PNDも地デジモデルが人気、三洋電機「ゴリラ」シリーズインタビュー
「地デジモデルが販売の30%を占めるようになってきた」


 カーナビは、すでになくてはならない車載機器となっているが、ここ数年大きな伸びを見せているのがPND(Personal Navigation Device)。2DINタイプのカーナビと比べ、価格が安価なことはもちろん、導入の手軽さもあって各社から活発な製品投入が続いている。

 そのPND市場でトップシェアを持つのが三洋電機の「ゴリラ」シリーズ。ゴリラシリーズは、5V型モデルから7V型モデル、容量は4GB SSDから16GB SSDまでさまざまなものがラインアップされているが、ここのところ特にワンセグだけでなく、12セグ受信も可能な地デジのフルセグ受信モデルが人気となっていると言う。三洋電機でゴリラシリーズを担当する、車載機器事業部 販売推進統括部 販売戦略部 市販企画課 課長の羽立一豊氏にその辺りの事情を伺ってみた。

三洋電機 車載機器事業部 販売推進統括部 販売戦略部 市販企画課 課長 羽立一豊氏国内ナビゲーション市場の推移と、PND市場におけるゴリラシリーズのシェア

 現在ゴリラシリーズでは、すべてのモデルでワンセグ受信に対応し、2010年10月1日に発表した7V型ワイド「NV-SD760FT」(11月発売)、6.2V型ワイド「NV-SD650FT」(10月発売)の2機種が、ワンセグ受信に加えて12セグ受信の可能な地デジ(フルセグ)モデルとなっている。

ワンセグ受信に加えて12セグ受信の可能な地デジ対応の7V型ワイドモデルNV-SD760FT

 羽立氏によると「この2モデルは、今年の7月24日に予定されているテレビ放送のアナログ停波を見据えた製品になります。発売当初はフルセグ受信の可能なモデルの販売比率はそれほど多くなかったのですが、現在(2011年2月)はゴリラシリーズの中で30%ほどの販売比率となっています」と言う。

 家庭用テレビは、エコポイントの政府施策などもあり、地デジ対応モデルへの買い換えが進んでいるものの、アナログテレビ受信の可能な車載カーナビの問題については、やっと浸透し始めたところ。1月にオートバックスが発表した意識調査では、地デジ化していないユーザーは54%となっており、総務省が調査した「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」(2010年9月時点の調査)の世帯普及率90.3%と比べると著しく低いものとなっている。


ゴリラシリーズのイメージキャラクター関根麻里さんと地デジカ

 「現在カー用品店などは、“クルマの地デジ化”についてのキャンペーンなどが行われており、オイル交換やタイヤ交換などに訪れたユーザーが気がつき始めている段階」(羽立氏)と言い、三洋電機もゴリラシリーズのイメージキャラクター関根麻里さんや、地デジ化推進キャラクターの「地デジカ」のぬいぐるみなどで、地デジモデルの販売促進を行っている最中。

 羽立氏は、「7V型ワイドモデルのうち、12セグ+ワンセグモデルとワンセグモデルでは、前者が思ったよりも売れ行きがよく、新たに購入するのであればハイスペックなモデルをお客様は選ばれているようです」と言い、ワンセグとは異なる12セグならではの解像感を楽しめるモデルが選ばれているとのこと。


地デジ番組を受信可能なほか、録画も可能としている

 「ゴリラのよいところはPNDなので、クルマで使えるのはもちろん、家でも使えるのがポイントです。この2モデルについては、デザインを液晶テレビ風にしており、(家庭で)ポータブルテレビとして使ってほしいと思っています」(羽立氏)と、2DINカーナビにないPNDならではのメリットを意識した作り込みがなされている。

 現在、カーナビを導入しようと思った場合、2DINカーナビに代表される車載カーナビ、PND、スマートフォンや携帯電話のナビサービスやナビアプリと、大きく3つの選択肢があるが、スマートフォンや携帯電話をそのまま運転者が運転中に使う際には法律上の問題がある(そのため助手席での利用をうたうものが多い)。

 ただ、通信を前提としたスマートフォンや携帯電話のナビでは、地図更新やさまざまなスポット情報、最新の道路料金情報などに使い勝手の面で優れている部分があるのも事実だ。

通信対応のPND「NV-SP200DT」。写真は駐車場の満空情報を表示しているところ

 PNDに画面の大きさや通信費無料、専用機ならではの操作性という利点などがあるとしながらも、通信によるリアルタイム情報の提供にはデメリットを感じており、このようなリアルタイム情報を取得できるPNDとして、ドコモ ドライブネット対応5.0V型ワイドPND「ゴリラ プラス NV-SP200DT」をラインアップする。この幅広い品揃えがゴリラシリーズの特徴だと羽立氏は言う。

 手軽にカーナビを導入したいユーザー、地デジまで見られる多機能ナビを導入したいユーザー、リアルタイム通信タイプのナビを導入したいユーザーのすべてに応えるPNDをラインアップに持つのは三洋電機のゴリラシリーズしかなく、それらが同社のPNDでのトップシェアにつながっているのだろう。

 また、羽立氏によるとゴリラシリーズでは、電源を入れてから短時間でGPS測位を行う「クイックGPS」や、多くの機種で別売のリモコン操作に対応しており、この点は購入後の満足度が高いと言う。

 アナログ放送の停波時期が近づくにつれ、アナログテレビ放送しか受信できない車載カーナビの置き換えが進むことが予想され、PNDでありながらワンセグ&12セグの地デジ受信を実現している「NV-SD760FT」「NV-SD650FT」は有力な選択肢となっていくだろう。

(編集部:谷川 潔)
2011年 3月 11日