BMW、「MINIクロスオーバー」発表会
初の4ドア・4WD、でもMINIらしさは失わず

2011年1月13日開催



MINIクロスオーバーとクルーガー社長

 ビー・エム・ダブリューは1月13日、「MINIクロスオーバー」の発表会を、東京 丸の内の同社ショールーム「BMW Group Studio」で開催。MINIクロスオーバーの発表とともに、ローランド・クルーガー社長が2011年の戦略を説明した。


発表会場に展示されたのは、クーパーS ALL4。クーパーS専用のグリルとバンパー、デュアルテールパイプなどを纏う
クーパーSのエンブレムはテールゲートとフロントフェンダー左右にALL4のエンブレムはフロントドア下部に展示されたのはAT車だが、MTであればエコカー減税対象となる
展示車は電動ガラスサンルーフを装着
円と楕円で構成されたインテリア。トグルスイッチ風の操作系がセンターコンソールに並ぶのもMINIならではの光景だが、リアのパワーウインドーのスイッチもトグルスイッチ風になっている
「ライトパッケージ」を選択すると、センター・レールにイルミネーションが仕込まれる

 

佐藤チーム・リーダー

4づくめのクロスオーバー
 MINIクロスオーバーはMINIブランド初の5ドアSUV。同社MINIマーケティング・ディビジョン プロダクト・マネジメントの佐藤毅チーム・リーダーは、「4」という数字をキーワードにMINIクロスオーバーの概要を説明した。

 「4」はMINIクロスオーバーがハッチバック、コンバーチブル、クラブマンに続く「4モデル目のMINI」であり、さらに「4ドア」「4m超の全長」「4WDシステム」と、いずれもMINIでは初めての仕様を備えていることを表す。

 これまでハッチバックの2ドア、あるいはクラブマンの変則3ドアしかなかったMINIにとって、4枚のドアはユーザー層を広げるためのチャンス。「ドアの枚数を理由にMINIをご購入いただけなかった方々にも、思う存分MINIを楽しんでいただける」(佐藤チーム・リーダー)と期待されている。

 4105mmmの全長は、パッセンジャーとラゲッジの両方の空間にゆとりを創出する一方で、都市でも使いやすいサイズとアピール。とくにラゲッジルームは後席を立てた状態でも350L、後席をたためば1170Lになる。

 また全高は欧州仕様が1561mmあるのに対し、日本仕様は立体駐車場などの事情を勘案して1550mmに抑えられている。

 「ALL4」と呼ばれるMINI初の4WDシステムは、リアデファレンシャルの前に置かれた電子制御多板クラッチにより、前後のトルク配分を変える仕組みを持つ。通常は前後に52:48でトルクを配分するが、横滑り防止装置「DSC」から車速やヨーレート、前輪の切れ角のデータを得て、状況に応じてその配分を変える。これにより前後輪の駆動力が100:1~1:100で変化する。

 なおエンジンのチューンは「ワン」「クーパー」(1.6リッター直列4気筒DOHC)、「クーパーS」(同ターボ)ともに、ハッチバックやクラブマンと同じ。ただし最終減速比やATのシフトスケジュールが異なる。

ALL ABOUT4日本仕様は欧州仕様より全高が抑えられている
4WDシステム最大のMINI

全く新しいけれど伝統も
 MINIブランドとして初、という要素が目立つクロスオーバーだが、佐藤チーム・リーダーは「MINIの50年の伝統をしっかりと引き継ぎながら、革新的なチャレンジをしているモデル。いわば伝統と確信の融合」と、MINIらしさを備えていることを強調。

 MINIというには大柄なスタイリングだが、そのフロントマスクは「フロントの両端にある円形のヘッドライト、台形のフロントグリル」を備え、「MINIのデザインになくてはならない代表的なアイコンをそのままに、クロスオーバーに正しく進化した」と言う。

 インテリアも「センターに配置された大型スピードメーターを筆頭に、円と楕円のコンビネーションで形成され、MINIのデザインの伝統を色濃く残している」「まさしくピュアなMINIの証」としている。

 一方で“革新”に当たるのが、クロスオーバーで初めて装備された「センター・レール・システム」。前席のシフトレバーの後ろから、後席センターを貫くレールには、カップホルダーを始めとする様々なアクセサリーを装着できる。「必要ならカップホルダーを4つでも8つでも装着できる」という極端な例を挙げつつ「MINIにしか提供できないユニークな装備」とした。

ハッチバックとクロスオーバーのフロントマスク。グリルやヘッドライトだけでなく、ボディとグリーンハウスのフォルムなども共通している
円と楕円のインテリアセンター・レールシステム

 

BMW「X3」を第1四半期に導入
 ローランド・クルーガー社長はBMWグループの2010年の実績が「BMWを120万台以上、MINIを140万台以上」であったことを明らかにした。前年比はBMWが14.6%増、MINIが8.1%増となり、「危機になっても損失を出すことなく、台数を成長させた、世界最大のプレミアム・カー・メーカー」であるとした。

 その日本法人たるビー・エム・ダブリュー株式会社は、約3万2000台のBMWと、約1万1000台のMINIを販売、前年比はそれぞれ約12%増、約3%増となった。「2年連続でプレミアム・インポート・ブランドのトップに立っている」ほか、ディーラーネットワークの収益面も「危機から立ち直った」とし、「ブランドへの投資を再開した」としている。

 2010年の成長の理由として挙げたのは、「エフィシエント・ダイナミクス戦略」と、新車の投入。エフィシエント・ダイナミクスはパフォーマンスを維持しつつ、環境性能も向上させる戦略で、MINIでは「ミニマリズム」と呼ばれる。これにより多数のエコカー減税対象車をラインアップした。

 また新車は「X1」「5シリーズ」がいずれも成功。同社初のハイブリッドモデル「アクティブ・ハイブリッド7」は全世界の1/3の台数を日本で販売していると言う。

 2011年はビー・エム・ダブリューの設立から30周年となる節目の年。同社は「認定中古車制度」や「ドライバートレーニング」「24時間フリーダイヤル緊急サービス」といった、いまではプレミアム・ブランドには欠かせないサービスを、他社に先駆けて導入してきた「パイオニア」であるとし、その精神を次の30年も保ち続けるとした。

 2011年は、まず新型「X3」を第1四半期末までに導入する。すでに導入されている市場もあるX3だが、日本にも潤沢に供給できるよう「フルキャパシティで生産している」とした。中国市場などの爆発的な成長にともない、日本向けのプレミアム・インポート・ブランドは軒並み供給不足が囁かれているが、そんな中でも日本市場を大切にしているという姿勢をアピールした。

 また、電気自動車「MINI E」の実証実験が開始されることにも触れた。14台の実験車両に900人の応募があったことを明らかにし、これは同社の「市場へのコミットメントの方向性が正しいことを示している」とした。

全世界で120万台以上のBMWを販売時価総額は2009年末から2倍に日本では2年連続でプレミアム・インポート・ブランドのトップに
ビー・エム・ダブリューは2011年に創立30周年を迎える認定中古車などを業界に先駆けて導入第1四半期にX3を導入
会場に展示されたアクティブ・ハイブリッドX6

(編集部:田中真一郎)
2011年 1月 13日