ベントレー、新型「コンチネンタルGT」国内発表 キープコンセプトのフルモデルチェンジ、「ビスポークはベントレーの核」 |
ベントレー モーターズ ジャパンは2月21日、新型「コンチネンタルGT」を発表した。価格は2415万円。納車は6月から開始される。
2003年に登場した2ドア4シータークーペで、8年ぶりにして初のフルモデルチェンジとなる。初代は全世界で累計2万3000台、日本と韓国で1000台を販売したヒットモデルとなった。2代目は欧州では2010年10月に発表されたが、すでに「最初の6カ月分の生産枠は受注済み」(ティム・マッキンレイ 同社代表)と、初代の人気はそのまま続く模様だ。
初代のヒットを受けて、2代目はクルマの立ち位置、スタイリングなどのすべての面でキープコンセプトとなった。ロングノーズショートデッキで、ファストバック風(実際にはトランクリッドはリアウインドーから独立している)のフォルム、伝統のグリルと4灯ヘッドライト、1952年のRタイプ コンチネンタルから引用した前後フェンダーのプレスラインとサイドウインドーグラフィック、馬蹄形のトランクリッドといった要素が継承されている。
ティム・マッキンレイ代表 | 発表会は新型コンチネンタルGTのスタイリングを際立たせる光の演出で始まった | |
デイタイムランニングライトはLED |
テールランプとテールパイプは楕円形で揃えられた |
発表会に登場した英ベントレーのインテリアデザイン責任者であるロビン・ペイジ氏は「コンチネンタルGTは、ベントレーの中ですでにデザインアイコンとしての地位を確立している。従来のコンチネンタルGTの優れたデザインを踏襲しつつ、さらにダイナミックでスポーティーでモダンな味付けをした」と言う。初代との違いは、全幅を広げ、前後灯火をやや大きくし、ウエストラインが高くなったこと。さらに、プレスラインなどのエッジはよりシャープになった。
これには、「ミュルザンヌ」から採用されているアルミプレス技術「スーパーフォーミング」も貢献している。従来は例えばフェンダーなどを作るには数枚のアルミ板を成形して貼りあわせていたが、スーパーフォーミングは1枚のアルミ板を加熱してから空気圧で成形する技術。より複雑でシャープな造形が可能になるほか、軽量、高剛性のボディーを作ることができる。
この結果、ディメンションは4806×1946×1404mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2746mmで、全長が2mm、全幅が28mm、全高が14mm、ホイールベースが1mmぞれぞれ伸ばされている一方、車両重量は-65kgの2320kgとなった。
ロビン・ペイジ氏 |
インテリアもキープコンセプトで、ベントレーのエンブレム「ウイングB」をモチーフにした、センターコンソールを中心にT字型の左右対称の造形が基調。肩の部分が広く、腰の部分を狭くした「コブラデザイン」のシートを採用。シートベルトアンカーをリアウインドー横に移したことでシートが小型軽量になり、シートバック形状の変更と合わせて後席のレッグルームを46mm広げることができた。
また、小物入れを拡充して欲しいという要望が多かったことから、ドアやセンターコンソールの収納を拡大している。
もう1つ要望が多かったというインフォテインメントには、8インチのタッチスクリーンと30GBのHDDを備えたシステムを搭載。カーナビのほか様々な車輌情報などを表示する。
横倉典マネージャー |
ベントレー モーターズ ジャパンの横倉典 PRマーケティング&アカデミー マネージャーはインテリアについて「金属に見えるところには金属を、ウッドに見えるところにはウッドを」と述べ、すべて上質な本物の素材を使っていることをアピール。室内表面の80%以上がレザートリムに覆われ、シートのステッチには1脚あたり130mに及ぶ糸が使われているなど、贅沢な素材をふんだんに奢っている。一方でレザーに退色を防ぐUVスタビライザー加工を施し、すべてのレザーの下にフォーム材のクッションレイヤーを設けた「ソフトタッチ構造」を採用している。
なおエクステリアとインテリアのカラーは標準で17色ずつ、インテリア素材の組み合わせは7種類用意される。これでも満足がいかない場合は、追加料金でベントレーが持つ3万に及ぶボディーカラーから好みの色を選ぶこともできるし、より多くのインテリアカラーも選べる。マリナーによるオプションパッケージも用意されている。
横倉マネージャーは「“ビスポーク”(オーダーメイド)という考え方は昔も今もベントレーの核にあるもの。お客様が納得するまで、一緒にクルマを作り上げていく。それがベントレー流」と語った。
クロスステッチの入ったシート |
えぐられたシートバック | |
外から想像するよりも奥行きがあるトランクルーム。床下にスペアタイヤを搭載 |
6速ATはパドルシフトを備える | 8インチタッチスクリーンを標準装備 |
センターコンソールやドアの収納スペースが拡大した |
会場には赤い内装の車両も展示された |
W型12気筒エンジン |
パワートレーンは、6リッターW型12気筒ツインターボエンジンに、ZF製6速AT、トルク・センシングデフを介して4輪を駆動する。先代同様のスペックだが、エンジンは最高出力423KW(575PS)/6000rpm、最大トルク700Nm/1700rpmと、先代比で15PS、50Nmアップとなっている。また、トランスミッションの変速に要する時間が200msec短縮され、ダブルシフトダウンが可能になった。
最高速度は318km/hで変わらないものの、0-100km/h加速は0.2秒短縮され4.6秒となった。さらに、前後トルク配分が5:5から4:6に改められている。なお2011年後半にはV型8気筒ユニットを搭載したモデルが予定されている。
サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがトラペゾイダルマルチリンク。エアサスペンションを備え、そのセッティングはコンフォートからスポーツまで4段階で選べる。
タイヤとホイールのサイズは275/40 ZR20、9.5J×20インチ。オプションで275/35 ZR21、9.5J×21インチも選べる。
日本市場でのベントレーは好調 | 新型はボディーサイズが大きくなったにも関わらず重量は軽くなっている | 新型も先代同様に「至高の毎日」がキャッチフレーズ。スポーツ走行にもロングドライブにも日常にも使えるバランスのとれたクルマ |
コブラシートを採用 | エンジンは同じ形式だが性能アップ | |
前後トルク配分を4:6に変更 | 標準で17の色を用意し、ステッチの色も選べる |
内装のパターンは7種類 | |
8インチタッチスクリーンと30GB HDDのインフォテインメントシステム | ホイールのオプション |
(編集部:田中真一郎)
2011年 2月 22日