トヨタ、新型「ヴィッツ」の発表会を横浜・大さん橋で開催 「小さなヴィッツだが、世界中のお客様に大きな幸せを」と豊田社長 |
トヨタ自動車は12月22日、コンパクトカー新型「ヴィッツ」を発売し、同日発表会を神奈川県横浜市の大さん橋ホールで開催した。新型ヴィッツのグレードや価格については、関連記事を参照していただきたい。
豊田章男社長と新型ヴィッツの開発者ら6人が登壇 |
■トークショー形式で行われた発表会
発表会は、司会者の質問に豊田章男社長と新型ヴィッツの開発者らが答えるというトークショー形式で進行。司会者から「よいクルマとはなにか?」と質問された豊田社長は「よいクルマを決めるのは結局お客様であり、私ども(の仕事)はフルラインメーカーとしていろいろなクルマを提供すること」と言い、購入するユーザーが主役であることを強調。
その上で新型ヴィッツに関しては、「一言でいうとかっこいいクルマに仕上がった」とし、「3代目は非常に難しいチャレンジングなクルマになる。ヴィッツらしさを継承しつつ新しいものを出していかなければならない。今回はヴィッツらしいカタマリ感がある」と、その仕上がりに自信をみせた。
ヴィッツの開発を初代から担当し、豊田社長から「人生をかけてヴィッツを開発している」と紹介された製品企画 チーフエンジニアの山本博文氏は、新型ヴィッツでは走りについて気を配ったと言う。
豊田章男社長 | 新型ヴィッツを担当した 商品開発本部 トヨタ第2乗用車センター 製品企画 チーフエンジニアの山本博文氏 | 発表会はトークショー形式で進行 |
「ヴィッツは日本だけでなく、全世界約70カ国で販売されているグローバルカー。欧州が全体の40%を占め、日本と欧州がメインの市場になる。欧州は(コンパクトカークラスの)競合車がひしめいていて、大変厳しい市場だ。我々としては、2年くらい前から先行開発車を現地に送って、欧州のあらゆる道、あらゆる環境で開発してきた」(山本氏)と、十分な時間をかけて世界に通用するクルマにした言う。
とくにクルマの基本とも言えるボディー剛性については、先代から大幅に向上させ「ハンドリングはキビキビしたもので、高速道路のレーンチェンジなどではクルマがすっと動き出してくれるということを目指した。それとあわせてブルブルやヒョコヒョコを抑えており、しっかりとした上質な乗り心地を実現した」(山本氏)と、独特の表現で紹介。ブルブルは振動、ヒョコヒョコは高速道路での段差乗り越え時の動きを意味し、開発時はリアゲートまわりなど開口部のスポット溶接を増しながら、その走りを確かめている。
この新型ヴィッツでは、新開発のアイドリングストップ機構によってクラストップとなる10・15モード燃費26.5km/Lを実現(F“SMART STOPパッケージ”)したことや、99% UV(紫外線)をカットする「スーパーUVカットガラス」を左右のフロントドアガラスに採用したことなどが大きな技術的トピックとして挙げられる。しかしながら、トークショーで開発者らが強く語っていたのは、基本のボディーからしっかり作り上げたクルマであるということだった。
燃費26.5km/Lを実現するアイドリングストップ機構 | UV吸収層を2層持つスーパーUVカットガラス | 新型ヴィッツは、大きく分けて4つのグレード構成 |
ヴィッツには、ベースグレードのF、より上質なU、ファッショナブルなJewela(ジュエラ)、スポーティなRSと4つのグレードが用意される。1.0リッター、1.3リッター、1.5リッターエンジンや、サスペンションの設定などはグレードによって異なるものの、ボディーの基本骨格は同様。山本氏は「燃費はクルマの総合性能。ヴィッツのCd値は0.285と少し前のスポーツカー並みの値。タイヤに関しても低転がり抵抗のものとし、従来型車を大幅に上回る低燃費性能をたたき出している」と、アイドリングストップ機構を搭載しないグレードにおいても、環境性能に優れることを語っていた。
豊田社長はトークショーの最後を「小さなヴィッツだが、世界中のお客様に大きな幸せを運んでくれることを期待したい」と結び、新型ヴィッツに対する思いを披露した。
ヴィッツ U | ||
フロントシートまわり | リアシートまわり | インストルメントパネル |
ステアリングホイールは本革巻 | メーターパネル | ATセレクトレバー |
ヴィッツ RS |
リアシートは、6:4の分割可倒式 | ||
インストルメントパネル | センターコンソール部 | RSは、シリーズで唯一MT仕様が用意される |
メーターパネル | MTのため3ペダル | RSとUのみに用意される1.5リッターエンジン |
■100の“ヴィ学”で思いを訴求
トークショーのステージにはスクリーンが設けられていたが、ヴィッツのCMなどとともに投影されていたのが“ヴィ学”と名付けられたメッセージ。「ヴィ学001 顔を見れば、生き方がわかる。」「ヴィ学007 去り際のカッコよさは、背中のカッコよさでもある。」とランダムに投影されていた。
この“ヴィ学”は、CMとともに訴求されるヴィッツのこだわり。ヴィッツのマーケティングを担当するトヨタマーケティングジャパン マーケティング局 マーケティングディレクターの上木裕子氏は、「開発者などと打ち合わせたが、ヴィッツは小さなボディーにいろいろな思いが詰まっている。それをお客様にきちんと伝えなければならない。それを伝えるために、100のヴィ学を作った」と語り、この100のメッセージをCMやWebサイトなどで訴求していく。
トークショーで投影された“ヴィ学” | 新型ヴィッツのマーケティングについて語るトヨタマーケティングジャパン マーケティング局 マーケティングディレクター 上木裕子氏 |
CMは、ある港町を舞台に大沢たかおさんと生田斗真さんが演じる2人の探偵の物語が展開され、テディベアを抱いた謎の少女が登場。4パターンのCMが用意され徐々に謎が明かされていくと言う。
発表会には、CMに出演した大沢たかおさんと生田斗真さんも登壇し、謎の少女から素敵なプレゼントが贈られるという演出もあった。
そのほか、約200mのコースを2周ほど周回するミニ試乗会も開催された。これは、F“SMART STOPパッケージ”に試乗し、約0.35秒後に再始動するというアイドリングストップ機能を体感するもの。記者も試乗してみたが、確かに素早い再始動を確認することができた。
同乗したインストラクターによると、ステアリングを回した状態でもパワーステアリング機構が効きつつアイドリングストップするのがポイントだと言い、エンジンを停止する時間を長く取ることで、燃費に貢献するとのこと。
大さん橋の駐車場で開かれたミニ試乗会 | F“SMART STOPパッケージ”には、アイドリングストップ機構搭載を示す「SMART STOP」バッヂが付く | アイドリングストップ機構が働いているときは、スピードメーター左側に「A」の文字が光る |
この新型ヴィッツの店頭発表会は、2011年1月8日~10日に開催され、試乗会はその翌週となる、15日、16日の開催。燃費だけでなく、走りに対するこだわりなど、さまざまな思いが詰め込まれたヴィッツの仕上がりを、ぜひご自身で確認してみていただきたい。
(編集部:谷川 潔)
2010年 12月 22日