スズキ、「こんなクルマがあったらよいな」を具現化した「新型ソリオ」発表会
「燃費だけでなく、乗って楽しいクルマに」

開発責任者の鈴木直樹氏と新型ソリオ

2010年12月24日開催



 スズキは12月24日、2011年1月7日に発売するコンパクトハイトワゴン新型「ソリオ」の発表会を、都内で開催した。

 新型ソリオの商品コンセプトは、「乗って楽しく、使って便利、燃費も優れたコンパクトハイトワゴン」。コンパクトハイトワゴンとは、エンジン排気量1.5リッター以下、全高1500mm以上の2列座席5ドアワゴンのことを指し、ボディーサイズを3710×1620×1765mm(全長×全幅×全高)とコンパクトに納めながら、ゆとりのある室内空間、低燃費といったさまざまな付加価値を詰め込んだ。

 いずれのモデルもエコカー減税(環境対応車普及促進税制)に対応し、自動車取得税と自動車重量税が75%、自動車税が50%減税される。

後席両側に電動スライドドアを備えるほか、SRSサイドエアバッグ、HIDヘッドランプ、本革巻きステアリング、LEDサイドターンランプ付きドアミラーなどを標準装備するソリオSは2WD(FF)、4WDを設定
SRSサイドエアバッグ、電動スライドドア(後席左側)、HIDヘッドランプなどを標準装備するソリオXは2WD(FF)、4WDを設定
ベーシックグレードのソリオG。2WDのみの設定で、Gのみ2011年2月下旬発売となる

四輪技術本部 第4カーライン チーフエンジニア 鈴木直樹氏

 発表会では、スズキ 代表取締役専務取締役 国内営業本部長 田村実氏と、四輪技術本部 第4カーライン チーフエンジニア 鈴木直樹氏が登壇し、新型ソリオの概要などについて解説した。

 鈴木氏は新型ソリオの特徴について、「取り回しのよいコンパクトなボディーながら、クラストップの室内空間を与えたこと」「使い勝手のよい後席両側ドアと多彩なシートアレンジ」「クラストップとなる22.5km/Lの低燃費とスムーズな走り」「さまざまな世代に受け入れられる質感の高い内外装デザイン」「快適な乗り心地と高い安全性能」と説明する。

 グレードはG、X、Sの3つで、エンジンはいずれも新型スイフトと同じ直列4気筒DOHC 1.2リッター「K12B」を搭載し、最高出力67kW(91PS)/6000rpm、最大トルク118Nm(12.0kgm)/4800rpmを発生。トランスミッションはすべてロー/ハイ2段の副変速機構を備えるCVT。

 室内サイズはクラストップと言う2130×1345mm(室内長×室内高)とし、前席の左右シートクッションの間に180mmのスペースを設け、前後ウォークスルーを可能にした。また、前後乗員間の距離を1025mm確保したことで、広々とした室内空間を体感できると言う。

 後席用のドアは挟み込み防止機構付きのパワースライドドアを標準装備(G、Xは左側ドア、Sは後席両側ドア)。スライドドアは580×1230mm(開口幅×開口高)と広い開口面積を持ち、ステップ高を365mmと低く抑えたことで乗降性にも優れる。さらに、狭い駐車場などでの乗降性を重視し、スライドドアを開いた際の振り出し量を150mmとした。リアシートは左右独立型で、165mmのスライドが可能なほかリクライニング機構を備えることで最適なシートポジジョンが得られるとした。

 テールゲートの開口サイズは1065×960mm(開口幅×開口高)を確保し、S、Xではリアシートをダイブダウンさせることで2台の自転車を搭載することができ、リアシートを後ろに下げた状態でもゴルフバックを横積みできると言う。

新型ソリオのコンセプト商品特長ボディーサイズ
室内サイズ後席スライドドアの開口面積スライドドアの振り出し量は150mm
シートスライドは24段×10mmとし、誰でも最適なシートポジションを得られる仕様とした後席は左右独立でスライドが可能。スライド量は165mm後席のリクライニングは全車標準装備するが、S、Xはリクライニング角度が12度/6段、Gは18度/9段と仕様が異なる
後席のシートバックはワンタッチで前倒しが可能メーカーオプションでバックモニター付きCDプレーヤーをセレクトできる
全グレードともエンジンは直列4気筒DOHC 1.2リッター「K12B」を搭載トランスミッションは全グレード副変速機構付きCVTテールゲートの開口サイズ
収納スペースを豊富に用意する
風洞実験により空力性能を煮詰めたソリオGの10・15モード燃費は22.5km/Lラインアップ
新型ソリオのテレビCMにはKAT-TUN(カトゥーン)が出演する

 鈴木氏は「新型ソリオは多様なライフシーンに対応できるモデル。誰もが気軽に運転でき、もっとクルマとの生活を楽しめる、そんなクルマに仕上がったと確信している。実際に見て、触って、このクルマのよさを実感していただきたい」と、完成度の高さを強くアピール。

 また、新型ソリオの特徴について伺ったところ、「ただ燃費を追い求めただけではなく、スズキらしい“乗って楽しい”というハートのあるクルマを作りたかった。特に車重にはこだわり、ルーフの軽量化を徹底的に行い、重心を下げる作業に時間をかけた」「NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)にも気を使った。居住性のよさには静粛性の高さも当然含まれるので、さまざまなところに遮音材を配置している。前後シート間での会話のしやすさを、ぜひ体感いただきたい」と説明していた。

代表取締役専務取締役 国内営業本部長 田村実氏

 田村氏は、「新型ソリオは『こんなクルマがあったらよいな』とのお客様の声を元に、国内営業部門が提案した国内専用モデル」と述べ、日本の道路事情を考慮して扱いやすいボディーサイズ、広い室内空間、そして低燃費をキーワードに開発を進めたことを紹介した。

 田村氏によれば、現在国内市場では軽自動車と小型乗用車の販売台数が堅調に推移していると言い、「軽自動車から小型車への乗り換え、またミニバン/セダンから小型車への乗り換え時に十分満足いただける仕上がり」(田村氏)と自信を覗かせたほか、新型ソリオをスイフトに次ぐ国内小型乗用車の第二の柱に据え、「(新型ソリオの投入によって)販売現場により活気を与えられるのではないか」と述べた。

 発表会では、三菱自動車工業に新型ソリオをOEM供給することに田村氏が触れ、「来年春ごろから月間800台程度を供給する。三菱には、インドネシア市場でOEM供給を行っているが、国内では初めて協力関係を築くことになる」と解説。なお、今回の合意は新型ソリオの国内供給に限ったものとなる。

(編集部:小林 隆)
2010年 12月 24日