DE」の2ラインアップで、全グレードともにトランスミッションはCVTを組み合わせる。VQ35DEの最高出力は206kW(280PS)/6400rpm、最大トルク344Nm(35.1kgm)/4400rpm。QR25DEは125kW(170PS)/5600rpm、最大トルク245Nm(25.0kgm)/3900rpmとなる。
エクステリアは「Majestic Presence」(堂々とした存在感)、「ELGRAND-ness」(エルグランドらしさ)、「EMOTIONAL」(情感に訴える豊かさ)、「LUXURY」(ラグジュアリー)の4点をキーワードとし、従来からのデザインを踏襲した厚みのあるフロントフェイスと水平/垂直で構成したリアコンビランプ、ノーズからボディーサイドに大胆に流れるプレスライン、ワイドかつ低重心を主張する肩の張ったボディーサイドパネルなどが与えられた。
ボディーカラーはファントムブラック、オーロラモーヴ(ハイウェイスター専用色)、ブリリアントホワイトパール、ブリリアントシルバー、シェルブロンド(XG専用色)の5色。
新型エルグランドは新プラットフォームを採用し、駆動方式を2WD(FF)に変更した。これにより低重心となり、全高は現行モデルより95mm低くなった |
V型6気筒DOHC 3.5リッターエンジン | ウインドーを囲むように配置されたクロームモールディング | ドアミラーはウインカーを内蔵するタイプ |
ハイウェイスターのロゴはリアゲートの右側に配置される | 新型エルグランドのトランスミッションは全車CVT |
インテリアは快適性やラグジュアリー感を重視しながら、サポート感のあるバケット風フロントシートを与えたことで走行中におけるサポート性を高めた。これはミニバンでもっとも快適なポジションと言える2列目シートにも与えられており、2列目シートはシート一体型のオットマン機構を備えるほか、世界初となるシートバック中折れ機能を装備した。シートバック中折れ機能は、その名のとおりシートバックを上下に2分割したもので、上部のみ角度調整が可能。これにより緻密で最適なシートポジションを得ることができる。3列目シートはラゲッジスペースの両側に設けられたスイッチによって自動格納と自動復帰を可能とし、格納に要する時間は約2秒、復帰は約6秒でできるほか、手動で作業を行うこともできる。なお、2列目シートは左右独立のキャプテンシートタイプ(7人乗り)と、6:4分割可倒式のベンチシート(8人乗り)の2タイプを用意する。
インテリアカラーはダークエスプレッソ(本革シート、グラデーションアフリカンウッドパネル)、ブラック/ベイブラウン(ネオソフィール/ジャガード織物シート、グラデーションシルバーローズウッドパネル)、シルキーベージュ(スエード調クロスシート、グラデーションアフリカンウッドパネル)の3色を設定する。
そのほか、後席用に電動開閉式11インチモニターを装備し、音響を専用にチューニング。ガラス部を含めたサイドを反射音エリア、ルーフライニングおよびフロア(カーペット/マット)を吸音エリアとし、音の動きを追求したと言う。サウンドシステムはBose 5.1chサラウンドで、13個のスピーカーを配置する。
フロントバンパーおよびリアバンパー、両サイドのドアミラーのカメラによって駐車支援する「アラウンドビューモニター」。駐車手順を音声と画面で案内する駐車ガイド機能もつく。また、フロント/リアワイドビュー機能は従来モデルでは130度までしか表示できなかったが、それぞれ左右180度が確認できるようになった |
こうした快適な室内空間に仕上げるため、新型エルグランドは現行モデルより制振材を25%多く使用するほか、エンジンルームからの部品貫通穴をふさいだり、ハーネスなどのクリップに遮音タイプのものを使用。さらに各ピラー内に発泡材を入れるなどエンジンノイズやロードノイズなどが室内に侵入しない工夫を徹底的に行っている。
穴をふさぐことで音を遮断 | 遮音タイプのハーネスクリップ | 制振材は現行モデルより25%多い |
ルーフパネルの吸音ウレタン層を室内側に設置したことで、室内音を吸音するため音の反射成分が小さい | ミニシアターの設計思想を取り入れて車室内音響特性をチューニング。上下方向を吸音、左右方向を反射とすることで広がりのある音場を再現した | 各ピラー内に充填された発泡材 |
(編集部:小林 隆)
2010年 7月 8日